今日、11月23日は「ゲームの日」。一般社団法人日本アミューズメント産業協会(JAIA)が制定した記念日である。そこで当編集部のメンバー10人に、それぞれ印象深いゲーム作品について尋ねてみた

ファミコン・プレステ・パソコン・ボードゲームなど、対応ハードの垣根を超えてさまざまな作品の名前が挙がっている。そのうち1名、とてつもないアツいエピソードを明かしているので、最後までお読み頂きたい。

■佐藤英典:レッド・デッド・リデンプション2(Red Dead Redemption 2) PCでプレイ


割とゲーマーな私は、ゲームプラットフォーム『Steam』で頻繁にゲームを購入している。コロナのタイミングでゲーミングパソコンを買って以降は、ほぼ毎日ゲームの明け暮れる日々。コロナにかかって療養施設に入っている時でさえ、『エルデンリング』に夢中になっていたほとである。

さて、印象深いゲームを1つに絞るのは難しいのだが、他のゲームでは味わえないドラマチックな体験を提供してくれた、『レッド・デッド・リデンプション2』を挙げたい。西部開拓時代末期に時代のはざまに翻弄されるギャングの物語で、移動手段は基本的に馬という硬派な作品で、狩猟で獲た動物を解体する描写は生々しく、近年のスタイリッシュなゲームの流れに逆らうような、全般アナログ的な仕様である。

ゲームに「不便さ」を積極的に取り入れている点が興味深く、その不便さは今作でしか味わうことができない類のものだ。先に2をやってしまったため、今、後追いで1を始めている。2は1の前日譚であるため、両方やって物語の全体像をようやく把握している次第。

どんどんシリーズ化できるタイプの作品ではないけど、3が出るなら絶対にやりたい。


■御花畑マリコ:ロストワード・オブ・ジェニー 失われたメッセージ ファミコンでプレイ


一言でいえば、女児向けとは思えないクソゲー。発売当時(1987年)に女児に絶大な人気を誇った着せ替え人形「ジェニー」を主人公にした謎のアクションゲーム。あの頃は人気があるキャラはなんでもゲームになる時代。ハットリくんに鬼太郎にビートたけしに所さんもゲームになっていた。

ジェニーちゃんの可愛らしい世界観を想像して買ったら、不気味な荒廃した街でギャングとかネズミが超高速で移動してきて、いきなりジェニーちゃんが撃たれて死んでしまった。ジェニーちゃんの攻撃は催涙スプレーとキック(なぜ?)、ジャンプが低いので敵に当たってすぐ死んでしまう。1面くらいしかクリアできなくてひたすらストレスが溜まった記憶がある

大人になってからふとネットで検索したらクソゲー認定を受けており、できればもう一度プレイしたい……とずっと思ってます。


■P.K.サンジュン:ときめきメモリアル プレステでプレイ


当時、俺は20歳そこそこで韓国留学中。毎日13時に語学学校が終わってから飲みに行く18時まで、ひたすらゲームをしていた。1人ではなく友達ら10人くらいと。

ウイイレ・パワプロ・ダビスタ……などなど、一通りのゲームで遊んだが “印象深い” と言われると『ときめきメモリアル』になるだろうか? うむ、あれは斬新だったなぁ。

当初はバカにしていた恋愛シミュレーションゲームだが、やってみると意外と面白い。藤崎詩織を落とすために何度ロードを繰り返したことか。ちなみに俺は「鏡魅羅」が好きだった……と思う。


■砂子間正貫:摩訶摩訶(まかまか) スーパーファミコンでプレイ


中学生の頃にハマってしまったのが伝説のクソゲーとして名高い『摩訶摩訶』である。前世の姿に変身し、その能力を使いながら物語を進めていくロールプレイングゲームだ。あまり意味を理解しないまま、弟や同級生たちと毎日プレイしていた。

とくに印象に残っているのはラスボス(衝撃の姿)と、ダンボール箱を常に身につけて世界を放浪する「さすらいのジョニー」。ダンボール箱に入って飛行機をタダ乗りするテクを主人公に伝授するシーンはマジでカッコ良かった。ジョニーに憧れたな~~



■中澤星児:ドラゴンクエストⅣ ~導かれし者たち~ ファミコンでプレイ


あれは小学校2年生の時のことだった。小学校入学時、近所の子と同じクラスにならず、半泣きのボッチスタートだった私。そんな私に初めてできたクラスの友達がユウマくんで、気づけば毎日遊ぶようになっていた。

家に行って気づいたのだが、ユウマくんは私の家の近所の子たちとは違った。鍵を自分で開けて家の中を好きに使えるのである。同じ年齢なのに、家を自由に使ってるユウマくんは大人びて見えた。

しかも、お母さんは若くて綺麗。見たことないくらい化粧をしていて、ふわっふわのコートを着ている。一度だけ家に帰ってきたのを見た時は芸能人かと思った


そんなユウマくんはゲーム好きで、比較的欲しいものを買ってもらえてる感じだった。誕生日にしかおもちゃを買ってもらえない私とは大違いである。そこで「一番面白かったゲーム貸してよ」と言ってみたところ、貸してくれたのは、小さいキャラがマップ上をのろのろ移動する何が面白いのか分からないゲームであった。

当時、アクションしかやったことがなかった私(中澤)は、まずスピード感の無さにガッカリした。

これの何が面白いのか? そもそも、どうやったら話が進むのか全く分からない。気づけば苦手意識から手をつけなくなっていた。初めての挫折である。

そのまま数カ月は経っただろうか。悲しいけれど「趣味が合わなかった」と返そうかと思っていたある日、事態は急変する。


ユウマくんが転校するというのだ

この2年ずっと一緒にいたユウマくん。これからも当たり前に一緒に遊ぶと思っていたユウマくん。そのユウマくんがいなくなってしまう。何かやり忘れたことはないだろうか。

そこで小骨のように引っかかったのが放置しているゲームだった。ユウマくんのオススメのゲームを理解しないまま返してしまっていいのか。

何カ月ぶりかに差し込むカセット。絵だけじゃなく、セリフも集中して読むと、モブキャラがヒントを言っていることが分かった。遅々として進まない歩みの遅さは、少しずつストーリーを踏みしめるワクワクに変わった。次はどういう物語が待っているのか?

一歩一歩進むからこそ、目の前に大冒険の幕が開いた。そして、最終章に差し掛かった時、リミットがやって来た

引っ越しの前日、ユウマくんにカセットを渡すと同時に私は嘘なくこう言うことができた。「めっちゃ面白かった!」と。

そのゲームこそ『ドラゴンクエストⅣ』だ。私が初めてクリアしたRPGであり、挫折と乗り越えることの価値を教わったゲームである。



■古沢崇道:デス・ストランディング(DEATH STRANDING) PS4でプレイ


世界屈指のゲームクリエイター・小島秀夫監督が生み出した『デス・ストランディング』を推したい。この作品は超簡単にいえば、配達人(プレイヤー)が依頼品を目的地まで届けるお使いゲームである。

舞台は荒廃した未来のアメリカ。孤高の配達人がシェルターに住む人々へ物資を届けて他人と繋がっていくというお話だ。プレイしてみると “荷物を届けることの大変さ” が体験できるようになっていて印象的だった。

重い荷物を背負ったまま長いこと歩いたり、山・谷・川などの過酷な地形を往復したり、すっ転んで荷物に傷が入ってヒヤヒヤしたり、その斬新なゲームシステムにはかなり驚いた記憶がある。

プレイ中はひたすら歩いて各地へ移動するため、ぶっちゃけ途中でしんどくなることもしばしば。だが、小島秀夫監督の骨太なシナリオ・映画的な演出によってゲームはドンドンおもしろさを増していく

これほど革新的かつ独創的なゲームは稀有(けう)である。来年は2作目が発売されるようなので、そちらもぜひプレイしてみたいところだ。


■GO羽鳥:レズ インフィニット(Rez Infinite) PSVRでプレイ


人生で最もハマり倒したゲームはメガドライブ版の『SPEED BALL2(スピードボール2)』であるが、人生で最も衝撃を受けたゲームはPSVR(PlayStation VR)で出会った『Rez Infinite』において他にない。

内容的には3Dのシューティングゲーム。しかしそれは “ゲーム” というより “実体験(リアル)” であり、私は完全に『Rez』の世界の中にいた。何を言っているのか意味不明かもしれないが、そうとしか表現できない。

言ってみれば「夢の中にいるような体験」というか。別世界(別次元)に行ってしまったかのような。これを体験できただけでも高価なハードを買った甲斐があったと本気で思うし、いまだにVR作品の最高峰なのではと思ったりもする。

あまりにも衝撃的な体験だったため、その後、別ハード版の『Rez Infinite』もプレイしたく、それ目的でOculus GO(Meta Quest)を購入したほど。集中したい時は仕事中も同ゲームのサントラを聴いたりもしている


■和才雄一郎:スーパーマリオブラザーズ ファミコンでプレイ


あまりにも有名どころなので名前を挙げるのに躊躇(ちゅうちょ)したが、結局のところ手に入れてもっとも嬉しかったゲームは何かと聞かれたら即答で「スーパーマリオブラザーズ」になるだろう。

我が家の場合は父親がファミコンとスーパーマリオブラザーズのセットを唐突に買ってきて、小学1年生くらいだった私は喜びのあまり部屋の中でジャンプしまくった

当時は「1日30分まで」というルールが決められていたが、その30分があまりに早く感じたのもいい思い出。



■Yoshio:バトルシップ ボードゲームでプレイ


サンディエゴに住む姉からオススメされ、現地で購入した「バトルシップ」。アメリカでは非常に有名なボードゲームなんだそう。一家に一台的な!?

遊び方は超簡単! 私の小学校低学年の子どもでも理解できるから安心して欲しい。まず将棋のように1対1で遊ぶ。プレイヤー同士が艦隊を隠し、相手の艦隊がどこに配置されているかを推測して沈めるゲームである。先に相手の配置した艦隊を沈めた方が勝ちとなるわけだ。

自分の艦隊をどこに配置するか、そして相手の艦隊はどこにあるかを推測するもので戦略ゲームとも言える。何度も同じ相手と勝負していると、相手のクセや行動パータンが浮き彫りとなっていき、それもとても面白い。

Amazonでも2500円前後で販売しているからぜひ年末などで遊んで欲しい。


■あひるねこ:ファイナルファンタジーX PS2でプレイ


世代的にFF7、8、9、10はすべて印象深いどころか、それらを中心に自分の世界が回っていた瞬間が確かにある。

中でもFF10の映像、特に水の表現を初めて見た時の衝撃と感動は筆舌に尽くしがたい。もう23年も前の話だが、とんでもないゲームが我が家においでなすったと震えたものだ。

水の表現だけなら映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022年)のCGの方が圧倒的に凄まじいが、それでも自分の中でのFF10の前では遥かに劣る。あの時代のFFと共に中学~高校を過ごせたことは大きな財産かもしれない。


以上の10作品である。皆さんが印象深いと感じた作品は挙がっていただろうか? 編集部メンバーが夢中でゲームを遊んだ時代から、すでに10~20年(もしくは30年?)経過して、テクノロジーは比べ物にならないほど進化している。この先、さらにゲームはどう進化していくのか? あの頃と変わらず、夢と感動と少しの挫折を味わわせてくれるものであることを願っている。

参考リンク:一般社団法人日本アミューズメント産業協会
執筆:佐藤英典
Photo・イラスト:Rocketnews24