人生の中で、なかなか食べる機会がないものってあると思う。

筆者にとっては、「生麩」がそれだ。一時期京都に住んでいた頃に時々見かけたけれど、なんだかんだで実際に味わったことはなかった。

「今度京都に行った時に味わえたらいいな」などと思っていたのだが……なんとこの生麩、自宅で手作りすることができるんだそう。

ほ、本当に~~~~!? 家で生麩を作りました! って言ってる人、身の周りで見たことないよ!?

とにかく作ってみた結果……その理由が分かった気がする。


・突如始まる修行

レシピが掲載されていたのは、生協「パルシステム」の公式サイト。

詳しいレシピや作り方はそちらに掲載されているので、気になった方は是非見てみてほしい。


それではさっそく作っていこう。まずはかぼちゃをレンジで加熱し、熱いうちに潰しておく。


次に強力粉、塩、水をボウルに入れ……


ひとかたまりになるまでしっかりこねる。ここまで来たら、一旦生地を休ませる。


続いて生地をふきんやさらしの布に包み、水でもみ洗いをする。こうすると生地からでんぷんが流れ出て水が白く濁ってくるので、その都度水を張り替えて洗うことを繰り返す。

レシピによると、これを水があまり濁らなくなるまで続けるそうなのだが……


──全ッ然濁りが取れないんですが!?

洗っても洗っても、無限に白いでんぷんが溢れ出してくる。レシピには30分~40分ほどかかるって書かれてたけど、その時間が過ぎても水は相変わらずまっ白だ。

布を目の粗い物に変えたりもむ力を強めたりしつつ、結局1時間半ほどかけてやっとそれっぽい状態に持っていくことができた。これ、なんていう修行……?



息切れしながら布の中を見てみると、生地はなんだか黄色っぽくなっていた。これがタンパク質の一種である「グルテン」の塊なんだそう。

捏ねの段階では「ボンドかな?」と思うくらいべたついていたのに、今は触っても手につかない!

多少ぺとぺとはしているものの、強くつまんでも指から綺麗に離れていく。この質感、確かにお麩っぽいかも……!


あとは生地を3等分にし、そのうちの2つにかぼちゃ青のりを混ぜ込んで……


ひと口サイズに丸めて茹でる。


最後に味噌と調味料を混ぜて作った田楽みそをお好みで塗り、グリルで焼いたら……


完成!



・実食

ほ……本当に家で生麩が作れた……!!

多少焦がしてしまったり形が不格好になってしまったりしたけど、とにかくちゃんと完成させることができた。串に刺したら、もっとそれっぽい見た目になりそう。


できたての生麩なんて、京都に行ってもなかなか味わえないんじゃないか? 苦労してこの特権を手に入れたんだから、冷めないうちに食べないと。

ということで、1つずつ順番に味を確認していこう。


まずはプレーンから。一口かじった瞬間……うおお、めちゃくちゃぷるっぷる……! こんにゃくをさらに強化したみたいな、しっかりとした弾力を感じた。

ほんのりと小麦の味が残る生地は、焼き目がついて香ばしくなった味噌の味とよく合っていてとってもおいしい。

正直筆者は今回作った3種類の味の中で、この味が一番好みだった。シンプル・イズ・ベスト。


続いてはかぼちゃ味。こちらも同じようにぷるぷるではあるのだが、かぼちゃが入っている分ちょっとだけザラッとした舌触りがあった。

かぼちゃの味がしっかり生地になじんでいて、なんだか弾力のあるかぼちゃを食べているみたいだった。自然な甘みが感じられて、おやつ感覚で味わえたぞ。


最後に青のり。うん、これは誰がなんと言おうと青のりだ……! 小麦の味は全く感じられず、とにかく青のりの主張が強い。

ちなみにレシピによると、よもぎあわゆず抹茶などを混ぜてもおいしいそうだ。どれも絶対間違いないやつ……!



・勝利の味

生麩って、最低限強力粉と塩があれば誰でも作れるんだなぁ。

とはいえ、途中の工程がめちゃくちゃ大変だったからな。周囲で手作りに挑戦する人をあまり見かけないのは、もしかしたらそういうことなのかも……と実感した。

根気強く頑張った人だけが味わえる、できたての生麩。頑張った分おいしさも倍増すること間違いなしなので、皆さんも是非挑戦してみてはいかがだろうか。

参考リンク:生協パルシステム「だいどこログ」
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.

▼田楽味噌も簡単に作れた