なんでコレがこんな値段で売ってるんだよ……という、中国発のファッション系通販「SHEIN」。
円安とか物価高とか、あとは著作権とかもブッちぎった真の意味での「激安ジャングル」で、若い女性を中心に人気となっている。
ロケットニュースでも何度か取り上げているので、読者の方はご存知かもしれない。さて、そんなSHEINがアパレルだけでなくコスメにも参入。
SHEGRAMというブランド名でオリジナルコスメを販売しているではないか。最近、ドラッグストアでも発売されるようになったので買ってみたのだが……。
・シミやクマを消すコンシーラーがすごい
話題になっていたのがSHEGRAM「マルチフィックスコンシーラー&カラーコレクター」(1300円)という6色入りのコンシーラー。
化粧品に詳しくない人向けに説明すると、コンシーラーとは目の下のクマとかシミとかを消すアイテムである。ファンデーションよりも強力な発色とカバー力が特徴。
一般的なコンシーラーは肌色に近いカラーのものが多いのだが……
こちらはまるで絵の具のパレットみたいなのである。
見よ、このピンク、イエロー、グリーン、ラベンダー、ミント、モカの強烈な色味を。
これは顔の赤みにグリーンを重ねて赤みを消す、青ひげにオレンジを重ねて剃り跡を目立たなくする……といった反対色による補色効果を狙ったもの。
メイクする人たちはこうした色を駆使して、顔面を理想の姿へと近づけていくのだ。顔面はキャンバス……!
・発色がやばすぎる
とはいえこうした補正用のアイテムはさりげない発色のものが多い。
例えば私が持っている青色の下地は、最初はギョッとするような水色だけど……
肌に伸ばすと白っぽくなって透明感が出る。
あくまでもさりげないニュアンスを出す程度で、見たままに発色することは少ない。
ところがSHEINの「マルチフィックスコンシーラー&カラーコレクター」は……
ほぼクレヨン並の発色である。
特にスゴイのが緑、紫、オレンジの発色。
肌に伸ばしてもハッキリ色が分かる。こんなに強烈な発色のものは見たことないよ。
・使用例にのっとって使ってみる
しかしである、公式が出す使用例によると、これで顔の補正がバッチリできるらしい……。
こんなもん顔面に乗せたら顔がピカソの絵みたいになるだろ!
と、言いたい心をおさえて……一応、公式サイトの言う通りに顔面に塗ってみたいと思う。
いつものように、地味なスッピンを無加工でさらしていく。
シミ、アザ、ニキビ跡、赤み、シワ……隠したいものなら山ほどある。
キャンバスとしては最適である。これが40代のREALだ!
さっそくコンシーラーを顔に塗っていくが……
まず、目の下のクマにオレンジ。クマが隠れるというよりオレンジで塗りつぶされている。
鼻の横の赤みにグリーンとイエローし、シミには茶色とイエローを混ぜてちょんちょん塗り。
発色があまりにも良すぎて、パステルカラーの隈取りみたいになってきた。
このままではとても外に出れるような顔の状態ではないのだが、このコンシーラーを薄く伸ばしていって、上からファンデーションを軽く塗って仕上げたら……。
嘘だろ……
本当に顔のアラが補正されちまった!!!!!!
ハッキリ言うけど、ここまで発色が強すぎたらとんでもないことになると思って、ネタ枠として買った部分がある。
こんな肌の色とかけ離れたパレットで顔を塗ったらピカソの絵みたいになるんじゃないかと思っていたけど、実際出来上がったのはゴッホの自画像でした……みたいな衝撃である。
とはいえ、強烈に色がつくので使いにくいのはたしか。安さから初心者が手を出すと大やけどするアイテムであるのに間違いない。
パレットの色を混ぜながら、理想の色を作れるならば、便利なアイテム……といったところだろうか。調整はむずいけど。
・公式サイトで衝撃
これ、みんなはどんな風に評価してるんだろう……と思ってSHEIN公式サイトから口コミをチェックしてみることにしたのだが……。
私はそこでパレットの補正効果以上に驚くようなものを目にした。
一番上にあったクチコミはこんな一文で始まっていた。
「もう年だからね、目の下に津川雅彦が現れてきたわけ」
なんとヒキのある書き出しだろうか。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」とか「恥の多い生涯を送って来ました」といったくらいの名文である。目の下に津川雅彦。強烈なクマが出てきたことがありありと伝わるものすごい表現であり、思い切った書き出しである。クチコミは、さらにこう続いていた。
「右下のオレンジっぽい色を塗ってみたらなんと津川雅彦引っ込んだよね。」
津川雅彦が引っ込んだ!!!!!!!! この強烈なオレンジで!!!!!
私の長い長いレビュー記事も、恥をさらしビフォーアフター写真も、この「目の下に津川雅彦が現れたが、オレンジを塗ったら津川雅彦が引っ込んだ」という表現にはかなわない気がする。ピッコロ大魔王もピカソもゴッホも、津川雅彦に敗北である。
正直、このパレットよりも、この名も知らぬ誰かの表現力のほうがよっぽど欲しいと思ってしまった。
どうやら、SHEINの商品はバクチ要素が強いため、当たり外れを見極めるためにクチコミが重要なよう。その結果、こうした謎の名文が生まれる土壌が築かれていることがわかった。
というわけで、目の下に津川雅彦が現れた人はチャレンジしてみるのもいいかもしれない。
それにしても、こんな魔物が棲んでいるのか、SHEIN、恐るべし……。