食べ物に深い味わいを持たせてくれる調味料、出汁。和食にはよく使われているけど……そういえば、洋食に使われてるのってあまり見たことがない。

和食には和の調味料、洋食には洋の調味料が鉄板だと思っていたけど、どちらも調味料だし意外とマッチすることもあるんじゃないだろうか。

ということで、3つの洋食メニューに出汁を投入してどんな味になるのか確かめてみることにした。


・調理開始

1つ目はパン。出汁巻き卵を挟んだサンドイッチはあるけど、パン自体に出汁が入っているというのは聞いたことがないのでどんな味になるのか気になった。以前作った丸パンの生地に、白だしを加えてこねていく。


焼き上がったものがこちら! 

……あれ? 白だしはしっかり入ってるはずなんだけど、香りは普通のパンと変わらないように感じるな。筆者の鼻では、何回顔を近づけてみてもイーストの香りしか嗅ぎ取れなかった。

白だし……おまえまさか、死……? 「量が少なすぎたかな……」と一抹の不安が頭をよぎった。


2つ目はハンバーグ。洋食の代表メニューと言ったらこれでしょ!! と思ってセレクトした。こちらもひき肉や卵などの一般的な材料に白だしをプラスしてたねをつくっていく。

ハンバーグにかける和風ソースに出汁が入っているものは食べたことがあるけど、パンと同じように本体に出汁を混ぜるというのは見たことがない。和食にも肉と出汁を合わせた料理があるし大ハズレにはならないと思うんだけど、どうかな~!!


完成品はこんな感じ。

おぉ~、おいしそうな肉の香り~!! ……だけど、やっぱり出汁の香りは分からないな。こちらも味に期待である。


3つ目はスープ。玉ねぎとブロッコリーをお湯で煮て、通常ならコンソメを入れるところに白だしを投入。


湯気からはふわっと出汁の香りが漂っていて、3つの中ではダントツで生き残っている気配を感じた。調理方法も材料もシンプルな分、出汁が負けてしまうことがなかったのかもしれない。


・実食!

無事に3品のメニューが完成したところで、いよいよ実際に食べていこう!


まずはパンからいってみよう。香りは完全にイーストに負けてしまっているけれど、果たして…!!


……お? ちょっとしょっぱい?


確かに生地を作る際に塩は入れている。だけど、分量は前回作ったものとまったく一緒だ。それなのに明らかにしょっぱさが増してるってことは……


白だしおまえ、生きてたんか……!!


無事に白だしを発見することができて一安心! ただ、出汁独特の風味は完全にイーストに負けてしまっていたので、正直「これ塩パンだよ」って言われて出されたら全然気づかないと思う。


──とここまで書いた後、休憩がてらに冷えたものをもう1度食べてみたら……なんと出汁の風味と味がガッツリ分かるようになっていた。ど、どうして!?

調べてみたところ、人間の舌は冷たいものを食べるとしょっぱさをより強く感じるようにできているらしい。

確かに冷えた味噌汁はしょっぱく感じるな……まさかこの企画で人体の知識まで手に入るとは思わなかった。


続いてはハンバーグ。こちらは今のところ出汁の存在が微塵も感じられないけど、パンみたいに味で勝負してるのかもしれない。ドキドキしながら食べてみると……


肉おいし~~~!!!!!


口に広がったのは、いつものおいしいハンバーグの味。念のためケチャップがかかっていないところも食べてみたけれど、パンと違ってどこをどう探しても出汁の味を感じることができなかった。


すいません、肉のパワーをなめてました……もう少し出汁の量を多めにしてもよかったな、と反省した。


最後にスープ。香りでは最も出汁を感じられた料理だ。

飲んでみると、案の定3つの中では一番出汁の味が分かりやすい。程よいしょっぱさがブロッコリーや玉ねぎにも染みこんでいて、ごくごく飲めてしまう。

よく考えたら、要はこれって具材が洋風の野菜になっただけのお吸い物だもんな……相性が悪いわけがなかった。


・やっぱり和食が1番

ふ~、ごちそうさまでした! 見事なまでに味の感じ方が三者三様だったな~。新しい味を楽しむことができて面白かった。

とはいえ、最も風味がはっきりと分かった上においしいと感じたのはスープ(ほぼお吸い物)だったので、やっぱり出汁の美味しさを最大限に生かすには和食がぴったりなんだろうな。気になっていたことを自分の舌で確かめることができていい経験になった。

この味を気軽に楽しめる日本に生まれてきたことに感謝である。今後も和食を作る際には、どんどん出汁のお世話になっていこうと思う。

執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.