ポータブルオーディオを発明したのはSONYである。1979年にカセットテープの再生機器「ウォークマン」の1号機を発売した。今でこそ、スマホで音楽を聞くのは当たり前になっているが、ウォークマン以前は手のひらに収まるサイズのオーディオ機器はなかった。ヘッドフォン・イヤホンの進化もウォークマンの登場により加速したと言っていいだろう。

そんなSONYの格安イヤホンは、ポータブルオーディオの先駆けとしての実力を備えているのだろうか? 1064円の製品を購入して、実際に聞いてみた

・SONYの格安イヤホン

私(佐藤)はウォークマンで初めて音楽を聞いたときのことを鮮明に覚えている。あれは中学1年生の頃だったと思う。初代ウォークマンが登場してから数年経っているが、それでも当時はまだSONYがシーンをけん引していた。

父が買ってくれた製品に、サンプルのクラシック音楽のテープが付属していて、それをヘッドフォンで聞いたら「頭の中で音楽が鳴っている!」と衝撃を受けた。以来トリコになって、サンプルテープをずっと聞き続けたものだ。それこそ擦り切れるくらいに。


今回はそんなポータブルオーディオの生みの親、SONYの「MDR EX15LP」である。Amazonでの購入価格は税込1064円。Amazonでの取り扱い開始日が2013年となっているので、10年以上売れ続けているロングセラー製品だ。


製品と「ハイブリッド」と名付けられたイヤーピース3種(S・M・L)。それにケーブルの長さを調整できる、巻き取り式のアジャスターが付いている。


こういう串団子のようなまとめ方をしているイヤーピースは初めてだな。かさばらなくてゴミも少ないからイイね。


ドライバーユニットはダイナミック型でかなり小ぶり。


装着してみると、耳の収まりが良い。イヤーピースがしっかりグリップするので、すっぽ抜ける気がしない。さすが「ハイブリッド」と名付けられているだけのことはある。運動しても抜け落ちる心配はなさそうなので、ランニングのお供にも良さそう。



・聞き比べ

今回の検証に使う楽曲は、ジャクソン5の『I Want You Back』である。これまで映画音楽を中心にクラシックを聞いてきたが、暑くなってきたので、気分を変えて元気なソウルを選んでみた。

まずはいつものように、低価格で高いパフォーマンスを発揮するJVCケンウッドの「HA-FX6-T カナル型イヤホン」で聞いてみよう。


この曲はギターのカッティングが特徴的だ。その裏でダイナミックなベースラインがカッティングをずっと下支えして、グルーブを生み出している。カッティングとベースラインがほどよく聞き取れてこそ、この曲の魅力を感じるわけだが、HA-FX6-Tは両方の音をしっかりと分離している

カッティングが右側だけで鳴っているので、少々耳障りがするんだけど、そのクセを上手く調整できている。とにかくバランスの良い逸品だ。



続いて、SONYのイヤホンで聞いてみよう。


パッケージに「音漏れ低減」と記載しているだけあって、とても抑制的な音がする。激安な海外のメーカーの製品と違って、きっちりとチューニングしていることがわかる。さすがSONYだ。長年売れ続けているのにも納得。

ただ、少し低音が物足りないかな。先にも述べたように、ベースラインがグルーブ感を出しているので、その音域が物足りないのが惜しい。いい線いってる良品なのはたしかだ。

最近紹介した製品は低音質のものが続いていたので、久しぶりに良い音にめぐり会えてうれしい。だが、JVCケンウッドの牙城を崩すには至らなかった。よって順位は以下のように変動している。


1.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン 税込821円
2.セブンイレブン(JVCケンウッド)「HA-FX711F-B 税込1207円
3.SONY「MDR EX15LP 税込1064円


このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。

参考リンク:AmazonSONY
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24