昨年30周年を迎えた「ブラックサンダー」は、シリーズ年間2億本を売り上げるチョコレート菓子である。実は発売開始の翌年に販売不振で一時生産が終了していたことは、あまり知られていない事実である。

そんなブラックサンダーの規格外品を使ったビールがあることをご存知だろうか? チョコレート菓子を使っているから、甘いのかと思いきや、苦味とコクのきいた極上の黒ビールだった!

・ブラックサンダー スタウト

このビール「ブラックサンダー スタウト」(税別755円)は、ブラックサンダー誕生の地である愛知県豊橋市のビール醸造家のユニット「THC CRAFT」と、ブラックサンダーの製造元「有楽製菓株式会社」のコラボレーションにより実現したものだ。

2023年4月に販売が始まり、以降道の駅やオンラインショップ等で取り扱いがあるものの、売り切れになることもあるのだとか。私(佐藤)は、先日オープンしたばかりの「豊橋夢工場」の工場見学施設「ブラックサンダー ワクザクファクトリー」でこれを発見した。


現在(2025年5月)、ここでしか買うことのできない、オリジナルのスカジャンに一目惚れして、即購入。


スカジャン同様に興味を持ったのが、このスタウトだった。チョコを使ったビールってことは甘いんじゃないの? と思ったら、スタッフによると甘さは控え目でむしろ苦味が持ち味とのこと。一体どんな味なんだろうか?


1本購入して持ち帰った。缶のデザインは黒と黄色をベースにしたブラックサンダーカラー。よく見ると、缶に描かれた女性は、語尾に「だっちゃ」がついてカミナリを操る漫画・アニメキャラみたいだな。


原材料にイギリス・ドイツで製造された大麦麦芽を使用しており、アルコール度数は5パーセント。製造は香川県の「株式会社瀬戸内」が行っている。


しっかり冷やした状態でグラスに注ぐと、きめ細かい泡がグラスを満たしていく。実はね、黒ビールが好きなんですよねえ~。普通のビールはそんなに好きじゃないんだけど、黒ビールはねえ好んで飲みます。「ギネス」(黒ビール)を置いている店なら、絶対飲んじゃうなあ。このクリーミーな泡が好きなんですよねえ~


注ぎました。もう少し泡が多くてもよかったかも。上手く注げなかったけど、まあいいでしょう。自分で飲む分だからこれくらいでヨシとします。


ちなみに、ブラックサンダーの製造工程で出る破片を原材料の一部として使用し、それを麦芽と一緒に混ぜることで、発酵に欠かせない糖分を麦汁に取り込んでいるそうだ。

ワイングラスなどの口の広いグラスに注ぐと、温度が上がるにしたがってブラックサンダーの風味を感じられるのだとか。あいにく我が家にワイングラスがないので、比較的口の広いグラスに注いでいる。このグラスでもほのかな甘い香りを感じるぞ。


実際に飲んでみると……


クリーミーな泡の柔らかい口当たり。それでいて苦味は強く、どっしりと重量感のある飲み心地だ。だが、ただ苦いだけではなくて、濃いめのコーヒーを思わせるボディの強さ、そしてコクがある。たしかにチョコレート菓子を想起させる甘さはほとんどない。余韻にチョコレートのフレーバーが鼻をくすぐる程度だ。

だが、その味わいはリッチで芳醇。上質なワインやウイスキーを嗜むような、ぜい沢な気分を与えてくれる。


・ブラックサンダーの苦味

冒頭でブラックサンダーの歴史に触れたのだが、1994年に豊橋工場の社員が開発したブラックサンダーは翌年に一時生産を終了している。さらに翌年の96年に九州の一部店舗で再販の要望があり、エリア限定での販売再開。そこから口コミで広がって、現在2億本もの売上を誇っているそうだ。

それにしても、まさか破片でビールが作られるようになるとは生産終了当時は想像もできなかっただろう。その歴史を思えばこそ、ブラックサンダー スタウトの苦味に味わい深いものを感じる。

なお、この商品は「道の駅 とよはし通信」でネット販売している(販売価格1本税込790円+送料)。現地に行けない方はそちらで購入して、甘くないブラックサンダー スタウトの味を楽しんで欲しい。


参考リンク:ブラックサンダー、Instagram @thccraft道の駅 とよはし通信
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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