「この中に偽物があります。」そう言われ、驚いた。

並んでいたのは、大流行中の「LABUBU(ラブブ)」、幅広い世代に愛され続けているポケモンカード、そしてブランド品の数々……どれも “ホンモノ” にしか見えない。

しかし実際には、フリマサイトなど個人間の取引の中で偽物が多く出回り、その手口もどんどん巧妙化しているという。

そんな、真贋トラブルから私たちを守ってくれる存在がある。それが、スニーカー・アパレル・ホビーの鑑定・検品を行う「SNKRDUNK(スニーカーダンク:通称スニダン)」だ。

今回は、そのスニダンが7月に設立した鑑定施設「スニダン鑑定研究所」に、潜入大好き夏野が特別潜入してきたぞ!

・東京ドーム級広さの倉庫に潜む “真贋のプロたち”

スニダンは人々を熱狂させるモノを売ったり、買ったりできるマーケットプレイス。

その名の通り、スニーカーから始まり、いまではアパレルやトレーディングカード、ラブブなどのホビー商品まで取り扱う。

取引が成立した商品は、すべてプロ鑑定士の真贋鑑定をしてから発送されるため安心安全な取引が可能だという。


今回潜入させていただいた、「スニダン鑑定研究所」があるのは、東京都江東区。

施設の広さは、なんと東京ドームと同じくらいだとか! 毎日数千件の荷物が運び込まれ、そのうちの約6割が当日中に鑑定を終えて出荷されていくという。

現場ではトレーサビリティが徹底されており、バーコードなどでのデジタル管理はもちろん、鑑定中の手元はカメラで記録されている。


……と、執行役員の方が丁寧に説明をしてくれているのだが、BGMが気になりすぎる……。

近くのスピーカーから、エリア全体に嵐の「Happiness」が流れているのだ。私の青春だぁ。

懐かしのBGMに気を取られ、説明が右から左へと流れていきそうになる。でも、これにも理由があって、モクモクと鑑定をする現場が少しでも楽しくなればとのこと。

この日の選曲センスも私好みで、おかげで緊張がほどよくほぐれた。

途中、そんなスピーカーの写真を撮っていたら、スタッフさんから「スニーカーじゃなくてスピーカー撮る人、初めてです。さすがロケニューさん!」と言われた。

褒め言葉かどうか、真贋はわからない。……いや、褒められてはいないか。


・鑑定士はみな、マニアを超えたマニア

「スニダン鑑定研究所」では、偽造品との戦いに備え日進月歩でジャンルごとにスペシャリストが鑑定方法を模索している。


そして、スニダン鑑定研究所所長の中村さんは 鑑定マニアでもある。

もともとはアパレル好きだったが、気づけば鑑定にもハマり……と話す姿が生き生きしている。やはりマニアの話は面白い。


こちらはスニーカーを解体した様子。

なんと表面の塗装の下にもデザインが隠されているスニーカーがあるという。全然詳しくない私は、その事実にまず驚く。

そんな表面の奥にあるデザインまでも模倣するなんて、偽物の本気度がすごい。ここまでの技術があるなら、新たなブランドで勝負すればいいのにと思うほどだ。

でも、それだけ新たなブランドとして認められることや、ファンをつくることが難しいということなのだろう。


こちらのホワイトボードには、スニーカーのソール写真が一覧で並び、まるで押収品のように並んだ偽造品たち。

その光景はまるで現場検証だ。縫い目を並べて比較するだけでも違いが見えてくるという。


ふと、ここで鑑定のプロたちに、こんな質問をしてみた。

「間違い探しとかって得意なんですか?」


考えすぎる癖のせいで『ウォーリーをさがせ!』は苦手。サイゼリヤの間違い探しも難しいですよね~。

とのこと。でも、よくクイズ番組などで動画の中で絵柄が変わっていく系の間違い探しは得意らしい。そういうものなのか……マニアの話はやはり奥深い。


・X線で暴く! 現場はまるで科学捜査班

鑑定現場では、ルーペやライトに加え、国内初導入のX線装置まで使われている。

モニターに映るラブブの断面図はドラマで見る科捜研を彷彿とさせる。(このイメージがあっているかわからないが)

試しに、一見違いがないように見える2体のラブブを、X線にかけてみる。

ラブブが機械に入っていく姿を見ていると、なんとなく受験会場に子どもを送り出す親の気分になる。


バイバイ、ラブブ……。


しんみりしたのも束の間、あっという間にX線での内部映像が照らし出された。


……内部映像シュール!!!


ちなみに、本物は右側のみ。本物には手をつなぐワイヤーが入っており、上から触ってみると有無をなんとなく判別できる。しかし、X線を通すことで、その差がより効率的かつ確実に可視化された。

また、足の接合部の構造もよく見ると左右で微妙に異なっている。これは触るだけでは、なかなか見分けがつかない部分だ。

本来解体しないと分からないものが、X線を通すことで可愛いラブブのまま見分けることができていた。


ちなみに、X線装置は最近新たにもう1台導入されたとのこと。

本邦初公開となる新規X線装置は、空港の手荷物検査スタイルで、アソートボックスなどのラブブもローラーで流すとスムーズに確認ができる。


鑑定の手法は、まだまだほかにもあるという。赤外線でパッケージを確認し、インクの種類の違いから見分けることもできるほか、今後は化学的な分析の導入も検討しているそうだ。

すごいぞ科捜研、じゃない。すごいぞスニダン!


・いざ、自分も鑑定してみた!

ここまでいろいろと話を聞いてきたところで、せっかくなので鑑定に挑戦させていただいた。

対象は「HYSTERIC GLAMOUR」の帽子。

ブランドに詳しくない私だが、直感で右が本物な気がする。

縫い目をチェックしたり、匂いを嗅いでみたり。

自信はないけれど、これまでの説明内容をフル動員して比較した結果……やっぱり右!

「こっちが本物です!」と宣言。

結果、まさかの正解。なんか嬉しい!


お次は、大人気の「ラブブ」。

顔はほぼ同じだ。目の輝きが違う? 耳が離れてる? 手足の色が違う?

決め手となったのポイントは2つあって、1つはX線検査でも触れた両手をつなぐワイヤー。確実ではないが、触ってみた感じ、右の方だけにワイヤーが入っている感じがした。2つ目は、顎のしゃくれ具合。これまでいくつか見比べてきて、本物の方がややしゃくれているような印象だった。

ということで右を本物宣言し、こちらも見事正解!

これで子供たちに買ってと言われても、「あれ? これ偽物かも」と言える(かもしれない)。


・思わぬ高額商品

スニダンの鑑定は、単なる「目利き」ではなく “技術と情熱の融合” だった。

やはり、何かを裏側に潜入させていただくのはおもしろい!


最後に、友人が大切に保管していたポケモンカードを、鑑定してもらえることに。

なんかざわざわしているぞ……。

結論から言うと、このリザードンのカードに数万円の価値があるらしい。

類似バージョンでPSA10のグレーディングがされたものでは2000万円の価値があったり、このカード自体も数百万円の値が付く可能性も……との話であった。

ひそかに、私は同行者がポケカを売るのか気になっている。そして、そんな気がかりをよそに、本物を守るための戦いは、今日も続いている。

参考リンク:SNKRDUNKスニーカーダンク
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.

▼SODAの神義詞執行役員CBO

▼中村渉スニダン鑑定研究所所長

▼さて、これらは本物か? 偽物か?

▼鑑定の難易度別によって分別されている