ジメジメ&ムンムン。残念ながら、そろそろ「G」の季節である。あえてカタカナでは表現しないが、4文字の黒いアイツ。たとえ1匹でも部屋に出たら超ブルー。仕留められずに逃げられようなら夜も眠れなくなる……。
そんな状況につい先日なってしまった(逃した)のだが、私は比較的落ち着いていた。「鬼のようにデカいけど、1匹だけなら、まあいいか」と。
基本的にGが苦手な私。しかし、過去に泊まった安宿で味わった “おそらく史上最悪レベルのG体験” に比べたら、1匹なんて屁なのである。Gが嫌いな皆様も、以下の体験談を読めば「1匹程度なら」と思える……かも?
・世界有数レベルのG宿
海外の安宿に「G」はつきものだが、圧倒的かつ、これ以上はおそらく世界どこ探してもないであろうトップレベルの “G宿” だったのが、インド南部のITシティ「バンガロール」にある安宿だった。
そこまで汚い宿ではなかったのに、入った瞬間「いるな」と感じた。視線みたいなのを感じるのだ。とりあえず共同シャワーを浴びに行くと……まず、浴室に立てかけられていたホウキの裏に巨大なヤツが1匹いた。即、殺した。
「絶対にまだ他にもいるな」と直感的に思い、部屋に戻り服を着て、おもむろにベッドのマットレスをズラしてみたら……ベッドの下に3匹ほど巨大なのがいた。殺虫剤を持参していたので皆殺しに──と思った次の瞬間!
その宿の窓には、網戸というか、金網が貼り付けられているような感じだったのだが、ちょうど500円玉サイズの穴(破れ)がひとつ空いていた。
そして、その金網の穴めがけ、外から5匹以上のGたちが、ゾロゾロと縦に並びながら、1匹ずつ次々と室内に侵入してきたのである。
金網なので、外からよじ登ってくる姿(腹側)も見えるし、穴をくぐるのも、室内に続々と入ってくる姿(背中側)も、全てが見える。
何より驚くべきは、本当の本当に、5匹以上のGたちが、タテに並びながら続々と侵入し、ズラしたマットレス部分、すなわち “ベッドの骨組み” の部分を、ビシッと縦列で一目散に、私めがけてドドドと特攻してきたのである。
なんという秩序。なんというチームプレー。あまりにも綺麗すぎる「縦列ダッシュ」は、まるでF1レースのようだった。というか信じられるだろうか? Gが縦に並んで総攻撃してくる光景を。嘘ではない。マジなのだ。
しかしこちらには殺虫剤がある。真正面からカウンター気味に噴霧して、続々と殺していったが(その時、ようやく縦列が乱れた)、その後も天井やタンスにいたりと、おそらく30匹以上(しかもすべて巨大)は殺した。
・部屋だけではなかった
なおその宿は、シャワーはもちろん、トイレも共同。よって夜中にトイレに行こうと部屋を出て、ロビー部分を歩いていたら……なんだか床がシャーッと動いた。
まさかと思い懐中電灯で照らすと、床には無数のGがいた。私が動くたびに床も同時に動くような、信じられないほど大量のGがロビーに集結していたのである。
それに驚き、仰け反るように天井を照らすと、天井部分にも信じられない量のGが張り付いていた。四方八方、Gだらけ。なんだかもう、怖いとか、戦わねばとか、そんな感情は吹き飛んでいた。諦めの境地というか。
なお、もちろん翌日マッハで宿を変えた。あんな大量のGを一度に見たのは、これまでの人生、後にも先にもあの宿だけ。「これが俗に言うG宿か」と。そして「これがインドの洗礼か」と、身をもって知ったのだった。
そんな経験をしている私は、1匹どころでは動じない。そりゃ気にはなるから、なかなか寝付けなかったりもするけども、「1匹だけなら、まあいいか」と、腹をくくる……というか、諦めることができるのだ。
1匹くらいなら、屁でもない。インドのあの宿に比べたら。
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24