驚安の殿堂『ドン・キホーテ』。最近は世界中に店舗を展開している影響か、珍しい海外の商品が多く陳列されるようになった気がする。

さて先日、近所のドンキに行ったとき『パステル生地』という謎の商品を発見。なんだか面白そうだったので、ついつい購入してしまった。

パステル? 海外の食べ物のようだが全然知らないぞ……まぁ、とりあえず勢いで作ってみよう!

・ブラジルの国民食

こちらが購入した「パステル生地」なる謎の商品。店内の説明によるとブラジルの国民食に用いられる生地なのだとか。

青色の『デ フェイラ(税込430円)』、赤色の『デ フェスタ(税込381円)』2種類あったのでそれぞれを購入した。


果たして2つの違いは何なのだろう? 店内に説明がなかったので、栄養成分を見比べてみたのだが……困ったことに全く一緒。どうやら、小麦を使った製品ということは分かった。

てか、輸入食品かと思っていたのだが国内で製造された商品だと知って驚いた。


結局、成分表からは違いが分からなかったので中身を確認してみたのだが……これまた一緒。2種類とも薄い生地がロール状に巻かれた状態でパッケージングされていた。


手に持ってみると、なんだか秘伝の巻物みたいで面白い。


せっかくなので、ロールを解いて広げてみた。すると……赤色の『デ フェスタ』のほうが、わずかに長い!

この時点で判明した違いは「生地の長さ」。とりあえず調理をしてみて、他にどのような違いがあるのかを検証してみよう。



・味の違いは?

パッケージ裏を見てみると、「適当な大きさに切り分けた生地の中に、好きな具を包んで揚げれば完成」との記載があった。

なるほどね~、春巻き的な食べ物が作れるということか。パステルがどのような食べ物なのかは、なんとなくイメージが掴めた。

ただ、気になるのは『デ フェスタ』と『デ フェイラ』の味の違いだ。まずは生地だけを揚げて違いを確かめることにする。


ほんのりと塩味が効いたサクサク食感の生地は、そのままでも実に美味しい! でも……。

私が食べた限りはどちらも寸分の狂いなく一緒の味だった。分からない。2つの違いが分からない! とにもかくにも調理を続行しよう。



・作りかたは簡単

前置きが長くなってしまって申し訳ないが、いよいよブラジルの国民食『パステル』の調理にとりかかる。


「生地に好きな具材を包んで揚げればOK」とのことだが、本場ブラジルではどんな食材を包んでいるのかが見当もつかない。なので、ネットを駆使しレシピを調べてみたところ……なんと!


ロケットニュースが『パステルの記事』を掲載していた。


記事の内容をもとに、挽き肉(豚) & チーズを用意。あとは家にあったツナ缶 & 玉ねぎも入れてみよう。


挽き肉と玉ねぎをオリーブオイルで炒めたタネと、ツナ缶と玉ねぎをマヨネーズ&黒コショウで和えたタネを用意した。

結局、詳細な本場流の味付けが分からなかったので、シンプルに塩コショウで味付けしてある。


お次は、完成したタネ & チーズを切り分けたパステル生地の上に乗せて包む。


パッケージ裏の説明によると、フォークの背を使って生地を閉じるのを忘れずにとのこと。


今回は食べ比べをしてみるために、『デ フェスタ』と『デ フェイラ』それぞれ2種類ずつ用意した。


さぁ! ここまで来たら、あとは揚げれば完成。記載がなかったので180℃くらいの中温で揚げてみたところ3~4分ほどで、こんがりと綺麗に揚げることができた。

・食べやすくて美味い!

ではでは人生初の『パステル』を食べてみることにしよう。


おぉ! 完全に自己流で作ってみたのだが、めちゃくちゃ美味しい!

サクサクとした軽い食感が食べやすくて最高だし、タネの味付けもイイ感じ。意外にも油っこさが少ないのでどんどんイケる。てか食べてみて感じたのだが、これ……


マックの『パイ』にめちゃくちゃ似ているぞ!


いやもう正直それにしか思えない。生地の味・食感がマジで似てる。けれど似てるからこそ食べやすくて美味い!


ちなみに、ツナ味も相性抜群だったのでオススメだ。


いやぁ~美味しかった。このパステル生地は『デザート系の具材』を包んでも面白そうだな。いろいろ試したくなる最高の商品を発見することができてよかった! のだが……1点だけ解決していない問題がある。


『デ フェスタ』と『デ フェイラ』の違いだ。


調理して食べ比べまでしてみたのだが……実のところ、全長以外の明白な違いが分からなかったのだ。



・まさかの答え

どうしても2つの違いが気になった私は、ブラジル料理屋さんで答えを教えてもらうことにした。


ブラジル出身の店主さんに話を伺うと、即答で

「どっちも一緒! 変わらない! 一緒!」

との回答をいただいた。


マジかよ……


結局のところ……一緒かいッ!!

 


一応、『デ フェスタ』は、お祭りやホームパーティーを意味する言葉。一方で『デ フェイラ』は、フリーマーケットや市場を表す言葉となっている。

青色が「家庭用」、 赤色が「業務用」 的な意味合いはあるとのことだが、基本は一緒なのでどちらでもOKだそうだ。


まさかの回答に拍子抜けをしたが、答えを知ることができてよかった。んで、せっかくここまで来たのでブラジルの料理人がつくる「本場のパステル」を食べてみることにした。


一番ポピュラーだといわれる『牛肉のパステル』をいただく。具材は牛挽き肉のみだが、とにかく牛肉の味が強くて美味しい。

ちなみに家庭で作る場合は、市販のステーキ用シーズニングで味付けした牛挽き肉を包めば、本場に近い味になるとのことだ。



・親近感

最後に、店主さんはこんなことを教えてくれた。

パステルの具材は基本的に自由。同じ見た目でも、お店や家庭によって各々こだわりの味つけや具材があり、数えきれないほどのバリエーションが存在するのだとか。なので、ブラジルに住む人はそれぞれ一番お気に入りの『推しパステル』があるとのことだ。

へぇ~パステルの世界は奥深いのだな。なんだか、日本でいうところの『ラーメン』に近い立ち位置なのかもしれないと感じた。同じ小麦を使った食べ物なのに地球の裏側に行けばこうも変わるから面白い。 

全く未知の食べ物だったのだが、話を聞いてなんだか親近感を覚えることができた。


てな訳で、ドンキで見つけた謎の商品『パステル生地』は、作り手によって無限に美味しさが広がる奥深い商品であった。

簡単につくれるので、皆さまもぜひパステルを調理してオリジナルな味に舌鼓を打っていただきたい。

執筆:イナバタクヤ
Photo:RocketNews24