天一といえばこってり。こってりといえば天一であるが、ここ最近だと都心で大量閉店したイメージが強いかもしれない。当サイトでも何度かお伝えしている通り、渋谷店・新宿西口店などの10店舗が2025年6月30日に一斉閉店したのだ。

実は、そのうちの店舗の1つ(新宿西口店)がすぐに復活したことをご存じだろうか? 詳しくは過去の記事を確認していただくとして、今回はその店に行ってきた話をしたい。結論から先に言うと、マジックを見た。あまりにも巧妙なマジックを。

・値上げゆえに

今の天一を語る上で、どうしても避けて通れないのは「ラーメン1杯の価格」であろう。


ここ数年、円安やらインフレやらが直撃している飲食店が値上げするのは珍しくも何ともなく、天一だって例外ではない。

むしろ、値上げするのは状況的に当然といえば当然なのだが、現在の天一のラーメン価格については「高い」と感じる人が一定数いるのは事実。

だからだろう。たとえば、ビジネスジャーナルは「天下一品 高価格で大量閉店説を検証」という記事を出しているし、SNSでは「天一高い」といったコメントがいくつも散見される。

かくいう私も、ノーマルなこってり並が1杯940円という価格を見たときは衝撃を受けたというのが正直なところ(※価格は店舗により異なる)。

早い話が、「天一は高くなった」というイメージを持ったまま、新たにオープンした西新宿店に向かったのである。


ちなみに、同店では「ちょい呑み大歓迎」の文字が踊っており、従来の天一より飲み目的の客をターゲットにしている印象。


そのあたりの仕様はメニューにも反映されており、おつまみ関係も充実していた。


とりわけ、私の目を引いたのが……


得飲みセットである。アルコール1杯とおつまみ3点セットが690円で、アルコールが生ビールだと790円

得飲みセットは天一が一部店舗で実施しているもので、3年以上前に当サイトでも紹介している。西新宿店は実施店舗だったようで、これはラッキー! ……と思うよりも何よりも私が感じたのは「安っ!」だった。


冷静に考えれば、激安系の中華チェーンには似たようなセットが結構ある。たとえば、日高屋にいけばもう少し安く済むだろう。

しかし、ここは天一。ラーメン(中華そば)の価格だけを見れば日高屋の2倍以上する天一なのだ。

にもかかわらず、約700〜800円でちょい飲みできるは……一体どういうことだろう? よくわからないが、ちょっとした罪悪感さえ覚える。

そう、つまり「ノーマルのラーメン1杯が1000円弱の店」というイメージを持ったまま得飲みセットを見ると、とんでもなく激安に見えるのだ。

ラーメンを値上げしたことが、かえって得飲みセットをリーズナブルに見せていると言おうか。いわばギャップ効果。もっと言うならば、マジック



・天一の新戦略?

それにしても、飲み客の需要をうまく取り込みながら客単価を上げていくのが天一の作戦の1つなのだろうか? 実際どうかは分からないが、残念ながらその手には乗らん!


 

……と思っても締めのラーメンの誘惑はハンパじゃない。結局、締めまで堪能し、普通にラーメン食べるときより何倍もお金を使ってしまう人は多いことだろう。


でも、そうなったとしても全ての原因はマジック。マジックにかかったら仕方がないのだから、あまり深く考えずに締めのラーメンを心ゆくまで堪能してくれ。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 天下一品 新宿西口店
住所 東京都新宿区西新宿1-15-10エスアイシービル1・2F
時間 11:00~23:00

参考リンク:天下一品ビジネスジャーナル
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼居酒屋レベルでアルコール類が充実しているとは言い難いが、生ビールのほかにハイボールやレモンサワー、ウーロンハイ、ホッピーなどがあった