
実際に取材や取材対象者にインタビューすることなく、芸能人のテレビ・ラジオ発言、SNS投稿を基に作成される──コタツに入ったままでも書けると言われる「コタツ記事」。筆者もそんなコタツ記事をしこしこと作って日銭を稼いでいるライターの1人だ。
そんな筆者のようなコタツ記事作成者でも “ドン引き” してしまうような芸能記事も存在する。例えば、各媒体からのニュース記事が集まるニュースサイトに出ていたこんな記事。
「バイキング1本いくら?」坂上忍 告白した“驚愕ギャラ”に共演者絶句「まじか…」
坂上忍さんがMCを務めていた『バイキング』(フジテレビ系)の1本あたりのギャラはいくらなのか、気になる人も多いはずだ。帯番組のMCはかなり稼げると聞く。
さて、いくらギャラをもらっていたのかなとクリックして読み進めていくと……
共演者が「バイキング1本いくらですか?」と尋ねると、坂上さんは「〇〇万円はいってますよね」と回答。オンエアでは金額が伏せられていた、と記事にはある。
「告白した “驚愕ギャラ” 」という煽情的なタイトルでクリックさせて記事を読んでもらう。にもかかわらず、一番知りたかった具体的なギャラの額は記事にない。これでは読者も「ネット記事ってこんなのばっかりだよな」となってしまうのも仕方がないだろう。
確かにタイトルと記事内容に相違はないと言えばないのだが、一番知りたかったことが書かれていないというのは “スカされた感” がハンパない。
・「ネット掲示板レベルの悪口」のタイトルの記事
続いては、Yahoo!ニュースで見かけた、こんなタイトルの記事にも驚いてしまった。
木村拓哉の自撮りショットに賛否「マッチングアプリのおじさんのアイコン見てる気分」「ダメなSNSの使い方」 “何やっても炎上” はスターの宿命か
「マッチングアプリのおじさんのアイコン見てる気分」というのはSNSユーザーの投稿を引用したものだが、これでは『5ちゃんねる』や『ガールズちゃんねる』などのネット掲示板の悪口と同じレベルだろう。
メディア側が「マッチングアプリのおじさんのアイコン見てる気分」と最初に書いたわけではなく、SNSユーザーの投稿を引用したというエクスキューズで成り立っている記事だ。
タイトルの「 “何やっても炎上” はスターの宿命か」という文言で一応は木村拓哉さんをフォローしているのだろうが……。
・“ドン引き” だがネットニュースとしては優秀
しかしながら、例として挙げた2つは芸能コタツ記事として優秀でもある。
芸能人のお金の話は読者の野次馬根性を刺激するのでクリックしてもらいやすい。テレビ発言を書き起こしただけの記事ではあったが、結構な人がクリックしてしまったのではないか。
木村拓哉さんの記事の場合、まずは『Yahoo!ニュース』でクリックしてもらい、【画像リンク】から実際に画像が見られる自サイトに誘導しやすい。「マッチングアプリのおじさんのアイコン見てる気分」と言われた画像がどんなものか見たくなるのが大衆心理というものだろう。
あまり大手ネットメディアが使用しないキツめの悪口ではあるが、とんでもなく引きのあるタイトルになっている。
当連載第2弾の記事では『Yahoo!ニュース』や『SmartNews』に掲載された記事が1クリックされると0.2~0.4円ほど、自社の本サイトで記事を1クリックしてもらえれば1円ほどが新聞社や出版社に入ってくる、というお金の流れの話をしたが、木村拓哉さんの記事はまさにその流れで自サイトに読者を呼び込める記事なのだ。
2つの記事は芸能エンタメ記事を配信するメディアに求められる「読者にクリックさせる」と「自サイトに誘導する」という目的を見事に果たしている。
ただ、こんな記事ばかりだと芸能コタツ記事は早々に読者に見限られてしまうだろう(すでに見限っている人も多いだろう)。そうならないためにもある程度、クオリティの高い記事を出していくことが求められるが──。
田中ケッチャム



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