突然だが、あなたは区役所の食堂にどんなイメージをお持ちだろうか。私(中澤)は、ぶっちゃけ質素なイメージを持っていた。薄っぺらいハムカツがメインディッシュでAセットみたいな。「せめて、サラダにドレッシングかけてよ」という声を食堂のおばちゃんがキャラでフォローする姿が目に浮かぶ。
だが、先日、足立区役所の食堂に行ったところ、そんなイメージを粉砕するまさかのオシャレスポット。出てきたメニューも普通に良かった。ひょっとして、区役所の食堂って穴場なのか? そこで渋谷区役所の食堂に行ってみた。
・最安か
なぜ渋谷区役所かと言うと、ここの食堂がそば屋らしいのである。私(中澤)はウマイそば屋を求めて色んな町を放浪する連載『立ち食いそば放浪記』を311回続けているため、ただの食堂に行くよりは実のある見解を言えるのではないかと思ったのだ。
訪れたのはNHKホールの横にある渋谷区役所本庁舎。入口を入ると総合案内より前にその食堂のメニュー看板が立っていた。どうやら『渋谷ハチ公そば』という名前で1階にあるらしい。ちゃんと店名があるだけでちょっと驚きなのだが、ザッとメニューを見たところさらに衝撃を受ける記載を発見した。
十割そばが390円だと……!?
しかも税込み。安い十割そばと言えば『嵯峨谷』が有名だが、そんな嵯峨谷ですら2023年10月現在は400円する。ここ、ひょっとして最安なのでは……?
・間違いなく390円
失礼、オタクゆえにデータで衝撃を受けてしまったが、その分少ない可能性だってあるし、まだなんとも言えない。そこで食べて確認しようと思う。ハチ公そばは、総合受付向かって左の通路入ってすぐにあった。
内装はそば屋というより、多目的スペースに席が配置されたような雰囲気。食堂というよりリフレッシュコーナーみたいだ。しかし、奥に進むと厨房と券売機が設置されていて、半分だけ食堂オーラが出ている。改めて、券売機で確認しても確かに「十割そばせいろ」は390円。
・かゆいところに手が届くメニュー
また、舞茸肉せいろ(940円)や、きす天せいろ(890円)など、そばメニューの種類も豊富。ビーフカレー(490円)やセットもあって、何気に欲しいところをちゃんと押さえている。町そばとか立ち食いそば屋でもこだわりの店とかは、カレーとかセットがない店も普通にあるからなあ。
さて置き、話を戻そう。安すぎる390円十割そばは一体どんな内容なのか? 注文してみたところ、こんな感じでした。
・食べてみた
まず、量的に少ないということはなさそう。麺にはところどころにホシが見えて挽きぐるみっぽい。信州そばっぽい灰色でぶつぶつ黒い斑点があるアレだ。ちなみに、そば粉は北海道幌加内産新そばを使用している様子。
食べてみたところ、そばの香りは特別強いということはないが、細いながら平麺になっている麺がつゆとよく絡む。出汁は鰹の味が強め。しかしながら、尖った出汁の味に甘みが効いていてバランスが良い。
そんなつゆは、ドボンとつけて食べるのが美味しい現代的な味の濃度。激ウマとか1位とかそんなレベルではないものの、問題が感じられない十割そばだ。390円は普通に高コスパと言える。
・穴場だった
立ち食いそば屋を主戦場に311店回った私だが、区役所の食堂はノーマークだったな。ちなみに、ハチ公そばは11時00から14時30分までしか営業していないらしい。
さらに、渋谷区役所の中にあるので土、日は定休日。したがって、休みの日にこれ目当てで行くような店ではないが、近所で仕事とかすることがあれば寄ってみるのも良いかもしれない。渋谷のランチって高くつきがちだしね。
・今回紹介した店舗の情報
店名 渋谷ハチ公そば
住所 東京都渋谷区宇田川町1-1
営業時間 月~金11:00~14:30
定休日 土、日、祝
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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