2024年6月末、新宿歌舞伎町の「天下一品」が閉店した。私(佐藤)が上京した20年前から、当たり前に存在していたお店が7月からなくなってしまった。閉店当初、とても悲しかったんだけど、その後、あの場所はどうなってしまったのか?

現地に行ってみると、天一の痕跡は跡形もなくなっており、「三田製麺所」に生まれ変わっていた。せっかくなので入店したら、「たまごかけ麺」(税込1000円)なる商品を発見。注文したら、食べ終わってからが始まるメニューだとわかった

・三田製麵所のTKM

私は普段、あまりラーメンを食べる習慣がない。とくに理由はなく、ラーメンを食いたい欲求は一般の人より薄いのかもしれない。それにも増して関心が薄いのがつけ麺である。これまた理由はとくになく、食事の選択肢につけ麺が挙がることはほぼないのだ。

したがって近年、三田製麺所を利用した覚えがほとんどない。今はなき歌舞伎町天一を偲んで、せっかくここに来たので食べて帰るとしよう。


さて入店すると、お店のレイアウトは天一時代とほとんど変わっていない気がする

入ってすぐにレジがあって、厨房を囲うようにカウンターが設けられてる。出入口は以前と変わらず狭いままなので、会計待ちの人と入店待ちの人で、入口が詰まったりするんだよな。2階席から人が降りてくると、さらに詰まる。改装時に入口を広くすればよかったのに

メニューを見ると、やはり主力はつけ麺だ。ここは順当につけ麺をオーダーするのが筋ってもんかもな。


が! その隣のページを見ると、つけ麺でないものがあった。たまごかけ麺だと!?



このメニューは、2023年11月に販売が始まりSNSを中心に話題になったそうだ。2024年2月の段階で、公式の商品関連動画は100万回以上再生されたそうだ。

そういえば、以前ナポレオン軒で食べた「釜玉中華そば」は美味しかったんだよな。あんな感じかな? 気になるのでコレを頼むとしよう。注文は卓上のQRコードをスマホで読み取って、専用サイトから行う形式である。


そして出てきたのがコチラです。たまごかけ麺に小ライス、それから付け合わせのバラ海苔がついている。


それから牡蠣だし醤油とトリュフオイルも一緒に出てきた。


麺の上には赤みの強い高級ブランド卵。麺の下には鯛・鰹節・昆布・椎茸から出汁を抽出した専用特製タレが入っている。スタッフによると「麺を30回かき混ぜてから召し上がってください」とのこと。


30回は、おそらくしっかり混ざる目安の回数なのだろう。その言いつけにしたがって、しっかり混ぜよう。


こんな感じで良いのかな? 泡立てるようにってことなので、麺を上げ下げしてよ~くかき混ぜます。


え~と、何回混ぜたって? わかんないけど、このくらいで良さそうだな。全体が黄色の染まったのでヨシとしよう。



はたして、食べてみると……。麺はモッチモチで意外と歯ごたえのあるタイプ。味はたまごの甘さが強いかなあ。強いていうなら、塩コショウを忘れたカルボナーラを食べているみたい。メニューに「そのままお召し上がりください」って書いてあったけど、このままだと物足りないなあ


そこで登場するのが、卓上の調味料。並んでいるのは一般的な塩や七味などの調味料ではなく、鰹塩・三味唐辛子・にんにく七味・粗挽き黒胡椒・スパイス酢という、ヨソではあまり聞かないものばかり。


付属の牡蠣だし醤油と鰹塩を振ってみたところ、味がギュッとしまって各段に美味くなった! たまごの甘さが強い分、味を締めないとちょっとだらしない気がするんだよね。


とくに黒胡椒との相性が良くて、ますますカルボナーラのような味わいに



で、このメニューは麺を食べ終わったところから始まる、みたいなところがある。というのは、小ライスを残った汁の中にぶっこむと、第2ラウンドの始まり!


ライスを汁に浸して、その上から鰹塩と黒胡椒、それからバラ海苔とトリュフオイルを回しかけてやると、即席のリゾット風に大変身!


これが侮りがたいほど美味かった! むしろ私は麺で食うより、ライスの方が好きかも。濃厚なたまごと芳醇なトリュフオイルで、上質な洋食を食べているような気さえしてくる。


そんなわけで、つけ麺でお馴染みの三田製麺所に来たのに、つけ麺を食べずに帰ってしまった。それでも大満足である。たまごかけ麺、未体験の方は1度お試しを。麺を食い切ってからが始まりだ!


・今回訪問した店舗の情報

店名 三田製麺所 歌舞伎町店
住所 東京都新宿区歌舞伎町1-14-3 第103東京ビル 1F、2F
時間 11:00~翌3:00(L.O.2:30) 金土祝前11:00~翌6:00(L.O.5:30)

参考リンク:三田製麺所PRTIMES
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24