学生時代のバイト仲間から「昔から気になっている有楽町駅前の町中華に行ってみてほしい」と連絡があった。調べたところ、JR有楽町駅の改札から30秒もかからない圧倒的な一等地に昔ながらの中華料理店があることが判明。
お店の名前は「宝龍」、1970年代創業の老舗だそうだ。先日、有楽町で仕事があったのでランチタイムに店内をのぞいてみると本当に驚くほどの盛況ぶり。少しビビりながらも、活気あふれる町中華で850円のサービスランチを食べることにした。
・有楽町駅の宝龍
大学2年の頃、私は有楽町の映画館で夏休み限定の短期アルバイトをしていた。スピルバーグ監督の『A.I.』が公開された2001年の夏である。もちろんガード下の飲食店は当時からあったが、学生が入るには少々ハードルが高いと感じた。
実際、有楽町で働く会社員たちが次々に宝龍へと吸い込まれていく光景には圧倒させられる。昭和の活気がそのまま続いているような雰囲気。ただの老舗ではないオーラが漂いまくっていた。
学生時代から「宝龍が気になっていた」と語る知人は少し大人びていたように思う。ともあれ、食通として知られる彼が言うなら間違いない。カウンター席は満席だったが、空いたばかりのテーブル席に案内してもらえた。回転は早いようだ。
厨房では凄腕料理人たちが豪快に中華鍋を振っていた。エアコンはフル稼働。活気がえげつない。店員さんに「バンメン(汁なし和えそば)」を頼むもすでに完売。それならってことで「サービスランチ(850円)をお願いした。
んで、約2分後にやってきたのがこちら。
・サービスランチ
豚肉ニンニク芽炒めと麻婆豆腐、そして漬物、スープが付いたセットだ。立地を考えたらかなりリーズナブルではないだろうか。有楽町駅から30秒のスピードと価格ではない。提供スピードも人気の理由だろう。
シャキシャキとした香りの良いニンニクの芽と豚肉のコクがたまらん。厨房の活気そのままの味。汗を流しながら “活気” を口に入れるのだ。食べるだけで気合いが入る。
そんでもって麻婆豆腐も町中華らしい味。古き良き昭和の味。日本人好みのクセになる旨辛な麻婆豆腐に仕上がっている。ガツンとした辛さはないが、間違いなくご飯はすすむ。
おそらくこの良さは学生時代には分からなかっただろう。この熱気にのみ込まれていたに違いない。というより、限られた仕事の休憩中に汗をかきながら食べるから最高なのだ。氷水さえ美味しく感じる。
ちなみに支払いは現金オンリー。店を出ると目の前が有楽町駅……当然なのだが、やはり東京のど真ん中にあるとは思えないお店だった。今度はバイト仲間の彼とバンメンを食べに行きたい。うまかった。ごちそうさまでした。
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名:宝龍
住所:東京都千代田区有楽町2-9-16
時間:月・火・水・木・金 11:00〜23:50 / 土・日・祝日 11:00〜21:30
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.