
チェーンのチャーハンについて熱烈リサーチしていると「中国ラーメン揚州商人」の存在が浮上してきた。聞いたことあるし、見たこともあるぞ、揚州商人。あの独特な、いかにも中華っぽいデザインのお店だよな……。でも行ったことはなかった。
そしてある時、池袋に用事があった際、Googleマップに「チャーハン」と入れると、なんと揚州商人の池袋西口店がヒット! チャーハン検索で出てくるとはビックリだ。これも何かの縁かと思い、行ってみると……
なかなかの行列……だったが、1人なのでスルスルと運良くすんなりカウンターへ。こういう特別扱い(?)される時、1人っていいなって切に思う。
店内は、とにかく混んでいる。そして予想通りの「中華な雰囲気」な内装だ。本場 “中国” というより、イメージ的な “中華” というか。
そんななか、他のお客さんが何を注文しているのかキョロキョロ見回してみると、ほとんどの人が杏仁豆腐とラーメン的なものを頼んでいた。
なにせ店名が「中国ラーメン揚州商人」である。そりゃラーメンになるよな……と納得しながらメニューを見てみると、
これはチャーハンも自信ありと見うけられる。説明を読むと、五目炒飯の元祖となるのが「揚州炒飯」であるらしい。そしてこの店で最も安いチャーハンこそが揚州炒飯(税込1090円)。よし、これだ。
中華料理店での待ち時間。カウンターではない席に通されて厨房の中の様子が見えない場合、私はとにかく耳を澄ますことにしている。
鍋が五徳に当たる音。鍋をふる音、油の音、それらだけで厨房の様子をイメージすると同時に、すべての音が私にとっては心が癒されるスピリチュアルサウンドであり、火力強めのオーケストラ。そう、中華料理店は「聴きに行くところ(コンサートホール)」でもあるのだ。
序曲は野菜炒めかな? ジュワっと中華鍋にウォック(wok)インしまして、かなり小刻みなカンカン音。「シャコシャコカンカントトトトト」。コンパクトかつ、すっごい刻む。さては鍋の振り幅が小さいのか?
そんな感じで目を瞑りながら聴き入っていると、店員さんが「揚州炒飯すぐにお持ちしますね」と声をかけてくれた。待ちぼうけて寝ていると思われたのかもしれない。
──と思ったら、きた!
先ほどの小刻みなシャコシャコカンカントトトトトは、なんとチャーハンの鍋振り音だったのだ。スープ付きで、「カポッ」は無い。本場のスタイルに近い盛り方だ。
んで、食べてみると……
うまい。かなり、うまい。放浪の旅をしていた時期、中国、それも北京で毎日のように(というか本当に1ヶ月ほど毎日)食べてきたチャーハンの雰囲気にかなり近い。
まずは、味付けが優しい。意外かもしれないが、(いろいろ地域差はあるけど)本場中国のチャーハンは、けっこうアッサリとした味付けなのだ。
そしてそのサッパリチャーハンに、たとえば麻婆豆腐なんかをかけて一緒に食べたり、おかずと一緒に食べたり……みたいな楽しみ方。そんな中国(北京)の炒飯を思い出した。
しかしながら、そこに、ほんの少しの「高級感」というスパイスがかかっている。これは日本で言うところの「中華街のチャーハン」というか、少し高級な中華料理店の炒飯っぽい。
また、エビチャーハンではないのに、やたらとエビが入っているのも高級感を醸しているのかも知れない。食べるたびに違う食感。非常に楽しい。これが五目炒飯の元祖「揚州炒飯」なのであるな……!
スープは透明だけど、味的には「しょうゆスープ」。しかしながら、私が毎度やろうとする “チャーハン式ねこまんま” には合わない系のスープであった。だが、それでいい。この炒飯は、そのままがいい。
結論としては、かなり “本場(中国)” を感じさせてくれるチャーハンだった。中国ラーメン揚州商人の「揚州炒飯」は、完全なる「中国チャーハン」だった。
あらためて公式サイトからメニューを調べてみたところ、四川風の「揚州商人特製麻婆豆腐」も食べられるもよう。
シビシビにマーラーな四川麻婆豆腐と、この “なんでも合わせられる系” な揚州炒飯がタッグを組んだら鬼に金棒。もう気分は北京の庶民的な中華屋さんにひとっとび。
なお、これはあくまで私の経験によるものだが、本場中国に杏仁豆腐は無い。私はかなりの杏仁豆腐好きで、中国にいる数ヶ月間、毎日のように様々な中華料理店で杏仁豆腐を探し回ったが、結局一度たりとも中華料理店で見つけることはなかった。
中国ラーメン揚州商人の「揚州炒飯」は完全に「中国チャーハン」であり、ほとんどの人が中国ラーメンと杏仁豆腐を頼んでいたが、本場中国に杏仁豆腐は、ない(2回目)。そこが、私が感じた「本場の中国」との違いである。
参考リンク:中国ラーメン揚州商人
執筆:チャーハン研究家・GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24
GO羽鳥








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