スーパーに併設するイートインコーナーやカフェについて、皆さんはどんなイメージを持たれているだろうか？　私（佐藤）はスーパーのオマケだと思っている。買い物がメインで小休憩するような場所。もしくは購入商品を食べられる間に合わせの場所と考えている。

だが、埼玉・三郷に2024年6月20日にオープンした「ブランデ三郷店（BLANDE MISATO）」は違うぞ。ここはなんと「真のナポリピッツァ協会」の認定店の本場のピザが食えるのである。なぜそんなに質の高いものを出せるのかというと……。

・カスミ最大規模

このお店は、茨城・つくば市に本社を置くスーパーカスミの実験店舗である。以前はスーパーカスミとして営業していたものの、建物の老朽化で2021年に閉店。3年間近隣の仮店舗の営業を経て、6月に「ブランデ」としてオープンした。

ブランデ業態はつくば並木店（2022年1月）、研究学園店（2022年2月）に続き、ここ三郷が3店舗目。

ドラッグストア「ココカラファイン」と100均「ダイソー」と共にこの建物の2階にあり、売り場面積は約3000平米、カスミの中でも最大規模なのだとか。

・普通と違うスーパー

早速2階に上がると、売り場は天井が高くて広々とした印象。全体的に明るく、どことなくイオンに似た雰囲気を感じる。

それもそのはず、カスミは2015年にマルエツ・マックスバリュ関東共に、共同持ち株会社の「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」を設立している。イオングルーブに属しておりトップバリュの商品もあった。

話を戻そう。お店の取り扱う商品は普通のスーパーと変わらないように見えるが、実際はヨソとはずいぶん違った。たとえば花屋は、別テナントで入っているケースが多いのだが、ここは自前で運営している。

それから「クッキングコミュニケーション」というコーナーがあった。ここは旬の食材や献立の提案を行ってくれるそうだ。いわゆるコンシェルジュサービスといったところだろうか。

陳列商品をよく見ると、カスミの自社ブランド「MiiL（ミール）」のものが並んでいる。スーパーカスミで自社商品はそれほど目立っていた覚えはないのだが、ここで見るととても魅力的に感じられる。商品の陳列やレイアウトで、高級感を上手く演出できているからかも。

店舗奥の方がやけににぎやかだ。何かやっているのかな？　と思い、行ってみるとそこは鮮魚コーナーだった。並んでいる魚はどれも鮮度が高そう。スモークの演出も相まって、「ピチピチ」という言葉が脳裏に浮かんだ。

ショーケース下には伊勢海老！　生きてる!!　豊洲かよ！

街場の魚屋さんのように、下処理や2枚おろし・3枚おろしを無料でやってくれるそうだ。下処理は台所が汚れるしゴミも出るので、お店でやってもらえるのは助かる。

広々とした鮮魚コーナーに対して、精肉コーナーはこじんまりとしていた。その分、並ぶ品数は圧倒的に精肉の方が多かったけどね。

冷凍スイーツコーナーも品数豊富。ショートケーキ缶をはじめ……。

アイスはご当地のものがズラーっと並んでいた。うちの地元（島根）の白バラのアイスまであってちょっと嬉しい。ちゃんと「ご当地」している。どの商品もとにかく種類が豊富であるところを見ると、このお店は品数で勝負しているのかもしれない。

品数で広くスペースを割いていたのがお酒コーナーで、その中央にはバーがある！

ここで飲めるし、ツマミも頼める！　買い物の合間に1杯できちゃう「飲めるスーパー」だな。買い物に乗り気でないお父さんを、ここに置き去りにしておくことも可能である、うん。

ワインとクラフトビールの品揃えがすごくて、その数は専門店に匹敵するレベルではないだろうか。

続いて総菜コーナーを見ると、やはり数は多い。けど、価格はそれほど安いわけでもないかなあ。例えば、鮭のり弁は税込645円。モノは良さそうだけど、普通といえば普通。

数の強みをいかしてこんな売り方も。4種の総菜を組み合わせ自由で税込756円で販売していた。買い物は安さだけでなく、選ぶ楽しさも大事だから、そこに力を入れているんだな。

……かと思えば、大ボウルサイズのグリーンサラダが税込537円だったりして。とにかく幅広く商品を扱っている。

・アミーチのピザが食える！

ここでおすすめしたいのは冷食コーナーである。自社製品も大量に用意されているのだが、カスミ系でしか買えないスゴイものがあるんですよ。

それが、茨城・つくば市にお店を構える「トラットリア アミーチ」完全監修の商品である。

アミーチは「真のナポリピッツァ協会」の認定店舗であり、お店を訪ねたことのある当編集部のメンバー全員が絶賛するイタリアンだ。

その味を家で食えるなんて素晴らしい！　でも残念なことに、この炎天下で冷凍ピザを無事に持ち帰れる気がしない。無理や……。

でも大丈夫！

焼いたピザを販売しているのである。それを持ち帰ってもいいけど、もっと良い方法がある。

イートインコーナー（DELY BREAD Cafe ＆ Bar）で焼きたてを提供してもらえるんだぞ～！

冷凍とはいえ、一流イタリアンの焼きたてピザを食えるスーパーって何なの？　品揃えもすごかったけど、むしろこっちがメインじゃない？

で、カフェの方も本格的でベーカリー商品は、専門店に負けず劣らず。

朝はモーニング、昼から夜にかけてはカレーやパスタ、ラタトゥイユやボルシチが食えます。ボルシチが食えるスーパーってスゴイな!?

13～16時までは「アフタヌーンティー」（税込1738円）のご用意もございます、お客様。

これまでのスーパー併設のイートイン・カフェの概念を覆し、1つの店としてしっかり営業している気概を感じる。全然オマケじゃない！

・ナポリピッツァだ！

さて、先ほど注文しておいたアミーチの「マルゲリータ」（税込1078円）と、サザコーヒーの「アイスコーヒー」（税込550円）が出てきた。ピザは焼き上がるのに約15分ほどかかる。

サザコーヒーも茨城発祥で、ひたちなか市に本社を置く。店内にはサザコーナーを大きく設けており、地元贔屓なカスミの姿勢を垣間見ることができる。そういうのいいよね、同郷同士で支え合って広げ合えるって、良い関係だと思います。

近年の冷凍ピザの進化には目を見張るものがあるのだが、アミーチの冷凍マルゲリータもまた、かなり本格的な仕上がりのようだ。

実際に食べてみると……。これはたしかにアミーチの味だ。何度かお店で食べたことがあるからわかる。ソースは間違いなく、アミーチのもの。濃厚なトマトと芳しいバジル。私はアミーチのピザを食べてはじめてナポリピッツァの美味しさを知った。

あの忘れがたいファーストインパクトがよみがえる。これは、あのナポリピッツァだ！

ただ、本当の味を知るがゆえなのだが、生地はお店で食べる出来立てよりも、さすがに少々劣る。いくら冷凍技術が進化しても、やっぱり出来立てには敵わない。とはいえ、一般的な冷食ピザの領域をはるかに超えている。

そんなわけでブランデは、アミーチのピザをはじめとしていろいろ型破りだ。実験店と位置付けられているだけのことはある。そんな挑戦的なお店が近くにあって、三郷の皆さんがうらやましい！

だってほかにも、ららぽーともあるしイケアもあるしコストコもMEGAドンキもあるでしょ？　三郷っていいな～！　うらやましい!!　うらやまし過ぎる！　割とマジで引っ越したい!!　ともあれ、アミーチのピザをお試しあれ。

・今回訪問した店舗の情報

店名　ブランデ三郷店
住所　埼玉県三郷市三郷1-3-1
営業時間　10:00～22:00

参考リンク：カスミ、流通ニュース、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス、サザコーヒー
執筆：佐藤英典
Photo：Rocketnews24

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