LGBTの話を持ち出すまでもなく “多様性” が尊重されるこの時代。キティちゃんが大好きな男性がいてもいいし、プロ野球を目指す女性がいてもいい。大切なのは「自分の大好きを貫ける力」なのだろう。
そういう意味で、私(サンジュン)はまだまだ “ピカチュウ愛” が足りないのかもしれない。これからお話しするのは純度100パーセント、混じりっけなしの超実話である──。
・映え映えスポット
みなさんは現在開催中の『ピカチュウ アフタヌーンティー』をご存じだろうか? すでに当サイトでもご紹介しているが『ピカチュウ アフタヌーンティー』とは、東京の「ザ ストリングス 表参道」で開催されているピカチュウ尽くしのアフタヌーンティーのことである。
もちろん、私はイベント自体は知っていたが『ピカチュウ アフタヌーンティー』に出かける気はサラサラなかった。すでに記事になってしまっている以上、取材する意味は無いし、アフタヌーンティーとも縁遠い中年男性である。「ピカチュウ酒場」ならまだしも、アフタヌーンティーに興味は持てなかった。
・ハメられた
ところがどっこい、私のポケモンGO友達の思い付きで、最終的に私は「こごえるかぜ」を浴びまくることになる。彼はここ1年くらいで仲良くなった男性で、年齢は私の8つほど年下。普通の人の2倍くらい頭脳明晰な言動がある一方で、その3倍くらい間が抜けている性格だ。
仮にここでは「のりお」と呼ぶが、そののりおからLINEがあったのは、2023年5月29日のこと。普段はグループでやり取りすることが多いので、個別でLINEがあったのは珍しいことであった。
「おはようございます! 今週の土曜日ピカチュウアフタヌーンティー行きませんか?」
この時、私は「まさか俺だけを誘ってるハズはない」と思っていた。のりおにはだいぶ年上だが、女性のフレンドさんもいる。私のようなおっさんを、日本屈指のお洒落タウン・表参道の『ピカチュウ アフタヌーンティー』に誘う理由がないからだ。
一応、私は「今週の土曜日、ポケモンGOのイベントあるよ」とバックし、のりおからも「それはまずい(汗)」という返信が。私としてはやんわり断ったつもりであったし、実際にピカチュウアフタヌーンティーのことはすっかり忘れていた。
……のだが、常人の3倍間が抜けているのりおには、私の “そこはかとないお断り” は通じなかったもよう。その証拠にイベント前々日の夜に以下のようなLINEが入ったのだ。
「土曜日のイベント14時からで予約11時30分からなのですがいかがですか?」
こ、こいつ……! 私は「え、アフタヌーンティー?」と返信したが、実際にのりおに言われるまで『ピカチュウ アフタヌーンティー』のことは忘れていた。しつこいようだが、私はピカチュウアフタヌーンティーにワクワクできるほどピュアなおっさんではないのである。
だが、あの時ハッキリ断らなかった私にも非があるかもしれない。この時点でも「おっさん2人でピカチュウ アフタヌーンティー」とは夢にも思っていなかったこともあり、私は渋々OKした。もちろん、のりおは私が渋々だとは気付いていなかったハズだ。
・こごえる表参道
で、ピカチュウアフタヌーンティー当日。私はその後のポケモンGOのイベントに合わせてスポーティな格好で表参道にやってきた。どちらかというと苦手な街、表参道。発起人の のりおはどんな格好で登場するのか待っていると……
いつものまんまやないか!
チノパンとヨレヨレのシャツ、冬ならさらにヨレヨレのフリースが のりおスタイル。ポケモンGOのイベントが開催された台湾でもシンガポールでもラスベガスであろうと、のりおはいつもこの格好だ。というか、表参道とアフタヌーンティーなめんな。
ここでようやく、おっさん2人でピカチュウ アフタヌーンティーと知り血の気が引いたが、もう後には引けない。意を決して突入した日本最高峰の可愛い世界──。我々はどうなってしまうというのか?
・女性だらけの店内
で、ピカチュウ アフタヌーンティーが開催されている「ザ ストリングス 表参道」は、平たく言えば結婚式場である。ただでさえ緊張する表参道、格式高い結婚式場、そして世界一可愛いピカチュウのアフタヌーンティー。どう考えてもおっさん2名が紛れ込む隙はなかったハズだ。
そしてやはりというべきか、ピカチュウ アフタヌーンティーに来場していたのは女性ばかり。男性もいたにはいたが、カップルや女性3人の付き添いとして男性がいる程度であった。心なしか、我々を席へ案内してくれたスタッフさんの目も泳いでいた……気がする。
席に着いた私は率直に打ち明けた。「俺はやんわりと断ったハズなのだが?」と。だが恐ろしいほどマイペースなのりおに「え、気付きませんでした」と一蹴されてしまう始末。こうなれば目の前のピカチュウアフタヌーンティーに没頭するしかない。
ピカチュウアフタヌーンティーでどんなメニューが登場するかは以前の記事をご覧いただくとして、とにかくピカチュウ三昧のスイーツたちは「可愛い」としか言いようが無い。むしろ運悪く我々のテーブルに運ばれて来てしまったピカチュウスイーツに申し訳なくなるレベルである。
持ち時間は2時間、料理はすぐに提供されたため、とりあえず写真を撮って料理を食べる。そして30分後……
もうやることが無くなったでござる。
これはウソでも何でもないが、同じタイミングで料理が提供された他のテーブルでは、まだまだ撮影会が続いていた。女性同士なら席を変え、スイーツの配置を変え、そしてカメラを変え、無限に続くピカチュウ撮影会。せいぜい1~2枚しか写真を撮っていない我々とは大違いである。
・こごえるかぜ、ここごえるせかい
他のテーブルでキャッキャウフフと撮影会が続く中、我々のテーブルに残っていたのは、食い荒らされたピカチュウの残骸だけ。「交換でも……するか」と無言でポケモンを交換する私とのりおの周囲1メートル範囲には「こごえるかぜ」が吹き荒れていた。いたたまれなさすぎて、普通に失神しそうだったよね。
結局、1時間足らずで表参道を後にしたが、やはりおっさん2人に『ピカチュウ アフタヌーンティー』は、まぶしすぎて場違いだったと言わざるを得ない。逆に周囲のことなど一切関係なく、ピカチュウに没頭できるおっさんなら『ピカチュウ アフタヌーンティー』はだいぶオススメだ。
店員さんによれば「意外と男性同士のお客様も多いですよ」とか「男性1人のお客さまも少なくないですよ」とのことだったが、あの時おっさん同士の客が我々だけだったのは単なる偶然なのだろうか? もちろん男性同士の来客もあるだろうが「意外と多い」に関しては優しいウソだと思っている。
『ピカチュウ アフタヌーンティー』は世界最高レベルの素敵すぎるアフタヌーンティーである。『ピカチュウ アフタヌーンティー』は世界最高レベルの映え映えスポットである。ゆえに場違いだと自覚しているおっさんたちは「こごえるかぜ」を覚悟してお出かけになった方がいいだろう。
参考リンク:PR TIMES
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.c2023 Niantic, Inc. c2023 Pokemon. c1995-2023 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
ScreenShot:ポケモンGO (iOS)