バスに乗るようになってから、少しモノの見方が変わった気がするんですよね。電車なら素通りしてしまう景色も、しっかりと目に映る。歩く時間も長くなりましたから、ゆっくり街を楽しめるようになったんです。どうも佐藤です! 今回はそのゆっくりとした目線で、私にとって割と近い街を探索したいと思います。
今回は東京・杉並区のコミュニティバス「南北バス すぎ丸」のけやき路線で、街を循環してみたいと思います。どんな景色に出会えるのかな? それじゃあ、行ってみましょう。レッツゴー!
・循環バスではなく
すぎ丸は、JR西荻窪駅~五日市街道区間の「かえで路線」。JR阿佐ヶ谷駅~京王井の頭線浜田山駅区間の「けやき路線」。そして、京王井の頭線浜田山駅~京王線下高井戸駅区間の「さくら路線」の3路線を運行しています。
先にひとつお断りをしておきますが、今回のけやき路線。厳密には循環バスではありません。というのは、阿佐ヶ谷駅発の便は浜田山駅が終点で、浜田山駅発の便は阿佐ヶ谷駅が終点になっているため、それぞれ一方通行なんですね。
一応、往路と復路を乗り継げば、元の阿佐ヶ谷駅に帰って来れるし、路線が環状になっていることから今回乗車しました。その点、ご了承ください。運賃は大人も子ども(未就学児は無料)も1乗車100円です。
・パールセンターは後ほど
さて、出発地点の阿佐ヶ谷駅南口に来ました。ここはある意味、私の生活圏内。勝手知ったる場所でございます。とはいえ、今日は観光気分でバスに乗車したいと思いますよ。
駅を出るとすぐ目の前にバス停がありました。浜田山駅行きの0番、ここが最初の乗車地になります。
1時間に3便、20分置きの運行で、すでに車両は停留所でスタンバっています。発車時刻までまだ10分以上ありますが、すでに待っていてくれるので、助かりますね。
コミュニティバスは道路事情の悪いところを走ることが多いので、定時に来るとは限りません、発車時刻ギリギリに来る便もしばしば。その点、この便は時間に余裕があるので、安心して乗車できます。
いまさら言うまでもありませんが、この車両は皆さんご存じの日野のポンチョですよ。もうわかりますよね、覚えてくださいね。
では、行きましょう。出発進行~!
発車するとすぐに目に入ったのは、阿佐ヶ谷の象徴とも呼べる「パールセンター商店街」です。ここは後ほどじっくり散策しますよ。
ちなみに「パールセンター」という名称は公募で決まったそうです。「真珠の首飾りのように結び合って繁栄していこう」というのが由来なのだとか。アーケードは昭和37年に完成し、現在は2代目アーケードなんだそうです。
こちらが商店街の南の入り口になります。あとでゆっくり来ますからね~。
少し本題から話は逸れますが、私、いまさらAppleの純正アプリの優秀さに気づいたんですよ。というのは、バスの路線が見やすいんですよね。今までずっとGoogleMapsを使ってましたけど、情報過多だし、路線によっては地図上に表示されないこともあって、困るんですよねえ。
AppleMapsはスッキリしてて見やすいので、バスに乗るときはおすすめですよ。
・三年坂で転ぶと……
さて、本題に戻りましょう。7番目の停留所「善福寺川緑地」で降りました。善福寺川に沿うように広大な公園が広がっています。春は川沿いのサクラが満開で、キレイなんですよねえ。今年は開花がスムーズではなかったので、風情のある景色になったかどうか……。例年は花見シーズンに大変混雑しています。
初夏を感じる今の季節も良いですね。新緑が鮮やかで清々しい!
でも、今時期はカラスの繁殖期なのでご用心ください。近隣でカーカー鳴いているのが聞こえます。時々、威嚇するように滑空してくるので、気づかずに巣に近づいてしまわないように、ご注意を。
緑地は道路を挟んでまだまだ向こうまでずっと続いていきます。ここで私は右折。ちょっと寄りたいところがありましてね。
寄りたい場所というのはココ、「三年坂」と呼ばれる場所です。
この坂には驚くべき言い伝えがあるそうですよ。杉並区のサイトにはこう書かれています……。
「この坂で転んだものは、3年きり生きられないとか、3年たつと死ぬとか言われた伝承がありました」
名前の由来も言い伝えの真偽も不明ですが、転ばないに越したことはないので、気を付けて歩きましょう。道幅が狭いので、車とすれ違う際はとくに気を付けてください。
・変わった公園
もう少し歩きましょう。次に向かうのは「杉並児童交通公園」です。ここはちょっと変わった公園らしいんですよねえ
到着しました、ここですね。公園ってことですけど、学校みたいな雰囲気がありますね。
実はここ、交通遊具がありましてね、園内はアスファルトが敷かれていて、信号機もあるんですよ。自転車と足踏みゴーカートで走りながら交通ルールを学べる場所なんですねえ。
子どもたちはゴーカートを走らせながら、楽し気に信号待ちをしていました。子どもたちはちゃんとルールを守っているというのに、大人の私がルールを破って信号無視するわけにはいきませんからね。かえって、こっちが緊張してしまいましたよ……。
そのほかD-51型の蒸気機関車やミニ東京駅なんてのもありました。こんなに立派な公園が近くにあるなんて、知りませんでしたよ。お子さん連れはとくに楽しめる施設です。
自転車もゴーカートも貸出無料。ただし利用には年齢制限があるので、あらかじめご確認ください。
・エビにすべきだったか
再びバスに戻ろうとしたら……。あら~、今、行っちゃいました。
1個先まで歩いてきました。まだ少し時間はあるけど、ここで待ちましょう。そうしないと、バスに乗らずに浜田山駅に着いちゃうのでね。
待つこと約5分、来ました。今日の2台目ですね。
「浜田山小学校」で乗車して2つ目で「浜田山駅」に到着しました。駅の真ん前が停留所なので便利ですね。高齢者には優しい運行設計をしています。
京王井の頭線浜田山駅。駅周辺にはお店が立ち並び、成城石井・西友・コモディイイダなどのスーパーもあるので、住みやすそうな街ですね。
ここでお昼にしましょう。支那そばの「たんたん亭」に寄りたいと思います。ここは老舗で地元の人はもとより、ラーメンファンの間でも名店として知られています。昼時は常時満席でした。
私が注文したのは、「チャーシュー肉ワンタンメン」(税込1700円)です。少々奮発してしまいましたけど、チャーシューも肉ワンタンも両方食べてみたかったんですよねえ。どっちかを選べなかった……。
ワンタンは皮がプルップルで、餡を食べるというよりも皮を食べる感じ。で、これを食べた瞬間に「エビワンタンだったかも……」と思ってしまいました。
肉ワンタンも美味しいんですけど、きっとエビのプリプリが皮のプルプルにジャストマッチするんじゃないかって。実際常連さんらしきお客さんは寡黙(かもく)に「エビワンタン……」と注文していましたから。肉ワンタンも美味しいんだけどね……。
スープは魚介を感じる昔馴染みの支那そばの味。正直、魚介は得意ではないんですけど、ここのはクセや臭みがなくて、グイグイ飲めます。
少し芯のある細麺は、パスタで言えばアルデンテ。噛むとほのかに小麦の風味を感じさせます。むろん、チャーシューも分厚くて食い甲斐アリ。1つひとつの素材が力強いのに、それらが不思議なほど調和している一杯でした。
・ここに来たかった!
ここから復路です。先ほど降りた浜田山駅の停留所から乗って、再び阿佐ヶ谷駅へと帰りましょう。帰りは今回のバス旅でどうしても寄りたかった場所に行きますよ。
その寄りたかった場所は、「成田西子供園前」で降りて少し歩いたところです。ここの停留所は「児童交通公園入口」のひとつ北側にあたりますね。
ここがその場所です。
景色を見ても、どこに来たかわかりませんよね。ここは善福寺川緑地の一部なんですが、ある名前で呼ばれているんです。その名前はAppleMapsにも載っていました。
\\\ その名も、ロケット公園 ///
ロケットニュースの記者がロケット公園に来てみた!!
しかし今日に限って、ロケットニュースのオリジナルTシャツ着てこなかった! マジかよ!!
ってことで、ロケットニュースがロケット公園に来たのに、ロケットTシャツ着ていないという残念な状況を作り出してしまいました。誠に申し訳ございません……。
ところで、ここがロケット公園と呼ばれているのは、この遊具がロケットっぽいことが理由だそうです。
この周辺は治水工事を計画されているそうで、もしかしたら自然豊かな景観が変わってしまう可能性があるとのこと。できるだけ長く、人が自然に親しめる場所として残ってもらいたいものです。
なお、今日私が歩いたのは赤丸で囲った範囲、善福寺川緑地の約半分です。下流の和田堀公園まで含めると、とても広大な公園です。端から端まで走ったら、良いジョギングコースですね。
さあ、そろそろ駅に向かって帰りましょう。「阿佐ヶ谷住宅南」で今一度バスに乗ります。
コレに乗って、パールセンターの方へと行きましょう。
2つ先の「青梅街道入口」で降りました。ここから商店街を堪能しましょうかね。
・パールセンター堪能
まずはパールセンターの南にあるすずらん通りにある「ブティックモニ」。ここは洋服屋さんなのに、餡子を販売しています。2017年にお伺いしたところ、静岡のご親戚が製餡所を営んでおり、「美味しいから」という理由で販売しているとのこと。
現在もこしあん・粒あん・白あんを販売していらっしゃいます。
そこからアーケードのあるパールセンターへ。
そういえば! ファッションセンターしまむらが世界的なロックバンド「メタリカ」のTシャツや靴下を販売しているんだった! これは寄らねば!! と思い、ピーコックの2階にあるお店へ。
しかし残念ながら、すでに完売。さすがメタリカ……。いや、メタリカに目をつけ、それを商品化して販売したしまむらの方がスゴイ。安い衣類を売る、そのブランドイメージを覆し、あのメタリカを売り切るんだもの。しまむらスゲエ。
パールセンターには美味しい専門店がいくつもあるんですよね。たとえば、「うなぎの稲毛屋」は阿佐ヶ谷姉妹も絶賛するお店です。焼鳥も評判でついニオイに誘われてしまいます。
それから軽井沢に本店がある「ちもと総本店」の唯一の直営店が、パールセンターにあります。
これからの季節はやはりかき氷ですよね。ここの氷は軽井沢の天然のものを使っています。氷には季節的に少し早い気もするけど~……。いや、今どき冬でもかき氷があるんだから、今日は食っちゃおう!
ってことで、以前食いそびれた「生いちご」(税込1300円)にしました。
深紅のシロップが美しすぎる! 生イチゴのシロップが美味しすぎる! まるで果実をそのまま食べているような甘さと酸味。天然氷だから頭も痛くならない。まだ暑さの盛りではないですけど、これから夏に向けて日を追うごとに美味しくなるはずです。
阿佐ヶ谷といったらここも外せない。「たい焼きの開き」でお馴染みの「ともえ庵」。訪ねたところ、ちょうどテレビか何かの取材が終わったところだったようです。そういえば、最近よくテレビ取材に遭遇するんですよね。タイミング悪いのかな……。
5月11日~6月9日までの期間限定「梅干白玉たいやき」(税込450円)を頂きました。
ともえ庵の定番「白玉たいやき」の白玉に梅干を練り込んであるそうです。
梅干の酸味がアクセントになって、餡子の甘さが引き立っています。餡子と梅干って意外と合うもんなんですね。9日までで終了のようなので、気になる人はお早めに~!
最後に「浦重蒲鉾店」に寄りましょう。ここで晩御飯のおかずでも~。
おでん種を中心に、総菜やおでんそのものの販売もしています。暑い日のおでんもいいねえ~。
あれこれ悩んだ結果、決めかねてさつま揚げの10個セット(税込1100円)を買いました。今晩はこれを頂きましょう。
ということで、パールセンターを散策しつつ、駅の南口に帰ってきました。その気になったら、もっと買い物できたけど、アレもコレもとなっちゃいそうだったので、この辺で切りあげます。
今回の所用時間は3時間半。公園でゆっくり過ごせば、1日でも楽しんでられそうです。ぜひ参考にしてくださいね。それでは、また次の循環バスでお会いしましょう。それまで、ごきげんよう~!
参考リンク:南北バス すぎ丸、杉並区[1、2]、パールセンター商店街、東京新聞、ちもと総本店、ともえ庵、浦重蒲鉾店(公式インスタ)
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24