埼玉には、地元のものに塩対応な埼玉民が珍しくない。それゆえか、愛郷心とか地元愛ランキングだと47位が定位置となっている。
埼玉で育とうとも、中高生くらいから一番ブチ上がる遊び場は都内。成人後は多くが都内勤務で、埼玉は寝る場所みたいな人生を送るため、埼玉への信仰心が育ちにくいのだろう。
その傾向には、有用な使い道がある。地元愛が無いタイプの埼玉民でも褒める埼玉の何かしらは、期待値が高いのだ。
・山田うどん食堂
そういう埼玉ネタの一つが、今回のテーマ「山田うどん食堂」。
赤いやじろべえの看板のうどん屋。東京、千葉、神奈川、栃木、茨城、群馬にも展開しているが、埼玉外での存在感は弱いと思われる。
しかし埼玉内ではそこら中にあり、名前だけなら全埼玉民が認知している。そして、この店は「パンチ」というサブメニューが特に支持されている。
……と、事情を知ってそうなことを書いたが、実は私はまだ1度も山田に行ったことが無い。
・デカい道路沿い
店舗自体は埼玉の至る所にある。しかし、問題はその場所だ。多くが駅から離れたバイパス沿いなどにあるのだ。恐らくターゲット層が車利用者なのだろう。
ゆえに駅周辺が棲息圏で移動手段は徒歩と電車という、私のような生活スタイルの場合、マジで無縁。人生の1/3を埼玉民として生きてきたが、1度も入ったことが無いのはそのためだ。
このまま行くことなく人生を終えそうだったが、Xで不意に春の新メニューを紹介する投稿が目に入った。そういえば、まだ山田ったことねぇな……ようし、1度行ってみるか。
ということで、駅前でレンタルしたチャリを漕ぐこと40分ほど。ついに初山田の時が来た。
・値上げ
実は当サイトでは2022年末に、佐藤英典が山田うどんデビューを果たしている。
当時の記事とメニューを比較してみると、数十円程度値上がっていることが分かる。
メニューの内容も少し違うように見える。
また、うどん屋がルーツなのは間違いないと思うのだが、メニューの内容的に、そんなにうどんが主力という感じはしない。
うどん・そば、ラーメン、ちょっとした中華、丼もの、定食と、手広く色んなものを出しているのだ。近所にあれば、1週間のローテ組めそう。
さて、今回の目当ては、Xで見た春の新メニューだ。これこれ、この山菜のやつを食べたい気分だったんだよ。
もちろん、名物の「パンチ」も忘れちゃいけない。ノーマルと赤があるようなので、ミニ版をそれぞれオーダー。ついでに餃子もいっておこう。
・うどん
待つことしばし。届いたのがこちら。
うどんの見た目は普通。黒舞茸と菜の花の天ぷらが美味そうだ。
まずは、うどんと共に天ぷらから。あぁー、いいですね。実家のうどんみたいな安心感。実家でうどん食ったことないけど、概念的にそういう感じ。
とびぬけてうめぇ!という感じではないが、しかし文句の付け所も無く、ただただ美味いとしか言いようのないラインを上手く攻めている。ローカルの飯屋ってのはこういうので良いんだよ。
・餃子とパンチ
続いては餃子だ。
食べてみると……おぉ、この餃子は客観的に見てけっこう強いぞ! さすがは「ぎょうざの満洲」のせいで舌が無自覚に肥えすぎた埼玉民と共に生きるローカルチェーン。
山田の餃子は、それぞれの素材の主張が強めな具で、皮がモチモチしたタイプなもよう。いいバランスに仕上がっている。餃子の名店が無い県の者なら、容易に人生で1番美味い餃子だと評するだろう。それくらいの実力がある。
そして最後は名物のこいつ等。
そう……ノーマルと赤、2種類のパンチだ。
初めて食ったが、特に赤はヤバいな! 見た感じでわかる通り辛いのだが、その辛さに妥協が無い。ファミリー食堂でも、日和ったムーヴが皆無で素晴らしい!
瞬時にほぐれるほど柔らかく煮込まれた もつ、風味と食感に彩りを加えるメンマとコンニャク、そしてゴリゴリに濃い味付け。
これは酒と白米が欲しくなる。ノーマルももちろんうまいが、私の一押しは赤だ! こいつはクセになるタイプの美味さ。旨辛という言葉の概念そのものだ。
冷凍で通販もあるのが、完全に需要をわかっている。そうだよなァ、デカい道路沿いにばっか展開してるし、車で来る客が多いだろう。運転するなら酒は飲めないもんなぁ。
このカラくて濃い味のモツを、ワッと辛口の日本酒で流し込んだら、それはもうパーフェクトとしか言いようのないものになる。徒歩で来れていたらやっていた。
ということで、埼玉で支持されるローカルチェーンの1つ「山田うどん食堂」。
埼玉LOVE系埼玉民だけでなく、愛郷心が稀薄なタイプの埼玉民からも褒められるチェーンは、やはり伊達ではなかった。
参考リンク:山田うどん食堂
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼近所だと、駅からチャリをレンタルして行きは40分、帰りはルートを把握したので少し早くなって30分くらいだった。店舗の立地がだいたいそんな感じなので、車を使わない埼玉民なら、行ったことが無くても不思議じゃない。