熱海土産といったらひものは外せない。商店街を歩けばそこら中にひもの店があるし、なんなら道端にしれっと魚が干されていたりする。
アジやキンメが並ぶお店が多い中、熱海駅内にあるひもの店にはちょっと変わった商品が……。
それは「イカの口」。しかも有名どころのキンメやノドグロを抑えて、ひもの人気No.1だというから驚きである。
急にイカの口と言われてもどんな形状だったか全く思い出せないな。そもそもイカって口あったっけ……?
・イカに口はあります
「イカの口」は足(ゲソ)の付け根部分に存在する。筋肉でできた丸い球の中に、カラストンビと呼ばれる黒いクチバシのようなものがついていて、その器官で肉を噛み切っているらしい。
イカにそんな物騒な口が付いているとは全く知らなかったし、わざわざその口の部分だけを集めて食べて文化があることにも驚きである。イカが獲れるところでは珍味として重宝されているそうで、呼び名も「トンビ」「メガラス」「めぼう」など地域によって様々だ。
今回入手したのは駿河湾で獲れた「真いか」の口。この1袋で9匹分ものイカの口が使われているのか……。
七輪などは家に無いので、魚焼きグリルで焼いていこう。こちらがbeforeで……
after。かなり小さくなっちゃった! 焼けた匂いは完全にイカであるが、見た目はイカとは程遠いな。
食べてみると……なんだこれ!? グミみたいな食感だが、味はしっかりイカ焼き。イカのおいしいところがギュッと凝縮され、食べやすくなっているぞ!
程よい弾力とプリプリ感はホルモンに通じるところがあるな。中からジュワッと溢れる塩味もたまらない……! 固すぎず柔らかすぎずでプリっと噛み切れるのでストレスフリーだ。
「イカの口ってなんじゃそりゃ」って感じだったけど、実際に食べてみてめちゃくちゃ納得した。これは人気なの分かる……!
イカって身が良いかゲソが良いか好みが分かれるところだが、まさかの「口」という第3勢力が来ちゃったな。なんなら、食感・味わい共に両者の良いとこ取りをしているまである。
店頭で見つけた時は物珍しさからの人気だと思っていたけど、ちゃんと実力で勝負できるくらいの旨味を秘めていた! この味わいはクセになっちゃうかも……!
今回は熱海駅内のひもの屋さんで購入したが、静岡県だと東伊豆でもちょこちょこ見かけることがある。他県でも、イカが獲れるところならば売られていることもあるだろう。
イカの口ってイカ1杯から1つしか取れないから、結構希少部位みたい。海沿いの地域で出会った時は騙されたと思って食べてみて! 見た目以上の実力者だと実感して頂けることだろう。
執筆:まろ
Photo:RocketNews24.