たまに下北沢のオオゼキに行く。日常的に利用するオオゼキは他にあるのだが、シモキタオオゼキの何がいいって “攻めた商品を置いていることがある” ところ。シモキタは攻めた人種が集まる街なので、攻めた商品も売れるのだろう、たぶん。

そんなシモキタオオゼキで先日、あまりにも攻めたフルーツを見つけたのでお伝えする。「攻めた」というより「攻撃力高そう」が正しいかもしれない。見たことのないフルーツであるため、 “果物じゃなくて武器” の可能性もゼロとは言い切れない?

……いや、さすがにそれはない。ってことで買ってみた!

・ピッテロビアンコとは

その珍妙なフルーツは、名を『ピッテロビアンコ』という。RPGの後半で入手するまぁまぁ強い槍の名前みたいだ。もったいぶっても仕方がないので、さっそくピッテロビアンコの全貌をお見せしよう……これだ! ジャン!


トゲ緑ナマコ!!!


ナマコのようにグネグネと身をくねらせる『ピッテロビアンコ』は、どちらかといえば槍より “強いこんぼう” っぽい。今回購入した個体は一般的なシャインマスカットの2倍くらいのサイズ感で、粒が100個くらいついていそう。

色だけ見るとシャインマスカットそのものなのだが、タイ米のように細長い粒がギチギチに密集するさまは……あえて言葉を選ばずに言うと、まぁまぁキモい。なおオオゼキの店内ポップによると、ピッテロビアンコはイタリア古来の品種で、別名を『レディーフィンガー』というのだそう。

イタリアからのレディーフィンガー……そう聞くと急にエレガントなフルーツに見えてきたから不思議である。よく見ると確かにレディーの指のようにしなやかで可憐で上品で美しい。トゲ緑ナマコとか言ってごめんなさい。撤回します。


・有識者の見解

レディーフィンガーことピッテロビアンコ(山梨県産)をレジカゴに入れた私は、この日オオゼキで売られていた山梨産のシャインマスカットの中で一番安いやつも一緒に購入した。

この日のピッテロビアンコの価格は税込2159円(1500円くらいの日もありました)。シャインマスカットは税込1511円だが、量の違いを考えるとほぼ同価格とみていいのではないだろうか。

う〜む、色は本当によく似てる。近年はシャインマスカットの食べすぎにより「この色のマスカットはあの味」と脳が早合点しがちだが、冷静に考えるとシャインマスカット登場以前のマスカットって、全然違う味だったよね。

とりあえずシャインマスカット有識者の御花畑記者に2つを食べ比べてもらうことにした。毎年この時期になると様々なシャインマスカットを食べている彼女だが、近年「やはり岡山と山梨産は別格」という結論に辿り着いたのだそうな。山梨産買っといてよかった〜!


じゃ、シャインマスカットから。


御花畑「 “食べる宝石” だわァ……」


えっ、ありがとうw 「おいしい」「うまい」を連発する御花畑記者。自分の目利き能力が評価されたことを、私は非常に嬉しく感じた。あくまで個人的な好みだが、シャインマスカットは “大粒で皮が厚くて緑色が濃いもの” を選ぶとアタリを引く可能性が高いと思う。

「これまでに食べたシャインマスカットの中でトップクラスの個体。120点。これが1500円なら大当たりだね」と御花畑記者。え、マジありがとうwww


つづいてピッテロビアンコ。

御花畑「うん、おいしい。皮のエグみが若干気になるけど、小粒で甘すぎないからパクパクいけるのがイイ。ただ見た目が……集合体恐怖症の人には厳しいかもしれない? シャインマスカットとは別モノだから単純に比較するのが難しいけど、90点ってところかな」


・マスカット界のシャウエッセン

軽度の集合体恐怖症を自覚している私であるが、ピッテロビアンコに対して最初感じた「キモい」という感情は、もしかするとそういうことだったのだろうか……? 考え始めると怖くなるのでさっさと身をちぎってしまおう。

シャインマスカットについては私が語るまでもない。先攻ピッテロビアンコでいただきます。


「パリッ」としてた!


シャウエッセンと張るレベルの「パリッ」を奏でたピッテロビアンコ。「皮のないマスカットはただのマスカット」を断言してはばからない私にとって、非常に魅力的かつ永遠に聴いていたい「パリッ」であった。もう好みとしか言えないけど、皮はこれくらい硬くていいと私は思います!

で、果実もじゅうぶん甘くておいしかった。子供のころよく食べていたブドウ(皮が食べられないヤツ)を思い出す感じ。ほらシャインマスカットの甘さって、もはやフルーツじゃなくてスイーツの次元じゃないですか? それに比べてピッテロビアンコはちゃんと「フルーツ」している。好き。

その後にシャインマスカットを食べると、案の定「甘すぎて2個が限界」って気持ちになった。どちらが優れているとかはない。「今日はシャインマスカットの気分」「今日はピッテロビアンコ」と使い分けができるようになれば、きっとあなたのマスカットレベルは2上がるはずだ。


結論:マスカットはTPOに合わせよう


現在マスカットはシーズン真っ盛りなので、街ではピッテロビアンコ以外にも様々な品種が売られている。「シャインマスカット一択」みたいになってる読者、たまには他の品種にも目を向けてみようぜ。けっこうレベル高いことになってるぞ!

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼粒比較