本日9月28日、ついに一般公開日を迎えた東京ゲームショウ2024。インディーゲームコーナーで異彩を放つ「ABU DHABI GAMING(アブダビ・ゲーミング)」が、UAE(アラブ首長国連邦)から参戦しているブースであることは以前の記事でお伝えした通りだ。

日本在住のアラブ人ではなく、はるばるUAEからの参戦というから恐れ入る。めっちゃ頑張るやん。ウェルカムすぎる。というわけで、ブースでゲームをしながら雑談に花を咲かせていたところ、衝撃の事実が判明した。

・アブダビ・ゲーミングとは

と、本題に入る前にアブダビ・ゲーミングについて紹介したい。アブダビ・ゲーミングはゲーム会社ではなく、どちらかと言うと代理店。地元のゲームスタジオとプラットフォームを繋ぐのが仕事らしい。

そのため、出展しているブースも4つのアラブのゲーム会社が集合した内容となっている。その4つとは「コスフ・スタジオ (Khosouf Studios)」「カシュクール・ゲームズ (Kashkool Games)」「ハイパーマスターズ (Hypermasters)」「アフターワーク・ゲームズ (Afterwork Games)」だ。

そして、そんなアブダビ・ゲーミングを設立したのはアブダビ市政府なのだそうな。中東はゲームやeスポーツが熱いって小耳に挟んだことがあるけど、国がこういう機構を設立するということにガチ感を感じずにはいられない。

・アラブの国民的アニメ

で、私(中澤)の雑談に付き合ってくれたのは、カシュクール・ゲームズの創業者である2人。CEOのオムランさんとデザイナーのイドリースさんである。

もの凄くウェルカム態勢だった2人。私も同じくウェルカムな気持ちであることは前述した通り。だが、話すことがない。アラブのことを知らなさすぎる。そこで「国民的人気のアニメはあるか?」と聞いてみたところ、なにやらもの凄い人気のアニメがあるそうな。


・アラブの国民的アニメ7選

「人気と言えばまずはこれ」みたいな感じで教えてくれたアニメの名前は『キャプテン・マージド』。海賊もの? それかアラブだし、砂漠のヒーローアニメなのだろうか? と思いきや、どんなアニメか聞いたところ、これこれとスマホ検索して見せてくれたのは……


『キャプテン翼』だった。

キャプテンってそっちィィィイイイ!? っていうか、キャプテン翼ってアラブでそんなに人気あったんだ! そう言えば、国民的人気のゲームを聞いた際は『FIFA』が挙がっていたし、本当に中東の人ってサッカー好きなんだなあ。ちなみに、他に挙がった作品は……

『名探偵コナン』
『ONE PIECE』
『未来少年コナン』
『UFOロボ グレンダイザー』
『恐竜大戦争アイゼンボーグ』
『ポケットモンスター』

──全部日本産やないかい! と思いきや、向こうでは「アニメ」という言葉自体が日本のアニメを指す意味として使われているほど日本アニメしかほぼない状態なんだそうな。

・設定の違い

ちなみに、『名探偵コナン』については設定が少し違うらしい。例えば、ヒロインの毛利蘭は原作だとガールフレンドだけど、アラブではガールフレンドが文化的にあまりよくないので婚約者になっているのだとか。

色んな作品で、文化的に馴染むようにそういったマイナーチェンジが施されているとのことなので、翼がマージドになっているのもその一環だろう。

それにしても、中東で日本のアニメがこんなに根付いていたとは。聞けば老若男女みんな知っているレベルというから相当だ。なんだか親近感が湧いてしまった。

・発見と出会いと熱

そんなカシュクール・ゲームズの作ったゲームは『Sheba(シーバ)』というアクションRPG。魔界村みたいなアクション感があるゲームで、アブダビ・ゲーミングブースの中の試遊では、個人的に一番とっつきやすさを感じる内容だった。

それでいて、中東っぽさムンムンの演出やストーリーはやはり異彩を放つ。もちろん、試遊できるものはゲーム内の言葉もちゃんと日本語で訳されていた。

様々なゲームの最先端が集まるTGS2024。すでに注目を集めている大手ゲームだけでなく、インディーゲームコーナーも色々と興味深い。ぶらぶらと歩くだけでも発見と出会いがある。新しい何かの産声を聞くようなブースの数々には独特の熱を感じたのだった。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼『Sheba(シーバ)』の試遊動画はこちら