とても悲しいお知らせです。東日本を中心に店舗を展開する「くるまやラーメン」は、ラーメンを注文すると無料で半ライスがついて来るという、腹ペコに優しいラーメンチェーンだ。
……しかし、それも昨日までの話。今日(2024年11月1日)から半ライスが有料になってしまったんだよ~~! こんな悲しいことってあるのかよッ! 俺(佐藤)はもう悲しくて悲しくて立ち直れそうにないよ、チキショー!!
……が! 昨今の米事情を考えると、その有料化した料金さえ、優しさにあふれている。くるまやラーメンは俺たちのお腹を満たすために、企業努力してるんだな!
・半ライスが有料に……
私が前回くるまやラーメンを訪ねたのは、2022年のことだ。それも季節は秋。ちょうど今くらいの気候だったと思う。約20年ぶりにお店を訪ねて、たらふく食ったのはいい思い出だ。
あの時は、味噌チャーシューメンと餃子、それに肉野菜炒めまで頼んだんだっけな。しかもラーメンには “半” じゃないライスがついて来たんだ。おっさんのクセに、部活帰りの学生ばりにモリモリ食ってやった! そういう食い方がふさわしい店、それがくるまやラーメンである。
最近、埼玉・和光市の方に出かける機会があった。もしかしたら、和光にもくるまやラーメンあるかも? ってんで、Google Mapsで調べたら……、やっぱりあったーッ! これはもう行くしかないしょ!
都営大江戸線の光が丘駅から片道徒歩30分。バスなら10分くらいで着くけど、バスを待っている時間すら惜しい。私は早くお店に行きたいんじゃ! そんなわけで、なかば早歩きで前のめりでお店にたどり着いた。
うれしさのあまり入店時に「いただきま~す!」って言いそうになっちゃったよ。
ところが! そんなノリノリのワンパク坊主のような私が、素に戻るような貼り紙を入口で見てしまった。これは!? きょ、今日からじゃないか!
「半ライスサービス変更のご案内」
「昨今の米価価格高騰の影響により、2024年11月1日(金)から半ライス無料サービスを終了させていただきます」
なんてこった! 私のなかで今日注文するメニューはライス込みだったの予定だったのに、その布陣が狂った。しかしながら、くるまやは救済措置として、ラーメン注文の場合の半ライスは税込50円にしてくれている。
よく考えたら、そうだよな。この夏の米不足は深刻なものだった。飲食店にとっては死活問題。まして、大きなチェーンともなると、原材料費の値上がりはたとえ1円でも計り知れない影響があるはず。
それでも50円で踏みとどまってくれただけでも有難い。きっともっと早く、できればもっと高く値上げをしたいところだったろうに。耐えてくれたんだな、くるまやよ。ありがとう、ありがとう……。
私は店の入口で涙を堪えるのに必死だった。
・画像なしの激熱食レポ
さて、値上げの貼り紙を見に来たわけではなく、食事をしに来たのだ。半ライス有料化は少々誤算ではあったけど、当初の予定におおむね問題はない。今日食べるのは味噌納豆ラーメンである。
なんでも、ラーメンに乗った納豆を一旦スープに沈め、それをライスにのっけて食うと美味いとの情報をどこかで目にした。それはマネしたいよな。
あいにく、私は食べるのに夢中になってしまって、食事の画像を一切撮り忘れたので、今回は文章のみでその味をお伝えしたい。これを読んだら、きっとくるまやに駆け込みたくなってしまうだろうから、空腹時は閲覧注意である。
今回注文したのは、先に挙げた「味噌納豆ラーメン」(税込980円)と「餃子」(税込280円)と半ライスである。ちなみにランチタイム(11~15時)はラーメンを注文すると餃子が安い! 通常5個で380円が100円引きになるので、絶対頼むべきだ。
着丼してまずはスープをひとすすり。くるまやでは味噌ラーメンを「和食系」と捉えていて、米味噌を使い香辛醤油をアクセントにしている。そのため、コクと旨味が強く、これひと口でライス一膳余裕でイケる。
旨味の強さを支えている食材がもう1つある。それは昆布だ。国産の豚骨を鶏ガラに昆布を食わせて、圧力釜で一昼夜炊き上げ、それら食材の持ち味を存分に引き出しているのである。初めて食べてもどこか懐かしい印象を受けるのは、米味噌と昆布の仕業ではないだろうか。
スープを2すすりしたら、もう止まらない。油断すると、飲み干すまですすり続けることになるだろう。一旦レンゲを置こう。
丼ぶりのてっぺんには納豆が鎮座している。その納豆を麺と絡めてズルリとすすり上げてやる。小麦粉100%の太目のちぢれ麺はモッチリとした歯ごたえで、濃厚な味噌スープと良く絡む。そこに納豆の粘りが加わって、麺とスープはさらに一体感を増す。
納豆という選択肢は盲点だったなあ。今まで食べてなかった自らの愚かさを呪いたい。これからは味噌納豆一択……。いや、やっぱほかのも食べたい。とにかく相性の良い食い合わせだ。
さて、ここで穴あきレンゲに納豆を取り、一旦スープの中にザブン! 適度のスープをまとったところで引き上げて、そのまま半ライスにオン! するとどうだろう、味噌の絡んだ納豆メシが完成した。
ただでさえ、ライスを求めてしまうスープの味に、納豆が加わることで、「1+1=2」ではなく、「1+1=100」くらいのデタラメな公式のごとく、美味しさが跳ね上がった! 旨味の強い味噌が米粒によく絡み、それをガッと口中にかっ込むと、幸せな心地がする。
全体的に甘いので、卓上の醤油をひと垂らし。辛味が欲しくなるので、ラー油でも良い。可能なら辛味噌なんかあると最高だけど、それはお店にないのでぜい沢というものだ。半ライスでは物足りないと感じてしまうレベルである。
ここで餃子を1つ頂く。くるまやの餃子は餡(あん)の具材を細かく刻んだペースト状になっていて、とろけるような食感が特徴。さらに、「デニッシュクラウン社」(デンマーク)の豚肉を使用していて、臭みがなく優しい旨味を感じる。余談だが、器に記された「DANISH」とは、デンマーク産の豚肉を使用していることを表している。
ラーメンをすすってライスを食い、またラーメンをすすって、餃子に箸をのばす。このループが永遠に続けばいい。そんな夢心地の食事だった。
残念ながら、永遠には続かない……。気づけば私はカラになりそうな丼ぶりの底を、レンゲで漁っている状況だった。もっとこのスープ飲みたいのに、もう飲み干してしまったか……。
ということで、半ライスは有料になったけど、50円で踏みとどまってくれたくるまやラーメンに敬意を評したい。新米の流通が始まったとはいえ、相変わらず原材料費は下がることはなく、むしろこの先も上がる可能性すらある。それでもどうか、美味しいラーメンを提供し続けてほしい。好きだぞ、くるまやラーメン!
・今回訪問した店舗の情報
店名 くるまやラーメン 和光店
住所 埼玉県和光市白子1-14-6
時間 11:00~翌2:00(L.O.翌1:45)
定休日 毎週火曜日、12月31日・1月1日