寿司の食べ放題。そう聞いてワクワクしない人はいないだろう。ましてや回ってない寿司屋の食べ放題とくれば目が血走る人さえいるかもしれない。少なくとも私(サンジュン)は前日から目が血走っていた。

ああ、回っていないお寿司屋さんの食べ放題なんて最高すぎ! ところがどっこい、そんな甘美な想いはあっけなく打ち砕かれてしまったのである──。

・回っていないお寿司屋さん

入念なリサーチの結果、私が選んだのは都内の某所にある某寿司店。普段は通常営業のみだが、特定の日だけ実施される食べ放題が「コスパ最高」との評判を聞きつけたのだ。

価格は5000円前後で、制限時間は90分ほど。大トロなどの高級ネタも食べ放題とのことで、ネットでの評判もすこぶるいい。事実、寿司そのものの味について文句は無かった。

・マジか

だがしかし、もう私はその店の食べ放題に行くことは無いだろう。というか、40分ほどで店を後にしていた。理由は明白、一言でいうと「お店とお客さんが仕上がっていたから」だ。

わかりやすく説明しよう。1人でカウンターに通された私が着席すると、大将は寿司を握りつつお客さんとの会話を楽しんでいた。


「貝好きだったよね? 今日はトリ貝が入ってるよ」


「そういえば先週は沖縄行ってたでしょ? どうだったのはゴルフは?」


「〇〇さんは最近来てないねぇ~。また痛風が出たんじゃない(笑)」



やべえ。仕上がってやがる……!


・アウェイ感

前提としてお寿司屋さんに常連さんがいることはよく理解できる。カウンター越しに大将と小粋な会話を交わす。それこそ回っていないお寿司屋さんは常連さんで成り立っている側面もあるのだろう。

一方で「食べ放題」にまで常連さんがいるとは予期していなかった。寿司を食べまくるつもりで入店したはいいものの、初手で感じたのは圧倒的なアウェイ感。そうか、食べ放題にも常連さんがいるのか……!

・キャリア不足

このことを想定できなかったのは私の「回ってない寿司キャリア」がぶち抜けて低いことが原因でもある。寿司と言えば回転寿司ばかりで「寿司屋 = コミュニケーションあり」の方程式がすっぽりと抜け落ちていた。

さらに言うと注文はタッチパネルでもシート制でも無いため「どのタイミングでオーダーするか?」に非常に気を遣う。大将は1人で8人ほどを相手にしており「お邪魔にならない時に……」と常にタイミングを見計らっていた。

仮に私が好きなタイミングで好き放題をオーダーを繰り返していたら「空気が読めないヤツ」「がっつきすぎ」と白い目で見られていた可能性も低くあるまい。要するに味やコスパうんぬんよりも「気疲れした」というのが率直な感想だ。

・美味しかったが…

とはいえネットの評判通り、コスパは最高の部類に入るハズ。たとえ初来店であろうとも、自由気ままに寿司を食べ続ける選択肢もあっただろう。そういう意味では「私の心が弱かっただけ」とも言えるかもしれない。

そのお店が特殊だったのか、それともスタンダードなのか? 回っていない寿司キャリアが低い私にはわからない。それでも「寿司屋には食べ放題でも常連客がいることがある」と知れたことはとても勉強になった。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.