時刻は18時過ぎ。JR東海の富士山をテーマにした「もれなく富士山」の取材で焼津で藁焼きしたり、浅間大社を巡った我々は、小さな船で無人島にある本日の宿に向かっていた。
此度の取材先はほぼ富士山より西側。静岡市や焼津市が中心だ。効率を考えれば宿もその辺にすべきだが……移動にそこそこ時間を使ってやってきたのは、まさかの沼津。
なぜここまで? JR東海の人「どうしてもここに来たかったんですよ……!」 わかる。私もめちゃくちゃここには来てみたかった。
・フレンチ
さて、このホテルの各要素を、どのような順で、どのような側面から紹介したものか……? 少し迷ったが、時系列順に行こうと思う。
ということで、まずはメシだ……! もちろん先に部屋に行ったが、荷物を置くだけで出てきたのでそちらは後ほど。
ここは本日の宿にして、夕食の場でもあった。そして淡島ホテルのウリは、駿河湾と伊豆の食材を使ったフレンチのフルコース! 内容は季節ごとにとれる食材で変わるので、あくまで一例としてみてくれ。
メニュー通り、順番に行くぞ。こちらが「駿河湾トロール漁で獲れた白ムツと秋茄子のルエル 地野菜の彩り」。
いきなりガチなの来たな……! ルエルとは恐らくrouelle、つまり輪切りだろう。ちょっと分解してみよう。
なるほど。円形の外周部分は茄子だ。その中に、白ムツが埋め込まれているわけだな。まだ前菜だと思うのだが、メイン並みに気合が入っている。
茄子はトロットロで柔らかく、甘くて美味い。白ムツのクセの無い淡白な味わいは茄子を邪魔せず、そのクシクシホロホロな食感は、ひたすら柔らかい茄子の中で輝いている!! テクい一品だ。
おっと、そういえば、ドリンクを頼んでいなかったな。あら、メディアの皆さんはビールで乾杯なさっているので? JR東海の方も? メニューはこちらですか。なるほど、では私も空気を読んで……
寿太郎みかんジュース……!!
アサヒ中ビンなど埼玉の路地裏でも飲める。ここは沼津だ。 沼津と言えば「西浦みかん寿太郎」!!
高い糖度を保ちながら、バランスのいい酸味で甘くなりすぎず、非常に濃厚な風味を持つ高級みかん。「寿太郎みかんジュース」は、それを絞った100%ストレートジュース!!!
私は沼津に来るのが初めてだが、約9年前から沼津情報に詳しくなったのだ。とても美味いし、買うと相応の値段がする。飲み放題でこれが出て来るなら、選択肢はこれしかない。
続いては「伊豆半島で採れた蕪のポタージュ 淡島スタイル」。
ポテっとしたハイカラなポタージュで、蕪の素朴な甘さが良く出ていた。濃厚な茄子風味だった舌が良い感じにリセットされる。
そしてやってきた「沼津港水揚げ 平目の西洋わさびパン粉焼き 白ワインソース バルサミコ風味のレンズ豆添え」。
これの美味さは革命的だった! ヒラメがヤバい。西洋わさびを仕込んだのが偉すぎる。ヒラメ自体はふわっふわで、食べると中から清涼感あるとてもいい匂いがする。
香り高いさわやかなヒラメ。未知な仕様だ。そのままだと輪郭がおぼろげになりかねないところ、後からやってくるバルサミコ酢のほのかな酸味がそっと締める。よく計算されている。
メインは「国産牛フィレ肉のグリエ 芳醇な赤ワインソース ビーツのピューレ」。
もうビジュアルで分かりますね? つまりはそういうことだ。見れば本能で美味いと分かるし、実際に美味くて秒で消えた。
・広すぎる部屋
いやー、最高のディナーだった。それじゃあ荷物を置いただけで出てきた部屋をお見せしよう。こちらも最高だったのだ。オーシャンビュー・スイートという2名用の、当ホテルで恐らく最もコモンな部屋タイプの一種だが……
ドアを開けてすぐのリビングがこちら。広すぎんだろ……! 奥にはバルコニーがあり、目の前は海だ。もう夜なので何も見えないため、そこは明日の朝撮影する。
こちらがリビングをバルコニー側から撮った写真。左奥にベッドルームがチラ見えしている。そちらに行ってみよう。
こうだ……! TVはリビングとベッドルームに1台ずつある。
そしてベッドルームのドアの左手にバスルームへの入口がある。こちらも広いぞ!
さて、風呂場の奥にデカい窓がついているのが見えるだろう。そう、風呂の窓はバルコニーに向いているため風呂もオーシャンビュー。そしてバルコニーからも風呂が見える。バルコニーから見た風呂はこう。
そしてバルコニー。
・温泉
さて、メシを食って部屋も探索した。次は風呂だろう。部屋の風呂も最高なのだが、淡島ホテルには温泉がある。こちらはホテルから特別な許可を得て、一般の利用者のいない営業開始前の午前5時半ごろに撮影したものだ。
温泉は2階のエレベーター横から向かう。
アートの展示された廊下を通った先にある。淡島ホテルは館内の至る所に何らかのアートが展示されたバブリーな仕様。最近はそういうホテルをあまり見なくなった。
男湯の大浴場はこんな感じ。
そしてこちらが露天風呂だ! 海が目の前で、晴れていれば富士山が良く見えるぞ。
女湯の露天風呂はこう。湯舟が2つある。
昨今では海と繋がってる様に見える風呂など珍しくないが、多くの場合、それは視覚トリック的な感じで、いうほど物理的に海は近くなかったりする。
しかし淡島ホテルの露天風呂は気合が違う! マジで海まで数メートルというか、もはや海の岩場に風呂がある感じだ。波の音の近さがガチ!
・朝食
そして迎えた朝食の時間。夕食とは違い、テラスもある場所で頂く。ビュッフェスタイルだ。
ここで初めて明るい状態でのホテル外観をお見せするが、朝食会場はこの右下の緑の屋根のある部分だ。
こうして適当に肉など食べていると、スタッフがやってきてシャンパンを勧めてきた。まだ午前6時台っすよ? 飲みます。
・船
そんなこんなで、早くも出発の時間だ。冒頭で述べたきりだったが、淡島ホテルは無人島にある。ここまでは本土から船で行き来するスタイルだ。
到着時も出発時も、船への乗り降りはホテル前の海辺にある桟橋から行う。ちょうど本土側からこちらに船がやってくるのが見える。
!!
ラブライブ!サンシャイン!!
「淡島ホテル」は周辺の沼津各地と同様に、人気アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』及び、スピンオフ作品『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』の聖地。
作中では内浦のすごいホテル「ホテルオハラ」のモデルになっており、主人公グループ「Aqours」の1人、小原鞠莉(CV鈴木愛奈)の実家でもある。
本記事トップの画像はホテル入口にあるホテル名のプレート的なものだが、「AWASHIMA HOTEL」の下に「ホテルオハラ」とあるのは、そういうことだ。
ホテル2階には、聖地巡礼したファンや作品関係者からの寄贈品を展示する部屋が設けられており、作品との関係がとても大切にされていることが分かる。
夜から翌朝早朝までという短い滞在だったが、ホテル及びその周辺で、作品のファンになって県外から沼津に移住してきた人と出会えたなど、作品の影響力を強く感じた。
本土とホテルを繋ぐ船のラッピングも『ラブライブ!サンシャイン!!』のものだ。
写真左上が「アワシマ16号(通称Aqours丸)」で右下が私の乗った「アワシマ13号(通称ちびAqours丸)」。
13号の内部には所々に作品声優陣によるサインが施されている。16号にも同様にサインがあるぞ。ファンは両方コンプ不可避だろう。
本作はJR東海とも度々コラボしている。今回の「もれなく富士山」は無関係だが、しかし「推し旅」では2024年12月18日から2025年3月31日まで「僕らの旅は終わらない」キャンペーンを実施予定だ。
ということで、沼津の無人島にあるリゾートホテル「淡島ホテル」。『ラブライブ!サンシャイン!!』のファンにとっては言うまでもないが、そうでない層にとってもスペシャルな宿泊体験ができる素晴らしいホテルだ!
観光するなら非日常感というのは重要だと思うのだが、「淡島ホテル」は船で無人島にわたるという時点でだいぶ強い。そして近年稀にみるバブリーな仕様の館内。伊豆エリアを観光の際には選択肢の一つとして間違いないだろう。
参考リンク:もれなく富士山、淡島ホテル
執筆&撮影:江川資具
Photo:Rocketnews24.
▼なお、「もれなく富士山」のプランで淡島ホテルに泊まれば、富士山が見える部屋(天候次第)が確約され、部屋に地元産クラフトビールと、富士山サイダーが用意される。
▼2階から見たホテルのロビー。
▼部屋の鍵が良い。ホテルや旅館の鍵のデザインは、個人的にとても重要だと思っている。旅館の扉を開けるというのは、特別な瞬間なのだ。これはトップTierな鍵の一角。
▼THE AWASHIMA SUITEという豪華な部屋。
▼「アワシマ13号」のサイン。諏訪ななかさんのサインは屋根の上にもあった。最後のサインは日笠陽子さんのもの。
▼営業を再開した「あわしまマリンパーク」と「カエル館」もあるぞ。