辛いものが苦手である。
のっけから個人的な話で恐縮だが、いい大人のくせして辛味への耐性がほぼ0である筆者。「味は大好きなのに 辛さのせいで食べられないもの」が数多く存在する。
例えばグリーンカレーなんてその最たるものである。ココナッツミルクのエスニックな風味は大好きなのに、なんだって ああまで辛いのか。
なんてことを思っていた矢先。無印良品にて、まるで筆者のために作られたような商品を発見してしまった。
「辛くない グリーンカレー」──。
そればかりではない。その隣には「辛くない」と銘打ったレトルトカレーが複数種類並んでいるではないか。ラインナップを確認すると、どうやら以下の四種。
辛くない 国産りんごと野菜のカレー
辛くない ほうれん草のキーマカレー
辛くない 国産たまねぎと豚肉のカレー
辛くない グリーンカレー
筆者のような「辛さ耐性0」人間にとっての救世主である一方、カレーの本質ともいえる辛味をかなぐり捨てたことには一抹の不安が残る。
無印のレトルトカレーは本格的なことで有名だが……「辛くない」シリーズでも その名に恥じぬ働きを見せてくれるのだろうか? さっそくお手並み拝見といこう!
・辛くない 国産りんごと野菜のカレー(180g 290円)
まずはこちらから。封を切ると、これぞカレー屋さんという香り。
そしてなんだか黄色い。おそらく原材料にある「かぼちゃペースト」あたりの色なのだろう。さて、いただきます……。
まっったく辛くない!
「りんごと野菜」という名前から、子供のお弁当用に小分けで売られてるようなものを想像していたが……思いの外本格派な味がする。インドカレー屋さんで出てくるような。
それでいて きちんと辛味抜きで、しかも甘い。原材料にある 数々の野菜の味なのか、優しくて自然な甘みだ。嬉しい! 美味しい!!
ただし、本格的に美味しいからこそ、辛いもの好きやカレー好きが食べると「あとひと味足りない……!」みたいな もどかしさを抱く恐れがある。筆者にとってはめちゃくちゃ美味しいカレーでした。
・辛くない ほうれん草のキーマカレー(180g 350円)
続いてはこちら。
封を切ると漂うスパイスの香り。香りだけだとちょっと辛そうだが、大丈夫だろうか……。
なんか写真の発色悪いなーと思ったら、本当に こういう色だった。ほうれん草の色だと思われる。
それでは一口……。
うん、辛くないキーマカレーだ。
これぞキーマというスパイシーな風味、なのに額面通り辛味はゼロ。原材料の「生クリーム」の効果か、まろやかさとクリーミーさを強く感じる。
……が、ちょっと味に掴みどころがない気もした。こっちから辛くないものを求めておいて なんつーワガママかと自分でも思うが、このまろやかさとバランスを取るためには 辛味が必須なのかもしれない。
でも食べ進めていくと慣れてきたのか、そこまで気にならなくなった。美味しいキーマカレーである。
・辛くない 国産玉ねぎと豚肉のカレー(180g 350円)
家カレーーーー!!!!
袋を開けた瞬間から漂う由緒正しき家カレーの香りで、否応なくテンションが上がってしまった。りんごとハチミツとろーり溶けてそうな匂いである。
かつてこれほどまでにパッケージに偽りないカレーがあっただろうか。
具材のごろごろ感が素晴らしい。豚肉の厚みなんて1センチ弱くらいはあるのではないか。では、いただきます!
甘い。
単に「辛くない」という意味ではない。ヒデキが感激するカレーの甘口みたいな感じだろうと思っていたが、もう一段階 積極的な甘味が加わっている。多分これは ゴロっと入った玉ねぎの甘みだ。豚肉も、角煮みたいにホロッホロ。
思い出の中にある「家カレー」を最高レベルまで突き詰めたような味だ。懐かしさと美味しさでどんどん食べ進めてしまった。
ただし、今回食べた4品の中で唯一、舌や喉に微かなピリッと感を覚えた。「辛さ」と表現できるかどうかの微かなもので、全然美味しく食べられたけど。
で、で、でーー。
いよいよ真打の登場である。
筆者の因縁のグリーンカレー。その実力を見極めるべく、通常の辛いバージョンと食べ比べることにしたぞ!
・素材を生かしたカレー グリーン(180g 350円)
まずはちょっと、通常バージョンからいってみよう。
パッケージの辛さレベルは最大の「激辛」。慄きつつ封を切ると、原材料にあるハーブ「レモングラス」の香りが食欲をそそってくる。
でも辛いんだよね……と恐る恐る一口──。
ん……?
美味しい? これすごく美味しいんじゃない?
と飲み込んだ瞬間──。
アアアアアアアアア!!!!
ピリピリする!!!! 口の中ピリッピリする!!!!
すいません無理でしたァァァァ!!!!!!!
いやー本当に辛いものって舌の上にいる間は大丈夫なんですね。飲み込んでからが本番でした。口に入れた時は「あれ?これ全部いけるんじゃね?」とか思ったけどとんでもない。後から来た。
そして辛味がめちゃくちゃ持続する……。小さじ1くらい食べて5分くらいずっと辛かった。美味しいのに。
なんでこんなに辛いんだ……と思ったら、過去にロケットニュースで記事にもなってました。
・辛くない グリーンカレー(180g 350円)
通常バージョンよりも若干色が薄め。心なしか香りも控えめな気がするが……筆者の救世主となってくれるだけの力はあるのか?
いざ、いただきます……。
わ~~~!!!!
エスニックなハーブの風味! ココナッツミルクのクリーミーさ!! そして辛くない!!!
ありがとうございます!!!!!!
やっぱりレモングラスがかなり効いている。草っぽい、でも爽やかな柑橘のような。まさにlemon(レモン)+grass(草)な香りである。
ココナッツミルクがクリーミーだけどしつこくなく、なんならこれだけ飲めるってくらい安らかな味。なのにハーブのおかげで単調にならず、カレーの中毒性はしっかり担保している。美味しい~!!!!
・救世主でした
いや、無印のカレーってすごいわ。無印のカレーが戦っているのはもはや「レトルト食品」のフィールドではない。そこらのカレー専門店と互角に張り合えるクオリティではなかろうか。一袋一人前で300円前後という価格も、店で食べることを考えれば破格である。
それでいて看板に偽りなく、本当に辛くないのだから恐れ入る。辛味耐性0の筆者が言うのだから間違いない。
筆者のカレーライフに、今一筋の光明が差し込んだ。同じ葛藤を抱えている皆さま、ぜひお試しあれ!
執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.