紅茶の専門書などに「水の硬度によって紅茶の出方が違う」などと書かれているのを見る。
諸説あるようで「紅茶の本場のイギリスは硬水なので、軟水のミネラルウォーターは使わないほうがいい」とか、逆に「軟水のほうが美味しい」と言ってる本もあったり、わりと言ってることがマチマチなのだが、実際水の硬度ってどんくらい影響するのだろうか?
って、ことで水の硬度別に紅茶を入れて比較してみることにした! ストレートティーとミルクティーそれぞれで検証したら意外な結果になったぞ!
・用意したもの
まず、紅茶はどこにでも売っている「リプトン イエローラベル」のティーバッグ。
水は硬度別に軟水から超硬水まで以下の4種類を準備した。
・いろはす(硬度27 軟水)
・シリカ水(硬度135 中硬水)
・エビアン(硬度300 硬水)
・コントレックス(硬度1400 超硬水)
ストレートティー、ミルクティーともにリプトンの公式が推奨する入れ方で作ることとする。
・ストレートティーの比較
リプトンのパッケージに書いてあった通り「150ml・100度の熱湯にティーバッグ1包を入れて1分蒸らす」という方法で抽出。
分量も時間もきっちりはかる。
というわけで、4種類の硬度の水で紅茶を抽出した結果がこんな感じ。室内で撮影したので色味が分かりづらいのだが……。
肉眼で見ると、実はかなり色味に違いがあって、軟水は明るめの水色(すいしょく)で紅茶らしい赤みのかかった茶色をしている。
それに対して硬水は赤みがあまりなく黒っぽい色になって、なぜか油のようなものが浮いていた。
特に超硬水のコントレックスは油のようなものが浮いて不思議な色……。
さらに、時間が経つと茶渋みたいなものがハッキリと紙コップに付着した。
そして問題の味なのだが……軟水は口あたりがやわらかくて、紅茶らしい香りがはっきり出る印象。
香りと渋みの両方のバランスがいいのは中硬水(硬度135)のシリカ水だった。渋みとコク、香りのバランスがよくて美味しく感じた。冷めても香りがよかった。
硬水のエビアンは色が黒くて香りがよく分からないかな……。とはいえ、ここまでは「言われなきゃ分からないレベル」の違いだった。
ところが、唯一、はっきりと味が違っていたのが硬度1400の超硬水「コントレックス」。油が浮いて水色も変だし、口に入れた瞬間めっちゃまずい!!
<ストレートティー結論>
こころなしか、中硬水で入れた紅茶が美味しく感じた。ただし、コントレックスだけは絶対やめとけ!
・ミルクティーの比較
さて、今度はミルクティーの比較である。とある紅茶漫画で「イギリスで飲んだミルクティーの味が忘れられない」という紳士に現地と同じ硬水で入れたミルクティーを出して感激される……というストーリーがあったが、あれは本当なのか。
ミルクティーもリプトン公式にならった入れ方。
牛乳(100ml)と水(100ml)を鍋で沸騰させたら火を止め、少量の熱湯で蒸らしたティーバッグ2袋を鍋に入れて、3分間蒸らす……という方法。
抽出した結果を並べたものがこちら! 室内撮影で写真だとちょっとわかりづらいのだが、こちらも色から明確な違いが!
軟水で入れたミルクティーは色が薄い。味も水っぽくて、とにかく全体的に「薄い」という印象。
水の硬度が上がるにつれて、紅茶とミルクの風味が上がっていくのだが、もっともコクがあって美味しかったのは硬水の「エビアン」!
同じ条件で煮出しているのに、色が濃い。そして味わいも、しっかりミルク感と紅茶の渋みが感じられてすごく美味しいのだ。
ではひょっとしたら超硬水の「コントレックス」もミルクティーなら美味しいのでは? と思ったが、なぜか紅茶の色が薄いうえに、油分と水分が分離して変な味になっていた。
<ミルクティー結論>
硬水で入れたミルクティーはコクがあって美味しい! ただし、コントレックスだけは絶対やめとけ!
・紅茶と水の総論
実際に軟水と硬水でいれて飲み比べてみて、私が感じたことなのだが……。
ストレートで飲むなら軟水寄りの方が水色がきれいで香りも良い。ミルクティーは硬水の方がコクがでて美味しい。ただし超硬水のコントレックスは何をどうしてもまずいという結論に!
ストレートはそこまで差を感じなかったけど、ミルクティーは味が全然違ったので、みなさんも試しにエビアンなど硬度300前後の硬水でミルクティーを作ってみてほしい。
ただ、水の硬度が1400とバカ高いコントレックスは、ストレートでもミルクティーでもめちゃくちゃ不味いので気をつけてくださいませ。入ってる成分が、茶葉が開くのを阻害するのだろうか、うーん。
あ、ちなみに水道水でも紅茶を入れてみました。東京都の水道水は硬度100以下の軟水で保たれているそう。
バランスがよくてまったく問題なかったです。普通にストレートティーで飲む分には水道水で十分ですな。
というわけで、何事も自分で試してみないと分からないもんですね。あとは茶葉との相性なんかもありそう。紅茶好きの皆様もぜひ試してみてくださいませ。
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.