これはやらかしてる。久しぶりにそんな感想を抱いたのは、立ち食いそば屋『そば処 めとろ庵』の新メニューの商品画像を見た時だった。カレーつゆの上にフライドポテトとアメリカンドッグみたいなのが浮いてるのである。これでそばだって言うんだからワクワクするぜ

その名も「魚ソ天カレーそば(税込590円)」。どうやら、アメリカンドッグみたいなのは魚肉ソーセージ天らしい。ただ、フライドポテトは言い訳のしようもないほどフライドポテトである。一体めとろ庵で何が起こっているのか? 真相を確かめるべく私(中澤)はめとろ庵上野店に向かった。

・たまにやらかすめとろ庵

東京メトログループの立ち食いそば屋である『めとろ庵』。私が初めてそのやらかしを目撃したのは2024年の「デラックスたこ焼きそば」である。温そばに普通にたこ焼きが浮いている光景を見た時は白昼夢かと思った

今回の「魚ソ天カレーそば」もまた、店舗に掲げられたメニューの宣材イメージが嘘みたいである。ヘルシーなカフェっぽいオシャレさを漂わせているところが腹立たしい。

・写真詐欺ではない

券売機を見ると、単品(590円)と定食があって、ラー飯とセットになった定食は税込690円。普通の定食でも1000円くらいするご時世なので価格設定は安めと言えよう。

注文したところ、メニュー画像と同じものが出てきた。魚ソ天もフライドポテトも画像の通りしっかり乗っている。写真詐欺はないのに……いや、ないからこそ冗談に感じてしまう。

・食べてみた

まずカレーそばだけで食べてみると、甘めのつゆがカレーの味に深みを加えていてカレーそばとしては良い感じだ。問題は明らかにそれ以上の存在感を放っているフライドポテトと魚ソ天だな。フライドポテトにちゃんと塩が振られているのも良いのか悪いのか分からない。そこで魚ソ天と一緒に食べてみたところ……

恐るべきことにウマイ。いや、素材のハーモニー的な意味では極上というわけではないんだけど、ソーセージ太めの魚ソ天の衣カリッと中が食べごたえのある肉感はおかずとしてグッド。定食を頼まずとも、この魚ソ天のおかず感とカレーそばで定食が成立している。

・力こそ全て

そのインパクトに、格ゲーの小足のように炭水化物を添えるフライドポテト。1つ1つが溶け合うのではなく並ぶことで繋がっていくこの感じはハーモニーというよりコンボだ

そばの風味なんて当然感じられない。むしろ、そんなものは元からなかったかのように押し寄せる揚げ物とカレーのパレードに分からせられる。結局、この世は力こそ全てであると!

真の姿もヤケクソさが漂っていためとろ庵の「魚ソ天カレーそば」。その暴力的な味にイカれた時代の幕開けを感じずにはいられなかった。ねじふせる。めとろ庵は26年遅れて世紀末に突入しつつあるのかもしれない。はたして、立ち食いそば界は今後どうなってしまうのか。

参考リンク:そば処 めとろ庵
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼魚ソ天はソーセージ太め

▼そばの風味など元から存在しないかのようなパワー。剛のそばである