「そうめん」と聞くと、多くの方が兵庫県のブランド『揖保乃糸』を思い浮かべるだろう。当サイトでもトップバリュそうめんとバトってクオリティの高さを発揮した、アイツだ。

しかし、ご存じだろうか。日本の高級そうめんは揖保乃糸だけではない。

揖保乃糸と並んで「日本三大そうめん」に数えられているのが、奈良県の『三輪そうめん』。手延べそうめんの発祥とされ、その歴史は奈良時代にまでさかのぼるらしい。

そんな三輪そうめんブランドから、インスタントにゅうめんが販売されているのを発見した。由緒の正しさに対してやけにポップでお手軽な商品だが……お味やいかに!?

・インスタントにゅうめん

今回購入したのは、三輪山本が製造するにゅうめん カップタイプ『白龍(税込702円)』『うま辛(税込648円)』『カレー(税込648円)』の3点。

お湯を注ぐだけでできる、正真正銘のインスタントヌードルだ。


ひとつずつご紹介すると、白龍とは三輪山本の中でも最高級のそうめん。

0.6mmという驚異的な細さを持つ極細麺で、乾麺の場合は1束ずつ小箱に入っているという高級品。1束あたり250円近くするので、完全に贈答用のアイテムだ。


対してうま辛とカレーは、品名は不明だが 一般的なクラスのそうめんが使用されている模様。

味の違いはもちろんだが、麺の違いを比べるのも楽しみなラインナップとなっている。



・一気に作るのはオススメできない

さっそく開封してみると、麺とかやく、スープなどが小袋に入って収納されていた。

白龍の場合はつゆと七味も入っていて、かやくには麩(ふ)も入っていて華やか。


旨辛とカレーは粉末スープで、かやくは麩以外 白龍と共通のネギ・エビ。


……ところが、いざ作ろうとしたところで大変なことに気が付いた。

それぞれの作り方説明を確認したところ、お湯の量と待ち時間がバラバラなのだ。

白龍が500mlで1分20秒、うま辛が450mlで2分、カレーが400mlで2分。

てっきりカップの内側に線があるハズだと思ったのだが、残念ながら全面真っ白&ツルツルの無印。全部自分で管理しなければいけないのだ。しかも待ち時間が短いからバタバタすること間違いナシ!


そりゃメーカーも想定していないだろうけど、ひとりで3個も一気に作るなんて忙し過ぎる~~っ!!

簡単なハズのインスタント麺で、まさかこんなにワチャワチャするとは思っていなかったぜ。

カップにゅうめんはひとつずつ作るのが正解だ。ストップ、ドカ食い。せっかくそこそこの高級品なのだから、個別にしっかり味わって食べたいしね。



・風情あるにゅうめんをお手軽に

さて、そんなこんなで出来上がったにゅうめんがコチラ。

写真で見るとうま辛とカレーの区別がつきにくいが、匂いの時点でかなり味の方向性が違うことが伝わってくる。


ひとつずつ試食をしていこう。まずは白龍から!

上品な出汁と柚の香りが強く、繊細な麺の細さとよく合っている。

にゅうめんということもあって食感は柔らかめだが、さすがに素人でもわかるような高級感があっていいな。ガッツリ感こそないものの、心の満足度がかなり高いぞ。


そしてこれまた美味しいのが、付属の七味だ。

和山椒の香りがふわっと広がって、よい味チェンジとなる。どこまでも上品で三輪山本の歴史を感じられる気品ある一杯だった。

ただし……個人的には、エビはない方が好きかもしれない。なんだか急に味付けがインスタントラーメンっぽくなって、安く感じちゃう気がしたんだよなぁ。


続いてはうま辛。

今回の中では一番ガツンとした味付けで、ニンニクとやや強めの塩味が効いている。魚介の出汁が効いていて、ただ味が濃いだけじゃなくて奥行きも感じて美味しいな!

辛味はかなり控えめで、ほんのり程度。トータルバランスでかなり優秀に感じたが……とはいえ、筆者は自他ともに認める辛いもの好き。少しひいきしてしまっているかもしれない。


最後はカレー。

トロッとしたスープが麺によく絡み、他の2つとの違いが際立っている。カップヌードルのカレー味をはんなりさせたイメージの味で、かなりの甘口だ。

想像よりも味は薄かったけど、にゅうめんのスープとしてはマッチしててイイのかも。少し粉っぽい感じがするのが欠点かなぁ。


3個ともツルッと艶やかな麺に合う上品なスープが採用されていて、インスタントラーメンのようなパンチこそないものの、はんなりとした風情ある味わいが非日常的で気に入った。

味的にも価格的にもちょっと贅沢な商品なので、贈答にすると喜ばれるかもしれないな。



ちなみに、白龍と他2個の麺の違いはこんな感じだ。

写真で見ると違いはわずかだが、食感は確かに白龍の方が繊細だった。この細さの差を手延べで作り上げているっていうんだから、すごいよね。

お手軽なインスタント麺ではあったが、同時にそうめんの奥深さと三輪そうめんの美味しさを知ることができた食べ比べ。いつかは乾麺でも最高級・白龍に挑戦してみたいと思った次第だ。

参考リンク:三輪山本「にゅうめん カップタイプ」
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.