はじめに言い訳をしておくと、筆者は回転寿司が嫌いなわけではない。むしろ好きだ。
しかしこれと言ってこだわりがなく、気分とタイミングで目の前にある店へ食べに行っていた。
だからこそ、5年ほどもスシローへ行く機会がないまま過ごしていたのだが……それは大きな間違いだったのかもしれない。
・5年ぶりのスシロー
ある週末の昼前のこと。スシロー(地方の独立店舗)の前を通りかかった時、ビビッと寿司の気分になった。
冒頭でもお伝えした通り、筆者は偶然5年近くもスシローに行っていなかった。
当サイトの記事やCMではよく見るけど、実際はどんな感じなんだろう? 他の寿司チェーン店とはどう違うんだろう?? なんだかワクワクする。
──入店してすぐに驚いたのは、自動ドアのすぐ目の前に鎮座したコインロッカーのようなもの。
何かと思えば「お持ち帰りロッカー」だそうで、電話やオンラインで注文した商品をスタッフと接触することなく受け取れるシステムなのだそう。
残念ながら使っている人は目撃できなかったのだが、筆者自身 入店から席の案内、そしてお会計までをスタッフなしで進められたこともあり、店全体のオートメーション化に結構ビビった。
子供のころに想像していた「ロボットが接客する店」とは少し違うけど、スシローのスタッフの少なさには “未来っぽさ” を感じる。そのうち人間がまったく働いていない店舗もできるのかもしれないなぁ。
席についてからもビビりは続いた。
皿によって価格が120円、180円、260円の3種類があり いつの間にか昔の回転寿司システムに還りかけているし、
えっ、ヒラメ360円!?
マグロの6貫盛り1080円~~~っ!?!?
決して高級ではないが、かと言って激安でもない。もしかしてお財布と相談しながら注文した方がいいんだろうか……?
っていうか、よく見たらレーンにはひとつもお寿司が回っていない。回転寿司っていつの間にか概念になっちゃったんだね。
・驚きのクオリティ
救いを求めて最初に注文したのが、1貫100円キャンペーンをしていた北海道産ホタテ貝柱。
まったく期待せず「とりあえず」で注文したのだが……
んんっ! 500円玉大の貝柱はシャリを覆うほどのビッグサイズ。ぶ厚さも2cmほどあり、プリプリとした食感もたまらないし臭みもない!
普通に旨い。旨いぞ。そういえば当サイトの4大回転寿司ガチ食べ比べ企画では、スシローのホタテが優勝していたような。
上記の記事が書かれたのは2年も前だし、あれからスシローはおとり広告やしょう油テロ事件を中心に数々の試練があったはず。すべて乗り越え、これだけの満足感をホタテひとつで味わえるなんて。
おそるべしスシロー。だてに長年営業してないな……!
こんなに美味しいなら、我慢せずに食べたいものを全部食べてみよう。欲望が赴くまま タッチパネルをポチポチ、寿司を食べ始めた。
インドマグロ中落軍艦
サーモンいくら
軍艦は具材がこんもりと載っていてリッチな気分になる。「どうせ10粒ぐらいだろう」と思っていたイクラがたくさん載っていることにテンションが上がる。
北海道産天然ヒラメ昆布しめ
昆布の旨みがしみ込んだヒラメはムッチリとした食感で、ほのかな甘みがある。ネタのサイズも大きいし満足度高い!
個人的に気に入ったのは、濃厚うに包みと紅ずわい蟹包み。軍艦よりもさらにネタの量が多い!
包み系のお寿司は初めて注文してみたが、手のひらにそっと載せた様子が和菓子みたいで可愛らしい。お寿司といえば握りか巻きが常識なのに、これ考えた人は頭が相当柔らかいんだろうな。
旨みや甘みがしっかりあり、味も濃厚。回転寿司のいわゆる “高級食材” って、ちゃんと美味しいんだなぁ!
お肉系も食べてみたくて、和牛さしとろポン酢ジュレもオーダー。
半生みたいなお肉が口の中でトロトロ溶ける。自分の中で「肉寿司ってオニギリと何が違うんだよ?」なんていう偏見があったが、コレは間違いなく寿司。繊細でやわらかな生ものだ。
100円寿司では ついいつも頼んでいたエンガワには実家のような安心感を感じたし、
煮穴子の天ぷらはふっくら甘くてアツアツの揚げたて、めちゃめちゃ旨い!
締めに食べた北海道ミルクカタラーナアイスがまた最高で、クレームブリュレのように 砂糖をパリパリと割って食べれば、北海道とフランスが腕を組んでスキップしているよう!
味もミルク感が強くて濃厚で、食後の甘味欲が一撃で収まった。寿司屋のデザートとは思えないクオリティの高さだな!
・安かろう悪かろうの終焉(しゅうえん)
そんなこんなで一切我慢することなくお腹いっぱい食べ続けて、お会計はなんと……税込2200円!
昔の回転寿司なら1000円台だったとは思うが、まったく問題なし。むしろ値段も見ずにガンガン注文したのに安過ぎるって~!!!!
正直に言うと、筆者はこの日まで「回転寿司はどの店も大差ない」と思っていたのだが、ネタのクオリティとコスパに関してはスシローがナンバーワンなのかもしれない。
あんなに美味しいのに5年も行っていなかったなんて、もったいない。ウニカニイクラ、ホタテももう一度食べたいなぁ!
──と思うと同時に感じたのが、外食産業の適切な値上げの必要性についてだ。昔は値上げを控えるあまり「安かろう悪かろう」のイメージが強く、回転寿司に味の期待を一切していなかったような気がする。
これからの時代は物価の上昇に応じて適切に値上げをしてもらい、クオリティを維持して欲しいと強く感じた。
その分我々も頑張って働き、いつでも何度でもスシローへ行ける財力を維持するとしよう。美味しいご飯のために働く、なんて幸せなことだろうか!
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.