名店カレーコラボなど、セブンイレブンって本当にジェネリック力が高いよなあと思う。とくにスイーツに関しては、流行感度も高く、かなりのクオリティのものを出してくるので、セブンに行くと絶対にチェックしてしまう。
そんなわけでセブンパトロールをしていたら久しぶりに「これはもしや…!」という商品に出会ってしまった。その名も「宇治抹茶ばばろあ」である。
ただの和菓子にしか見えないかもしれないが、これは惜しまれつつ閉店した老舗甘味処の名物スイーツにそっくりだったのである。
・神楽坂の老舗「紀の善」
その今はなき名店の名は「紀の善」。東京・神楽坂のふもとにあった老舗の甘味処である。雑誌やテレビの神楽坂特集や、甘味処特集では必ずといっていいほど紹介される有名店であった。神楽坂といえば紀の善。人気店だったし、永遠にそこにあるものと思われていたのだが……。
店主の高齢化や諸般の事情によって2022年9月30日に突如閉店。事前の告知などがなかったため、ファンの間に衝撃が走った。
閉店告知などをすれば、大勢の人が訪れるのは明らか。告知がなかったのは最後までいつもどおりに店を営業したい……という思いがあったのかもしれない。
そんな紀の善の看板メニューが「抹茶ババロア」であった。
抹茶の香り高い甘さひかえめののババロアに、生クリーム、これまた上品な甘さのあんこ。大人のスイーツであった。これがもう食べられないことを嘆く人が多かったのだ。
似たような抹茶ババロアを出す店は多いが、あんこ × 生クリーム × 抹茶ババロア という組み合わせの元祖は紀の善ではないかと思う。
・セブンの「宇治抹茶ばばろあ」
セブンの「宇治抹茶ばばろあ」(税込302円)を店で見つけた瞬間、紀の善の抹茶ババロアのことがよぎった。これはもしかして、ジェネリック紀の善なのでは……?
というわけで、自宅に持ち帰ってさっそく食べてみることにした。
濃い緑の抹茶ババロアの上に、生クリームと薄紫色のつぶあんのトッピング。生クリームの量が少し少ないけれど、この組み合わせは紀の善のババロアと同じ。
スプーンですくってみると……抹茶の色が濃い。
そして、口の中に入れてみると抹茶ババロアの味が上品。しっかりと抹茶の苦味と香りを感じさせながら、甘さはひかえめ。
あんこや生クリームも上品な甘さにしてあって、抹茶ババロアの風味が負けることがなく、好バランスだ。
いまどきのコンビニスイーツは甘みが強いものが多い中で、この控えめな甘さは異端とも言える。
間違いない、これは……紀の善の「抹茶ババロア」をリスペクトして作られたに違いない!
もちろん、小豆や抹茶といった素材に違いがあるので、紀の善の抹茶ババロアと「同じ」とは言えない。しかし、あの懐かしい「紀の善」の味を思い出すには十分だった。
ジェネリック紀の善ともいうべき一品に仕上げてあるので、紀の善の抹茶ババロアを愛した人はぜひ一度セブンの「宇治抹茶ばばろあ」を食べてみてほしい。
参考リンク:セブンイレブン
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.
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