私(耕平)は千葉県住まいだが、アラフィフになる今までの人生で、あまり関東地方から出ることがなかった。
年に1、2回行く旅行も、沖縄がほとんど。だが日本には、まだまだ良いところがあると思う。それを知らずに後悔するのだけは避けたい。
そんなわけで、今年からは時間とお金に余裕があるときは、できるだけいろんな場所に行こうと決めた。その第1弾として選んだのは、まだ行ったことのない大分県。
ちゃんと下調べをしたつもりで向かったのだが……自分の詰めの甘さに後悔することとなった──。
・大分空港を降りたら……
私が大分県に行こうと思った理由は単純で、「行ったことのない都道府県で、土日で安く行けるところ」という条件だったから。
その前提で調べていたところ、LCCのピーチ航空で大分までの往復便が、なんと17340円!
土日でこの金額で行けるのはラッキー。そんな巡り合わせもあって、行ってみようと思った次第だ。
そして当日、無事15:00過ぎに大分空港に到着。
事前に調べた情報だと、ここから宿泊先である中津までは高速バスを使うのが早いらしいとのことだった。ただ、その高速バスが来るのが16:40。
すなわち空港で1時間半くらい待機することになる。1泊2日の旅で、この待機時間はロスでしかない。そこで空港で待機しているタクシーで移動しようと考えた。
で、どれくらいかかるか調べたところ……
メッチャ高ぇ。
中津までは片道で23500円。せっかくLCCで安く航空券を抑えたのに、県内の移動……しかも片道だけで、その値段を軽く超えてしまう。この時点でタクシーという選択肢は無くなった。
さあ、どうしたものか。とりあえず空港にいた高速バスの受付の人に聞いたところ、なんと5分後に路線バスが来て、空港から1番近い鉄道駅である「JR杵築(きつき)駅」まで行くという。
しかも、1000円かからず行けるとのこと。中津までの直通バスは1550円。一方、電車で杵築から中津までは特急料金で1700円かかるが、到着時間は1時間以上早い。
それならタクシーで移動するより金銭的な負担はだいぶ小さいと考え、路線バスの乗り場までダッシュ! なんとか、無事乗ることができた。
・痛恨のミス
バスに揺られること、約30分。「本日ご乗車いただき、ありがとうございました」というアナウンスが流れ、「杵築バスターミナル」というバス停に到着。
私の他に乗っていた乗客は全員下車。入れ替わりでバス停で待機していた人たちが一斉に乗り込んだので、おそらくここが終点なのだろう。
周りに駅前っぽい雰囲気はあるが、駅を探すも見つからない。そこでマップで検索したところ……
やってもうた〜!!
マジか……このバス停、終点じゃなかったんだ。しかもJR杵築駅までは約5km。歩いて1時間くらいと、これまたタクシーを拾おうか微妙な距離。
次のバスを待つという選択肢もあったが、出発時刻の17:37まで1時間半近く、この見知らぬ土地で待たなければならない。
少し悩んだが、とりあえず歩きで杵築駅まで向かって、途中でタクシーが走っていたら乗ることにした。
歩き始めて数分、どうやらこの辺りには武家屋敷などの施設があるらしい。
昔ながらの雰囲気が感じられるタバコ屋など、知らない土地を歩くのも悪くないな……と感じながら、歩き進める。
その後、20分くらい歩き続けてバス停を発見。しかし現在16:30過ぎ、終バスはすでに終わっていた。
さらに歩き続けるが、タクシーは一向に通る気配がない。っていうか、車すらほとんど通っておらず、ゴールもなかなか見えてこない。
その後、少し交通量が多い道に出る。マップによると、このまままっすぐ歩くと着くらしい。
そして、とうとう……
杵築駅が、もうすぐ近いと思われる道標が!
そこから500mほど、歩いていくと……
「杵築バスターミナル」から約1時間、ようやく「JR杵築駅」に到着!
・観光スポットだった
駅自体は割と大きく、駅舎も歴史を感じさせる作りだ。
しかもこの駅は、なんと無人駅。
ちなみ杵築駅は特急の停車駅である。なのに、無人駅とは……そして、外にあるマップに目を向けると、どうやら杵築市は観光地だったらしい。
しかも、私が歩いてきた場所を見てみると……
完全に城下町をスルーしていた。
そして、駅に入ると……
杵築よ、あんた小京都だったのか!
正直、大分に行くにあたり下調べはしたつもりだったが、杵築市は完全にノーマークで、大分に着いたときに初めて知った土地。
さらに観光地である城下町もスルーしていたとは……。バス停を降り間違えて、ともすれば思わぬ観光地を堪能できたかもしれないのに、それすらも逃してしまった自分が情けない。
ただ、後悔してもしょうがない。ここから取り戻せばいいと自分に言い聞かせ、特急「ソニック」に乗り込む。
そして中津に着いたのは、18:00を少し回った時刻。
大分空港から16:40発の高速バスで来ていたら、18:24に到着予定だったので、若干早く着いた程度である。
結果的に費用も高速バスよりかかって、さらに1時間も歩くハメになったが、これも旅の醍醐味。
ただ私のように、ちゃんと下調べをしないとこうなるという、ひとつの失敗例として参考になれば幸いである。
執筆:耕平
screenshot:iPhoneマップ
Photo:RocketNews24.