どこかに行ったらチャーハンを食べないと気が済まない。私の中でのチャーハンは、神社やお寺の参拝時における「御朱印」のようなものである。


当然、福岡に行ってもチャーハンだ。いたるところに「とんこつ」という4文字が踊っているが、私の眼球は「チャーハン」の5文字しか認識できないようになっている。


ということで福岡チャーハン行脚の1軒目に選んだのは、“元祖泡系” とも言われる熟成追い炊き製法の博多とんこつラーメンが有名な『博多一幸舎』だ。

とりあえず行列がエグい。


しかし、1人であることが幸いしてか、チャーハンの食券(760円)を買って列に並び始めてから11分後にはカウンターに通されて、


しばしの間、目を瞑る。


そして、厨房の「音」に集中する。


これが瞑想ならぬ「瞑炒(メイチャー)」であり、心の目(心眼)で厨房の様子を伺うのだ。



しばしの間は、無音だった。薄目で覗くと、厨房の中の人たちはせっせとラーメンを作っている。そりゃそうだろう、とんこつラーメンが有名な店なのだから。


しかし!

した!


「カンカン!」と! かなり派手に! 叩きつけるような! それはもう工事現場のような! パワフル&スマッシュ系……!


すごい……。これまで中華鍋とお玉と五徳が織りなす打音を「カンカン」と表現していたが、博多一幸舎のそれは「ガンガン」である。


ガードレールをハンマーで叩いているのでは……というくらいの荒々しいガンガン音であり、合いの手的に「シャッ、シャッ!」との丁寧な「炒音」もする。


間違いなくこれはチャーハン。野菜炒め等の音ではなく、このサウンドは絶対にチャーハン。見えていないが、心で見える。今、お皿に盛っている(音で判断)。


そして着席から9分後……


きたばい!!!!!!



スープは無し。具は、たまご、チャーシュー、ネギかしら……と思いながら口に含んだら、


!!!!!!!!


たまねぎ!


しかも!


食感のこし系たまねぎ」!!!!


ニクイほどに玉ねぎがシャクシャクしているのだ。これは予想外かつ、気持ちの良いシャクシャク。もしもこのチャーハンが48人くらいいるアイドルグループであれば、センターは間違いなくタマネギである。


ここまでタマネギに全服の信頼を置いたチャーハンがあっただろうか。いや、ない。いや、あるかもしれないが、私は初体験である。もう「タマネギ系」と言っても良いくらいの衝撃だ。


ちなみにチャーハン自体はしっとり系。普通にうまいチャーハンなのだが、なんといっても記憶に残るのはタマネギのソロ。こういうやりかたもあるのか……と私は唸った。次はラーメンも食べようと思う。


参考リンク:博多一幸舎
執筆:チャーハン研究家・GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24

▼ちなみにチャーハンがあるのは店舗による。私は最初、「総本店」に並んでいたが、途中、スタッフさんがいたのでチャーハンがあるのか聞いたところ「無い」との返事。慌てて「博多デイトス店」へと向かったのであった。気をつけよう!

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