食べ放題。字面(じづら)からして夢が溢れている。なんなら、食べ放題を実施している店舗は「夢の国」と言っていいかもしれないが、おひとりさまにとってはその入場券がプラチナチケットに見えたりもする。

入店直後に、店員さんから「食べ放題は○名様からなんです〜」と言われることがあるからだ。先日、まさにそのような体験をしたのだが……偶然が重なって結果的にいい意味でどうでもよくなったので報告したい。

・切なさを無視するのが大事

最初に言っておきたいのだが、1人で食べ放題に行って「食べ放題は2名からなんでです〜」的なことを店員さんから言われても、深く考える必要は全くない

以前の記事でも書いたが、みんな同じ看板を見て入ってきているのだから、あなたと同じように「1人でも食べ放題にありつけるかな?」と思って入ってきた人は他にもいたはずだ。

そのセリフを言われた瞬間はどうしても切なくなってしまうが、気にせず他のメニューを探そう。そもそも、店からしても表の看板には情報を全て書き切れないから、こういったハプニングは避けられない。いや、ハプニングとも言えないだろう。


・高田馬場の韓国料理店で

さて、先日。私は高田馬場で気になる韓国料理店(匠 生 サムギョプサル)を見つけた。表の看板に「食べ放題」とあり、メニューにサムギョプサルが入っていたから、今夜は韓国式焼肉でも堪能するかと思って入店。


しかし、入店直後に、私が目をつけていた食べ放題(3850円)は3名からで、要予約であることを知る。これは公式サイトにもはっきり書いてあるから、事前に確認していなかった私が完全に悪い

欲に目がくらんで確認を怠っていた。そのおかげで、自分が “ぼっち” であることを突きつけられることに。色々な意味で悲しい瞬間である。

とりあえず、店員さんには「じゃあ単品のサムギョプサルと生ビールで」とだけ伝えたが、胸の中に沸き起こる切なさをどう処理していいかわからない。

何か気分が変わるものでも見よう。そう思ってスマホを取り出そうとしたところで、あまりにも懐かしいものが卓上に鎮座しているのに気づいた。


この球体、ご存知だろうか? 私(81年生まれ)と同年代だったら見たことがある人も多いと思うけど、若い人は知らないのでは?

答えを言ってしまうと、昔のおみくじ。この店にあるということは今も存在しているのだろうが、私が最後に見たのは小学校に入る前か、小学生低学年の頃

祖母に連れて行ってもらった百貨店のレストランに置いてあったのを記憶している。あの百貨店はなんと言ったっけ? たしか、「長崎屋」だったような……。

その2階に入っているレストランに行くたびに、祖母にせがんで「おみくじ」を引いていた。当時の私には、この球体がとんでもないエンターテイメントに見えたものだ。



せっかくだから、やってみよう。100円を投入し、自分の誕生月のところを引くと、あろうことか「大吉」だった。


今の状況で「大吉」が出るなんて、皮肉なものだ。

そう思って、大吉の文字をしばらく見つめていたのだが……単品で頼んだサムギョプサル(1375円)や石焼ビビンバ(1078円)は美味しいし、接客も素晴らしい。


食べ放題にこそありつけなかったけど、いい店を発見できたという意味ではラッキーと言っていいかもしれない。

というか、韓国料理あるあるで、店員さんが肉をカットしたり話しかけたりしてくれるから、食べ放題にありつけなかった切なさがみるみるうちに薄まっていく。


何より、自分がもっとも愛されていた頃の思い出がよみがえってきたことで、膨らみかけた寂しさがあっさりしぼんでしまった。トータルとしては、素晴らしい時間だったように思う。


あのときは皮肉にしか思えなかったけど、いま振り返るとたしかに大吉であった。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 匠 生 サムギョプサル 高田馬場店
住所 東京都新宿区高田馬場2-14-4八城ビルB1F
時間 16:30~23:30(L.O.23:00)

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼メニューはこんな感じ。熟成サムギョプサル(150g)が1375円で、国産牛デカカルビが単品1518円といったところ。単品メニューも充実している

▼食べ放題のほかにコース料理もあり、基本的に2名以上(食べ放題は3名以上)から。食べ放題は要予約なので、そのときに確認するのがいいだろう

▼ちなみに、ドリンクはチャージなし(左側)とチャージあり(右側、プラス500円)で価格が異なる。たとえば、サントリー瓶ビールはチャージなしだと590円だが、チャージありだと390円。飲む量によってお得な方を選べばいいので、これは親切設計!

▼石焼ビビンバは店員さんが混ぜるところまでやってくれた。食べかけではないので悪しからず。味は最高