2025年8月5日、ローソンから冷凍チョコバナナが発売されるとの報を知り、筆者は幸福と困惑のさなかにいた。喜ばしいことは確かだが、果たしてこの現象を何と名付けるべきか。ブームと呼んでよいものか。

去る同年4月、郷愁を誘う棒付きの冷凍チョコバナナがファミリーマートから発売され、チョコバナナを愛する筆者は飛びついてレビューした。その1ヶ月半後、セブンイレブンからも発売されたのでレビューした。さらにその2ヶ月後、このたびローソンもゆるゆると参戦した。

これはブームなのか。ブームとはこのように何だかもったりしたものではなく、もっと激烈なものではなかったか。この世界でただ筆者とコンビニ3社だけが妙な熱に浮かされているにすぎないのではないか。しかし何であれ、ここまで来てみすみす新商品を見逃す手もない。


せっかくなので3種を買い揃えて総評しようと思ったのだが、一番の古株であるファミリーマートの商品の入手が難しく、断念せざるを得なかった。再販を願いつつ、今回はローソンの新商品──「エアウォーター チョコバナナ」のみを確保した。

価格は税込362円だった。213円のセブンイレブン、298円のファミリーマートと比べて強気な値段設定である。というより冷凍スイーツ全体で見ても、ほんのり眉をひそめるくらいには図抜けている。

最後発のローソンが最も狂気を溜め込んでいたのではないかと懸念を抱きかけたが、しかしパッケージを剥いて考えを改めた。中身のチョコバナナの量感もまた、相当に図抜けていたからである。

食べ応えのあったファミリーマートの商品よりも一回り大きい。ちょうどセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンという価格の順にボリュームの差がついている

ローソンが他社を意識したかは定かでないが、狂気とは程遠い、「後発として先達を追い抜く」という打算めいた気概さえ受け取れる。ならばこちらも、冷凍チョコバナナのレビュー請負人として見届けるほかあるまい。ボリュームに続いて、味の方はどうか。

確かめるべく口をつけると、すでに2度の体験を通じて馴染み深い、「ああ、これこれ」という風味が吹き抜けた。冷凍チョコバナナを食べて「ああ、これこれ」と感じる人間が筆者以外にどれだけいるか不安ではあるが、一言で表すなら、清涼な豊潤さである。

香ばしいチョコと、爽やかに甘い果肉が口の中で溶ける。冷凍でも美味しいどころか、暑夏における食べ心地は非冷凍のそれを凌駕しうる。バナナはANAフーズのオリジナルブランドである田辺農園のものを使用しているそうで、その点も上質な仕上がりの一因なのだろう。

とはいえ、「馴染み深い」と前述したように、正直なところコンビニ3社の味は横並びである。セブンイレブンの記事でファミリーマートと比較しながら「異なるコンビニがほぼ同じ最適解にたどりついた」と書いたが、そこへローソンも加わった格好だ。

となると、これも前述したことだが、3品の明確な差異はボリュームということになる。ローソンが綺麗に先達を追い抜くことは叶わなかったものの、「とにかく大きくて満足できるチョコバナナ」を手近に求める場合は、最良の選択肢として輝くと言えよう。

以上の総評をもって、約4ヶ月弱に及んだ冷凍チョコバナナにまつわるプチサーガを、ひとまず締めくくることにしたい。無難な結末かもしれないが、そもそも3品も登場していなければ、この結末を迎えることすらできていなかったのだ。それぞれのコンビニに感謝である。

はてさて、これから先、またもや新たな商品が生まれることはあるのだろうか。そんな現象が起きた時は何と名付けるべきか。ブームと呼ぶべきか、あるいは嬉しい奇跡か。

参考リンク:ローソン 公式サイト田辺農園 公式サイト
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.