突然だが “エスカレーター” を思い浮かべてみて欲しい。商業施設や役所、駅など様々なシーンで使われているエスカレーター。階段を上らずに各階へ移動出来て便利だよね。
──さて、質問です。皆さんが想像したエスカレーターはまっすぐでしたか? それともカーブしていましたか??
たぶんほぼ100%の方が「まっすぐ」と答えるはずだ。逆にカーブしたエスカレーターってあるの? ……ってことで、本記事では世にも珍しいカーブしたエスカレーターをご覧に入れましょう!
・心斎橋ビッグステップ
大阪市内、心斎橋のあたりを歩いていた時のことだ。
なにやらアーティスティックな路線のオシャレな商業施設の前を通りかかった。
10年前に美大へ通っていた筆者。当時の校舎を思い出すような雑多で華やかな雰囲気を感じ取り、思わず入店をしてしまった。
施設の名前は『心斎橋ビッグステップ』。
ちょうど30周年のイベントを開催しているらしく、施設内はバルーンやちょうちんで飾りつけられている。
ざっと見た感じでは古着やレコード、スポーツ用品を取り扱っている店が多いようで、店内は比較的若めの方で賑わっている模様。みんな個性的でセンスの光るファッションに身を包み、ビッグステップの常連ということを ひとつのステータスにできそうなハイセンスな雰囲気があった。
入ってすぐに驚いたのが、建物の構造の複雑さと美しさである。中央に地下へと続く大きな階段と踊り場があり、それをU字で取り囲むように6階建てのビルが建っている。
アシンメトリでカラフル。こんな空間見たことがない!
構造がわかりやすいのは上階から見下ろした時。ちなみに、これはすべての階を見終わって帰る直前に撮影した写真だ。
・エスカレーターとの出会い
地下~2階を一通り見た後、3階へと上がろうとした時のことだ。
エスカレーターの前まで来た瞬間に強烈な違和感があった。……あれ? なんだかこのエスカレーター、カーブしてる??
角度を変えて見ても間違いない。うわぁ、めちゃくちゃ曲がってるぞ!!
もちろん筆者にとって、これが人生で初めて見る “まっすぐじゃないエスカレーター” である。一人めちゃくちゃに興奮してしまった。
「曲がってるからって何なの?」と聞かれると難しいのだが、構造を思い浮かべてみても、何をどうしたらエスカレーターを曲げられるのか想像もつかないじゃないか。開けて中を見てみたいぐらいだ!
カーブするエスカレーターはビッグステップ内に2台あり、1台目は2階 → 3階へ、2台目は4階 → 3階へと移動できる。
実際に乗ってみると、自分は立っているだけなのに視界が少しずつ回転していく様子は違和感が満載。
ビッグステップの華やかな装飾と合わせて、なんだか遊園地に来たみたいな気分になったのであった。
・日本に約30基しかない!
後ほど調べたところによると、このエスカレーターの正式名称は『スパイラルエスカレーター』。世界で唯一 三菱電機ビルソリューションズだけが製造していて、ビッグステップ公式情報によると国内に約30基しかない貴重なエスカレーターなのだそう!
その中でもビッグステップだけと言えそうな特徴が、エスカレーターを含む建築デザインの素晴らしさと、それとともに育まれた独特な文化ではないだろうか。
説明するよりも見てもらった方が早い。1階から見上げたこちらの写真の 矢印部分がスパイラルエスカレーターなのだが、
こうして眺めると スパイラルエスカレーターの奇抜さに負けないというべきか、スパイラルエスカレーターも含めて設計されているというか。
めちゃくちゃいい場所を見つけちゃったな! と、はしゃがずにはいられないような眺めなのである。
施設内のいたる所には、黒田征太郎氏をはじめとするアーティストの作品がちりばめられているし、
トイレは各階まったく違ったデザインで美術館のよう。(写真は2階のトイレへと続く廊下)
他にもレアなクラシックゲームや アメリカのピンボールが楽しめるショップ、映画館、ライブ会場もあったりと、文化的な遊びを網羅(もうら)できる構成となっている。
エスニックやアジアを中心にカフェとレストランもあり、休憩するだけでも雰囲気を楽しめるはず。
大阪でちょっと変わった文化的な体験をしてみたい! という方は、是非 心斎橋ビッグステップへと足を運んでみて欲しい。
参考リンク:心斎橋ビッグステップ
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
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▼エスカレーターの足元を見てみると、ステップの形がほんのわずかに台形っぽいかも?
▼4階からの景色もきれいです
▼記念メダルもアーティスティックで最高!