海外旅行のガイドブックがメインだった「地球の歩き方」が、数年前から一風変わったガイドブックを発売している。

2022年発売の月刊ムーとコラボした「異世界の歩き方」を皮切りに、辞書のような厚さの「日本」、コアなセレクトの「杉並区」など、マニア心をくすぐるセレクトばかり。

そして、2026年1月29日に発売されたのが「地球の歩き方 昭和レトロ」(2420円)である。ほほう、そうきたか……!

レトロブームが続いて久しいし、レトロ好きとしてこれは気になる! ということで、さっそく買ってみた。

・「地球の歩き方」歴史時代シリーズ

「地球の歩き方」には海外の他にも日本版などいくつかシリーズがあるそうで、「昭和レトロ」は「地球の歩き方 歴史時代シリーズ」の3冊目にあたるらしい。ちなみに1冊目は「ハプスブルク帝国」、2冊目は「戦国」だったらしい。なるほど、どっちもマニア受けしそうなテーマ。


「昭和レトロ」の目次はこんな感じで、

・昭和の風景アルバム
・昭和への旅
・あの時代ダイジェスト
・変わらないリアルな昭和の風景
・昭和グルメ
・昭和カルチャー
・よみがえるネオ昭和
・昭和グッズ
・昭和に触れる博物館ガイド
・旅の準備と技術

といった章立てになっていて、64年もある昭和の文化をすべて網羅できるようになっている。すごい。


・全国の昭和レトロスポットを紹介

まず最初に驚いたのは、全国の昭和レトロスポットが網羅されていること。一部掲載のない県もあるが、40都道府県にわたって、昭和を感じられるスポットが掲載されているのだ。

こういうレトロ系って、東京・大阪などの大都市圏ばかりになりがちなところ、全国で掲載しているのはすごい。

ちなみに、レトロ旅におすすめの場所として冒頭で大々的に特集されていたのは「大分県 豊後高田」、「岐阜県 飛騨高山」、「静岡県 熱海」、「東京・下町」の4エリア。

あとは、「昭和グルメ」「昭和カルチャー」などのお題に沿って、全国のレトロスポットが紹介されていて、1ページあたりの情報量がものすごい。

たとえば銭湯や喫茶店、全国に残る商店街、懐かしい遊園地や駄菓子屋さんなどなど。そして、最近よく話題になる「ドライブイン」や「レトロ自販機」スポットも掲載されているのがたまらない!


ほかに、マニアックなところでいえば「公園の遊具」や足立区の「タコさん滑り台」公園特集なんかもある。

・「昭和文化」の貴重な資料本

しかし、個人的に一番すごいな……と思ったのが、この本が単なるレトロスポットの紹介本ではなく、昭和レトロ文化そのものを体系的にまとめた本だというところ。

一口に「昭和」といっても64年もあって、とにかく長い。まず一番最初には「昭和の基本情報」が入っていて、人口推移、当時の物価、初任給などの資料が入る。


「昭和レトロ」も人によって思い浮かべるのがノスタルジックな昭和30年代だったり、バブル期の昭和50年代後半だったりするわけで、その辺がごっちゃになってると当時を知る人やマニアから「ちょっと違う」とツッコミが入ってしまう。

それを見越してなのか「第1章 あの時代ダイジェスト」では、戦後の昭和20年代から昭和64年まで1年ずつ順を追って当時の大衆文化で何が起きて、何が流行したかをまとめている。


たとえば私が生まれた昭和58年なら、「東京ディズニーランド」開園、「おしん」放送開始、「ファミリーコンピュータ」発売開始、「ロッテ チョコパイ」発売……といった感じ。

そこに豆知識だったり、時代背景を説明するコラムが入っているので各年代ごとにどんな時代だったかよくわかるのだ。


同じく、「第4章 昭和カルチャー」も、映画、漫画、テレビドラマ、特撮、昭和歌謡などのヒット作が年代ごとに紹介されていた。また、「藤子不二雄ミュージアム」や「北の国から ロケ地巡礼」など、当時の文化にまつわる美術館などのスポット紹介も掲載されている。

さらに、後半には当時の首相や歴史的な事件などをまとめた「年表で見る昭和の歴史」なるページもあるし、「ナウい」「5時から男」など当時の流行語をまとめたページもあって、出かけずに本を読んでいるだけでも楽しい。

ちなみに、当時流行った「おもちゃ」やレトログッズを集めたお店紹介、当時人気だった自動車や鉄道、カメラなどを紹介するページもあって、どんな趣味の人でも楽しめると思う。

・昭和レトロが詰まった1冊

ただ「映えスポット」として昭和レトロな場所を巡るようなガイドブックではなく、昭和の文化を網羅したものすごい本だった。

作り手目線からすれば、そもそもの資料集めやテーマ決め、写真集めも時代考証を含めた校正も大変そうな本だな……と思った。溢れんばかり情報がフルカラーで詰まっていて、本当に読んでるだけでタイプスリップの旅を楽しめるような本なのだ。

旅のガイドブックとしてはもちろん、昭和のレトロな文化を知りたい人にとっては、必携の一冊。これで2420円は安いな……とすら思います! 多分、ロケットニュース愛読者なら楽しめると思うので、本気でおすすめです。



参考リンク:地球の歩き方 昭和レトロ
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.

▼最終章の「旅の技術と準備」では、なんと昭和時代の旅行を再現する方法が書いてある。時刻表を見て列車にのって熱海や箱根に行き、民芸品やペナントをお土産にしよう!