マームマームマームマームマームズタッチ♪ 最近至るところで耳にして覚えてしまったこのメロディー。歌だけ知ってたんだけど、どうやらこれ、ハンバーガーショップの広告の歌のようだ。2024年4月16日に渋谷に日本1号店がオープンした『MOM’S TOUCH(マムズタッチ)』のものである。
「日本一号店」ということは海外から来ているわけだが、じゃあどこのハンバーガーショップかと言うと韓国。マムズタッチの店頭に「韓国No.1バーガー&チキン」という垂れ幕もある。
NO.1って凄い。そこで韓国人に『MOM’S TOUCH』の話を聞いてみたところ意外な答えが返ってきた。
・韓国人の話
マムズタッチはロケットニュース24の以前の記事でもレポートされているので、歌と別にマムズタッチの存在自体は知っていた私(中澤)。でも、食べたことも行ったこともないから、なんか韓国No.1バーガーが渋谷に上陸して話題っぽいというふんわりした認識しかなかった。
No.1ということは人気なのだろう。と思いきや、渋谷を旅行中の韓国人によると「マムズタッチ? 別に美味しいもんじゃないよ」と意外な回答。みんな大好きだからNo.1なんじゃないの?
・え?
そんな韓国でのマムズタッチの印象を教えてくれたのは、渋谷の飲み屋にいた韓国人姉弟。「日本に来てマムズタッチ行かないでしょ(笑)」とも。なぜなのか?
姉弟「そこら中にあるからそりゃ知ってるけど、別にウマイってわけじゃないし、なんで日本で人気なのか分からない」
──「韓国No.1バーガー」という言葉から受け取るイメージとはちょっと違う反応。むしろ味が気になったので確認してみることにした。
・食べてみた
平日16時くらいにマムズタッチ日本一号店に行ったところ、特に並ばず店に入ることができた。店員さんに聞いたところ一番人気は「チーズサイバーガー(単品570円セット900円)」とのこと。
注文してみると、単品570円するだけあってかなり大きめ。特に……
高さが違う。
ペタッとしてない分、ハンバーガーの存在感が凄い。これは言うまでもなく挟まれているチキンの厚みなわけだが、食べてみるとこのチキンがちゃんとジューシーである。カリッとした衣の中にチキンの旨みが閉じ込められており、クオリティーは決して低くない。
中でも韓国を感じたのはソースの味。まず感じるのが甘さなのだが、これがクリーミーな甘みでチーズと合わさるとハニーチーズみたいな味になる。ゆえに、チキンに合っているのだが、その甘みの後にピリピリした辛みがやって来るのが韓国っぽい。くるくる変わって楽しい味である。
その甘みと辛みの振り幅はピカピカ光るネオンみたいだ。鮮烈な派手さは、韓国人のイメージを聞いてから改めて食べてみてもやっぱり目新しさを感じる。子供の頃、牛丼やハンバーガーを初めて食べた時のことを少し思い出した。あんなにウマイもんないと思ってたからな。
・吉野家現象か?
そう言えば、私は元々、マクドナルドも吉野家も好きである。ただ、確かに海外に行ってまで、吉野家で食べたいとはあまり思わない。ふむふむ、これはおそらく吉野家現象だな。
どうやら、韓国にはマムズタッチがそこら中にあるらしい。で、特別感は特にないと。日常に溶け込みすぎていて「ウマイ」「凄い」と言われると「普通だが?」「もっとウマイもんあるが?」となるヤツである。
前述の韓国人はNo.1という表現に引っかかったのかもしれない。が、裏を返せば、それほど庶民の味になっているとも言えるのではないだろうか。
日本に海外発と鳴り物入りでオープンする飲食店の中には、実は地元ではそんなに浸透していない店もあったりすると聞く。先の韓国人の発言は、マムズタッチがそういう類のものではないことを裏付けている。
というわけで、韓国No.1バーガーと話題の渋谷のマムズタッチは、韓国人からするとありがたがるものではなくガチ庶民の味である様子。ただ、それくらいの温度感であることを考慮すると普通にクオリティーの高い味だと思ったのであった。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.