今日はあいにくの雨。ここのところ、このシリーズは天候に恵まれませんねえ。私自身、晴れ男のはずなんだけど、おかしいな~……。

どうも、こんにちは! 佐藤です。今日は浅草にやってきました。本日は、台東区の循環バス「北めぐりん(浅草回り)」で奥浅草周辺の街をめぐってみたいと思います。どんな景色に出会えるかな? それじゃあ早速、行ってみましょう。レッツゴー!

・奥浅草を循環

台東区コミュニティバス「めぐりん」は2001年に浅草エリアで運行を開始しました。公共交通の不便地域の利便性向上を目的にスタートした循環バスで、現在は北めぐりん(浅草回り・根岸回り)・南めぐりん東西めぐりん、それから上野から浅草まで全体を網羅するぐるーりめぐりんの計5路線を運行しています。

運賃は大人1回100円で、1日乗車券(全路線1日乗り放題)は300円になります。


路線があまりにも複雑なので、今回は北めぐりんの浅草回りを循環したいと思います。隅田川沿いを北上し、三ノ輪・千束方面を回って再び浅草に戻ってくる、1周45分のルートになります。


最初の乗り場は東武線の浅草駅になります。駅の東側、オレンジの看板が目印。


時刻表を見ると、15分間隔で運行しています。1時間に4本もあれば、下車してもすぐに次が来るから助かりますね。


来ました! あれが北めぐりんですね。レトロなデザインで浅草の街にとてもよく馴染んでいます。あの車両は、たしか渋谷のハチ公バスと同じでは? 調べたところ、日野自動車の「ポンチョ」ですね。小さいけど、コミュニティバスとしてはちょうど良いサイズ。


天気は悪いけど、元気よく行きましょう。出発進行!



・お化け地蔵

浅草といえば、やっぱり雷門・仲見世・浅草寺・花やしきなんかを見るのが、王道の観光ルートでしょう。グルメな美味しいお店もいっぱいあるし、場所が許せば食べ歩きなんかを楽しめたりします。けど! 今日はそれらの場所には行きません。

はじめに降りたのは、「橋場一丁目」という停留所です。いわゆる奥浅草といわれる地域。


表の浅草と違って賑わいはありませんが、落ち着いた佇まいで雨降りの景色にも風情を感じます。静かでいいエリアですね。

ここで降りたのは、「お化け地蔵(松吟寺)」を見たかったからです。街の一角に突然あらわれる石仏。


お化け地蔵といわれるのは、高さ3メートルと並外れた大きさがあるからなど、諸説あるそうなのですが、正確な由来は不明です。

実物はたしかに大きいですね。1721年(享保6年)に建立されたもので、関東大震災の時には胴体が折れてしまったとも。現在は修復し、頭も取り替えられたことがあるそうです。


何気ない街角で石仏を見られるのも、歴史ある浅草ならではですね。



・靴の神社

すぐ近くに、歴史上の人物のお墓があるそうなので、そこまで歩いていきましょうか。この道の先に見えている丸いのは、東京ガスエネルギーのガスタンクですかね。デッカいな~! いずれ間近でも見てみたいですね。


目的地はここかな? ここ、誰のお墓かわかります? これだけじゃわからないですかね。


ここは国指定の史跡「平賀源内の墓」です。これまた街の中に突然あらわれる印象を受けますね。中に入れるらしいんですけど、扉は開いていませんねえ。今日はお休み? 入れる時間が決まっているのかな?


……と思ったら、かんぬきを開けて入ることができたらしいんです。そうとは知らずに、私は入りませんでした。開けてよかったなんて……。


そこから次の停留所「清川一丁目」まで歩いて、玉姫稲荷神社に来ました。ここは、全国でも珍しい「靴」の神社なのだとか。近隣に皮革製品メーカーが多く、神社の氏子(うじこ)の靴メーカーが、靴に感謝して毎年靴のお祭りを催しているそうです。

4月の最終土日(2024年は4月27・28日)に「こんこん靴市」が開催されるそうですよ。


当日は境内に30以上のメーカーが出店し、10万足もの靴が並ぶのだとか。そのほかバッグやカバン・ベルト・財布などが安く販売されるそうです。


この機会に靴やベルトを買い替えるのも良いかもですね。



・老舗喫茶店

さらに歩いて次の停留所「東浅草ニ丁目」まで来ちゃいました。ちょっとお茶しましょう。1968年創業の老舗喫茶店「自家焙煎珈琲 バッハ」に来ましたよ。


ここはコーヒー・喫茶店好きの間で知る人ぞ知る名店。創業者の田口氏は、日本のコーヒー界をけん引し後進の指導にも尽力され、その門下生は全国にいるそうです。私も素人ながら自宅で豆を焙煎しているので、名店と言われるお店の味に興味がありまして。味の勉強もかねて、1杯頂きたいと思います。

苦いのが好みなので「ケニアAA」(税込750円)を注文しました。


飲んでみると、ひと口目からもう全然違う! 澄み切った口当たりと深い味わい。舌の上に広がる苦味は柔らかく上品で、身体に染みわたるようです。コレがコーヒー……。今まで飲んできたものとまったく違う気がしてしまいます。少なくとも自分の淹れたものとは、比べ物になりませんね、当たり前ですが。


一緒に「チョコレートケーキ」(税込600円)を頂きました。これもまた繊細な甘さで、コーヒーとの相性はバツグン。ケーキの甘味とコーヒーの苦味で、それぞれの美味しさが引き立ちます。


家で同じ味を出せるとは到底思えませんけど、せっかくなので「ケニアAAの豆」(100g 税込1040円)と「ペーパーフィルター」(税込180円)を購入しました。今日の味を思い出しつつ、家で淹れてみたいと思います。



・ジョ~~~

次の目的地がまたしても隣の停留所「吉原大門」なので、歩いていきましょう。今回もバスに乗らずに、歩きが多めになっちゃいました。トホホ……、なんちゃって!


あ、見えてきました! あそこに立っているのは!?


名作ボクシング漫画『あしたのジョー』の主人公、矢吹丈!!


説明するまでもなく、『あしたのジョー』はボクシング漫画の金字塔です。作品の舞台はこの一帯と言われており、地域の活性化を目的に2012年に建てられたのだそうです。

私も漫画とアニメを両方見て育った世代ですね。悪童だったジョーが拳で成り上がっていく姿に憧れて、布団に向かって「打つべし!」なんてやったりしたものです。個人的に印象に残っているのは、カーロス・リベラが自分の服のボタンを止められなくなったシーンですね。あれは悲しかった。ジョーも……。


そんなジョー、真正面から見るとこういう髪型だったんですね。初めて知りました。



・一葉記念館

そろそろバスに乗りましょう。次の停留所「竜泉三丁目」から乗りましょう。ちょうど来ましたよ!


お! 2台続けて来ましたね。前のが北めぐりんの車両で、後ろのが東西めぐりんの車両です。1度に2台一緒に見られてラッキー!!


次に向かったのは、この地域に所縁(ゆかり)の深い作家、樋口一葉の「一葉記念館」です。


一葉が母と妹の3人で暮らし、代表作の『たけくらべ』の舞台になったこの地(台東区竜泉)に、1961年に開館しました。女流作家の単独資料館としてはここが初めてで、五千円札の肖像に採用された(2004年)を機に2006年にリニューアルオープンし、現在に至っています。


館内には、一葉の自筆の書簡や草案など、ゆかりの資料が多数展示されています。それらを見ると、生々しい創作の痕跡を見ることができました。裕福な家庭に育ちながらも、17歳で父を亡くし、母と妹を養うために苦労した一葉。

処女作「闇桜」を発表したのちに、「たけくらべ」をはじめとする自身を代表する作品をいくつも執筆し文壇で絶賛されながらも、24歳という若さで肺結核でこの世を去りました。いかにその人生が壮絶だったかを感じ取ることができます。決して豊かではなかったかもしれませんが、彼女が傑出した才能と努力を持ち合わせた人物だとわかりました。



・迷子になった!

さて、再びバスに乗って……と思ったら、迷子になっちゃったよ! 北めぐりんの路線がGoogleMapsに反映されないので、バス停を地図上で確認することができないんですよね。

ここはどこ!? 次のバス停はどこだっけ?


あちこち歩き回って、「千束小学校前」の停留所に出てきました。ちょうどバス来てる~! 乗ります乗ります~! 小走りで駆け寄り、乗車できました。よかった、これで次に行けるよ。


次の目的地は「浅草五丁目」。うん? 次に着く停留所じゃないか。降りる人はなく、乗る人もいないので運転手さんが「通過します」というので……。

降ります降ります! ここで降ります! といって今乗ったのにもう下車。


ところが、行きたかったお店「甘味処 山口屋本店」はお休みでした! マジかよ!!


く~、残念。下調べ不足でした……


仕方ない、今降りたばかりの停留所から、改めてバスに乗って次へ行くしかない。


運よく次のバスがすぐ来たよ。ここでの下車は無駄足だったけど、クヨクヨしてらんない、次行ってみよう!



・日本最古の地下街

そうして、再び浅草駅まで戻ってきました。今日はまだ食事をしていないから、お昼を食べて帰りますよ。日本最古の地下街「浅草地下街」で食事をしましょう。


ここは良いんですよね、雰囲気が堪らない。令和になっても、バッチリ昭和の空気を感じられて、落ち着くんですよねえ。



そばでも食っちゃおうかな! 「そばうどん文殊」でサラリとそばをキメましょう。


そば定食(そば or うどん + カレー or 天丼 税込650円)を注文したところ、速攻で出てきました。早くて安い、まさしく立ちそばの良いところ。


さっそく頂きます! 自家製そばは風味が豊か。つゆは鰹出汁の旨味がしっかりしています。今日は1日雨降りで少し肌寒かったから、温かさに癒されますね。


そばに劣らずカレーも滋味深いウマさ。時代は令和に変わっても、昭和の食文化は不滅ですよね。立ちそばフォーエバー!!


この地下街は東京メトロ銀座線に直結です。このまま電車に乗って帰路につきますよ。アクセスもよくて最高!


ということで今回は都合3時間半の行程、北めぐりんで奥浅草を循環しました。表の浅草の賑わいも良いですけど、静かに浅草を楽しみたい人におすすめです。ぜひ参考にしてください。それでは次の循環バスでお会いしましょう。ごきげんよう~!


参考リンク:台東区循環バス「めぐりん」カフェ・バッハ一葉記念館
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
Screenshot:GoogleMaps