「旅行先で一番お手軽にご当地感を味わうには?」と聞かれたら、筆者は「パン」と即答する。
街のパン屋さんが個性的なのはもちろんのこと、スーパーやコンビニのパンコーナーでも、現地でしか買えないローカルパンはたくさん存在するのだ。
今回ご紹介するのは、約110年の歴史を持つ鳥取県の製パンメーカー、亀井堂の『マイフライ』。県外出身者にとってはかなりカルチャーショックを受ける逸品だったぞ……!!
・パンっていうより厚揚げ
筆者がマイフライに出会ったのは、鳥取・島根を旅行していた時のこと。
道の駅のパンコーナーで、見慣れぬレトロなパッケージに目を惹かれた。価格は税込168円。
手に取ってすぐに、パッケージの中がギトッと油で湿っていることに気が付いた。パンっていうより厚揚げの方が近そうなルックスだ。
売り場に貼られていたポップによると、マイフライは「特製こしあんを食パンではさんで、天ぷら風の衣(ころも)をつけた揚げパン」なのだそう。
なるほど揚げパンならこのコッテリ感も納得だ~! なんて思いつつも、目は思わずカロリー表示を探していた。
100グラムあたり306キロカロリー!!!!
後ほど自宅で量ったところ159グラムあったので、全部で約487キロカロリー。
うぅぅぅーーーーん。思っていたほどじゃなかったけど、それでもやっぱりハイカロリーであることは間違いない。
身体に脂肪がつきやすくなってきたアラサー女性としては悩むところだったのだが、やはり異文化はできるだけたくさん体験してみたい。思い切ってレジまで持って行ったのであった。
・意外に「ペロリ」な食べ応え
自宅に帰り、覚悟を決めてマイフライを開封すると……うおぉ! ブワッと油の香りが広がる!!
見た目はこんがりとしたキツネ色のブロックで、開封してもなおパンより厚揚げに近い印象。マジで異文化コミュニケーションだ。
勇気を出してかじってみると、見た目通りというべきだろうか。かなりパンチが効いている。
10枚切りぐらいの薄めのパン2枚はちょっと硬め。たっぷりと油を吸い込んでいて 噛むとジュワッと染み出してきた。
間には口溶けの良いこし餡(あん)がサンドされていて、油と甘さという組み合わせに脳汁が出るようなギルティな旨みが感じられる。
意外なのは、見た目ほどの重さはないということ。すぐに胃もたれしてしまう筆者でも 難なく完食できそうな雰囲気で、長年人気を集めている理由がわかる。
・ベストな食べ方はコレ!
食べているうちにふと思いついた。これって温めて食べる方が美味しいんじゃないだろうか?
調べてみたところ、マイフライを愛する地元住民の間では一般的な食べ方らしい。中にはホットサンドメーカーにバターを入れて焼き直すツワモノもいるようなのだが……さすがにカロリーが過ぎるので電子レンジで1分間温めてみた。
湯気があがるマイフライを切り分け、口に入れてみると、
うわぁ~~っ! これは間違いなくベストな食べ方!!!!
さっきまでモッタリしていた油が、温めることで急に空気のように軽い感覚に。アチアチの餡との相性はさらに良くなって、完全に出来立てのあんドーナツのような状態になったのだ!!
もちろんそのままでも美味しいのだが、個人的にはマイフライは温めることで化ける菓子パンであると感じた。
なお 食べ終わった後の皿は油でギットリとコーティングされていたのだが、怖いので見なかったことにした。マイフライ、本当に恐ろしい子である……!