数日の間、私のX(Twitter)のタイムラインに、やたらと美味そうな、カレイのえんがわがミッチミチにつまった駅弁が流れてきていた。
全く知らない一般人たちの投稿なのだが、皆うめぇうめぇと言っている。そして見るからに美味そう。恐らくどこかでバズった影響なのだろう。東京駅で買えるらしい。
ちょうど新幹線に乗る用事があったので食べてみたのだが……心底やべぇぞこれ!! こんな記事読んでる暇があるなら、さっさと東京駅(あるいは仙台)に買いに行くのが生き方として正しい。それくらい美味い。
・東京駅
ということでさっそく東京駅の「駅弁屋 踊」へ。場所はググって各自確認してくれ。もう発車まで10分くらいで説明する時間が無いのだ。
あったぞ。これか。1450円。
おっと、なんだいこいつは? すぐ隣に、炙りバージョンもあるじゃないか! こいつはXに流れてこなかった。お値段1600円。どうする? クソッ、もう迷ってる時間がねぇ……!
……
……
……
……
……
・伯養軒
はい。というわけで、ここは東海道新幹線のシート。目の前には2種類のえんがわの寿司。迷ったら全部いく。それが大人の選択だ。
伯養軒という仙台のメーカーのもので、明治23年から駅弁を売っているらしい。駅弁界の老舗である。
今日は3月13日なのだが、消費期限は実質1日といったところか。
まずはノーマルからいこう。なるほど、こうなっているのか。笹の葉に包まれた寿司が、さらにビニールで包まれている。おしぼりと醤油、箸なども付属。
梅干しもついている。
いざ開封! 笹の清涼感ある香りがふわりと鼻先をかすめ、すぐに消えていく。これは臭いを気にしなくていいタイプの弁当だ。上にライムが乗っている。
笹を開くとこんな感じ。真っ白。
断面はこうなっている。点在する黒く見えるヤツは、酢飯に入っている紫蘇だ。
構造としては、1㎝くらいの幅にカットされたものが、屋根瓦のように重なり合って並んでいるように見える。
トップの えんがわ は表面に滲み出た脂で妖しくヌラつき、ムッチリしている。ハリが良すぎて、ビジュアルからミチッムチィィという擬音がダダ漏れだ。
もはやR指定になっていないだけのポ●ノ。へへっ、もう辛抱ならねぇ! ライムを搾り、付属の昆布しょうゆを……
こうだ!! 脂で醤油が弾かれて流れ落ち、酢飯に吸われていく。
食うと……ふぉぉ、うんめぇなこれぇ!! 脂の乗りが尋常ではない。もはやトロ。しかし下品なギトついた感じはない。
ほのかに染み付いた笹の香りとライムの酸味、そして酢飯に仕込まれた紫蘇により、むしろさっぱりとした上品な風味。
ではあっさりしているのか? 否! 昆布しょうゆ と えんがわの脂に含まれた特濃なうま味が、舌を通じて脳を痺れさせる!
これに抗える人類はいないだろう。一度食べればDNAに美味さを刻み込まれてしまい、助からない。
すげぇ弁当だ。目の前で握ってもらったちょっと高い えんがわの寿司よりうめぇまである。
・炙り
あまりのうまさに痙攣しながら食っていたせいか、通路を挟んで向こうに座っているおっさんがこっちをガン見してくる。
どうだ、羨ましいだろう。食い終わったと思ったか? 残念。まだ炙りVerがあるんだよなァ!
こちらは黒い、ポリスチレン製だかと思しき箱に入っている。
おっ、付属品がちょっと違うぞ。こいつには塩とガリがついてる。きっと炙り特有の風味に最適化されたチョイスなのだろう。楽しみだ。
あけると、こう。うぉぉおおおおお! もう、視覚でうめぇ。網膜が美味さで絶頂する。
漂う笹の葉の香りの中に、炙り特有の香ばしい成分が含まれている。まあまあ、そこは予測通り。
断面をチェック。こちらも酢飯に紫蘇が含まれている仕様。
そしてこの脂よ。脂のプールで泳いできたのかというくらいに滴っている。これ、ヤバくね? ヌラヌラしてんじゃん。生前はどれほどに肥えたカレイだったのか。
こいつを塩で……
_人人人人人人人人人_
> ~~~~~~!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
炙られてジュワジュワにしみ出した特濃なカレイの脂。そして加熱により歯ごたえを増した身が、新幹線より早い速度で解れていく。そして風味をキリッと締めあげる塩。
ノーマル版とは全く違う料理に仕上がっている。どちらが良いとかじゃあない。犬と猫くらい違う。
そしてどちらもやべぇくらい美味い! これは東京駅か仙台駅から新幹線乗るならマストだろ。もはや乗車マナーの一環と言っても良いくらいに美味い。
昔からあったらしく、今までスルーしてきたのは重大な損失だった。私同様に、こいつを未体験のまま生きてきた人は、早急に買いに行った方が良い。