2年前の12月30日。新潟発の鮮魚スーパー「角上魚類」に軽い気持ちで立ち寄った私(あひるねこ)は、そこで見た凄まじい光景に衝撃を受けた。

駐車場待ちの車による数百メートルの大行列、混雑で歩くスペースもない店内。人、人、そして人……。イベント会場のような熱気に、思わず圧倒されてしまった。あれは昼間に訪れていい場所ではない。

そこで今回は、大晦日の朝4時に行ってみることに。さすがにこの時間なら空いているだろう……と思いきや!

・大晦日、朝4時の「角上魚類」

昨年末、「角上魚類」について調べていた私は、年末年始の営業時間を見て横転した。12月31日の開店時間……午前3時!? まだ夜中ではないか! そんな時間に客なんて来るのか……?


眠気と寒さになんとか打ち勝ち、午前3時40分に自宅を出発。


当たり前だが、大晦日の朝4時に外を出歩いている人など皆無だ。すれ違うのはトラックくらいである。そもそも本当に開店しているのだろうか? ところが……。


しばらくすると、遠くの方に煌々(こうこう)と輝く建物を発見。何だろう、嫌な予感がする……。


その予感は、すぐに確信へと変わった。近づいていくと、周辺にはおびただしい数の誘導員の姿が。


恐ろしいことに、すでに駐車場待ちの車で大行列ができているではないか。ちょっと待て、今って午前4時だよな……?

・想定外の人出

店に到着すると、寿司や刺身を求める客で店内は信じられないくらい混み合っていた。店の外には袋詰めするサッカー台が増設されている。


あたりは真っ暗なのに、大勢の人が何食わぬ顔で黙々と買い物するという奇妙奇天烈な光景。まるでここだけ世界から切り離されてしまったかのような、そんな違和感がある。


昼間に行くより空いているのでは? という私の楽観的予測は、店に入った瞬間、粉々に砕け散った。どうやら私は「角上魚類」を舐めていたらしい。

そう、ここには時間帯という概念は存在しない。朝4時に来ようが、昼12時に来ようがおそらく一緒だ。日本人が日本人的な大晦日や正月を求め続ける限り、この店は眠ることがないのだろう。まさに不夜城。


ちょっと驚いたのが、小さい子どもたちが普通に歩いていたこと。小学生くらいならまだ分かるが、明らかに未就学児もいて二度見してしまった。もしかしたらここに連れて来るために、睡眠時間を調節したのかもしれない。



豪勢な寿司や刺し盛りが飛ぶように売れ、在庫が絶え間なく補充されていく。この日のために溜めていたパワーを全開放するかのような景気の良さである。これぞ年の瀬! って感じだ。


私も家族用に寿司やら刺身やら、かれこれ1万円分は買い込んだ。前回も同じことを思ったが、年末の「角上魚類」には何か買わないと損した気分になってしまうような、特殊な空気が充満している。実に危険な空間である。

・異世界鮮魚店

店を出ても混雑は緩和されるどころか、その勢いは来た時よりさらに激化していた。帰り際、私の脳裏をよぎったのは『千と千尋の神隠し』のラスト。千尋が湯屋を後にするシーンだ。

徐々に遠ざかっていく店の明かりと喧噪。大晦日、朝4時の「角上魚類」。もしかするとあれは、本当に異世界だったのかもしれない。

参考リンク:角上魚類
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.

▼この日「角上魚類」で買ったもの。

▼かまぼこが300円台で買えたのはよかった。