人間国宝。あまりに縁遠い存在ゆえ、誰がどの分野で指定されているのかを、私はよく知らない。おぼろげに、問答無用で全員レジェンドという認識だ。

私は今、「いざいざ奈良」のプレスツアーで奈良に来ている。JR東海によると、これから人間国宝第1号の生家に行くという。なるほど、博物館みたいな感じになっているのかな?

・富本憲吉

件の人間国宝第1号とは、奈良生まれ(当時は大阪府だった平群郡)の陶芸家の富本憲吉氏。明治から昭和にかけて活躍した人物だ。

来日中だったバーナード・リーチと交友をもち、27歳から独学で陶芸を始めたらしい。アラサーから独学でキャリアをスタートして、人間国宝に認定された……だと?

何かを始めるのに、遅すぎるということは無いのだろう。私もそういう姿勢でありたいものだ。で、こちらが富本さんの生まれた家なのですね?


現在は「うぶすなの郷 TOMIMOTO」という施設になっている。


旧富本邸。


ではさっそく入ってみよう。おや、玄関前になにやら……これは、メニューか?


実はこちら、現在は完全予約制のレストラン兼ホテルになっているのだ。客室は「日新」と「竹林月夜」の2つしかない。

「日新」は富本憲吉の書斎がそのまま残っているというスペシャル仕様。おかれている食事は、取材のためのサンプルだ。後で紹介する。


ツイン + 和室で、風呂はこんな感じの半露天風呂。


「竹林月夜」は、蔵をリノベーションした2階建ての離れタイプ。これが1階部分で、リビングとベッドルームみたいなエリア。


これが2階の和室。


そして半露天風呂。


どちらであれ、圧倒的にプライベートかつ、ラグジュアリーな宿泊体験を得られそう。


・食事だけもガチ

ちなみにこちら、泊まらずとも、レストラン利用でも極上の体験が可能! 季節ごとに内容がかわり、その時期ごとのテーマに沿った期間限定の料理も提供されているようす。

公式HPによると、今年の冬は鱧やフグの鍋があるようだ。タイムリーな情報は、常に公式HPを参照するべきだろう。

参考までに、八月末に出ていたものはこんな感じ。鮎や松茸など、そのシーズンの旬の食材が使われている。


いつのシーズンも、その時期に美味しい食材を使用した同等のクオリティのものが出ると思われるので、確実に期待に応えてくれるだろう。

夕食に限らず、昼食でのレストラン利用も可能のようだ。法隆寺観光の際の、いい食事をしたい時のスポットとしても間違いのないものだろう。

ということで旧富本邸、現「うぶすなの郷 TOMIMOTO」。人間国宝第1号の生家は、奈良の宿泊・食事スポット界における、究極の選択肢の一つに生まれ変わっていた……!

1日に2組しか泊まれず、公式HPで空室の状況を見るに、翌月までの休日はだいぶ埋まっている感。競争率が高そうだ。休日に部屋をとるには、数か月先で予約を組むのが吉だろう。奈良のハイクラスな隠れ家的ホテル兼レストラン。その旅行を特別なものにしたい時に良いと思います。

参考リンク:いざいざ奈良うぶすなの郷 TOMIMOTO
執筆・撮影:江川資具
Photo:RocketNews24.
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▼夜も良い感じになる。


▼いい食器ながらも、その土地らしいデザインなのは風情があって嬉しいポイント。


▼伝説的な陶芸家の家ということで、現在も陶芸や絵付けの体験ができます。詳しくは公式HPを参照。


▼富本憲吉の作品も飾られていた。


▼最寄りは法隆寺駅か近鉄平端駅だが、どちらからも徒歩約30分とそこそこ距離がある。レンタサイクルも、法隆寺駅、近鉄平端駅ともに駅から少々離れた場所にしかなさそうだ。
荷物がある場合は、レンタカーかタクシーを使うのが吉だろう。法隆寺駅から法隆寺までの距離と似たようなもので、その距離を歩く人は珍しくない。身軽ならそんなに問題にならないとは思う。

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