3月から4月は引っ越しシーズン。今、血眼になって部屋の片付けと荷造りをしている人も多いことだろう。お疲れさまです……。
つい先日、私も15年住んだ部屋から引っ越しをした。処分するものが大量にあり、断捨離地獄になったのだが……。困ったのが、不用品の処分である。
どうしようもなくなって、不用品回収業者に引っ越しで出た不燃ゴミや家具を処分してもらうことにしたのだが……。とんでもない金額を請求されたのである。
・引っ越しの敵、粗大ごみ・家電・不燃ごみ
まず最初に言い訳させてほしい。引っ越しのゴミ処分で、ネックになる家具などの粗大ゴミ、不燃ごみ、家電の排出についてである。私が住んでいた文京区では
・粗大ゴミ……品名を指定し約1ヶ月前予約 (1度に10個まで)
・不燃ごみ……2週間に1回
・洗濯機&テレビ&冷蔵庫……家電リサイクル対象
という感じ。粗大ゴミを1ヶ月前に事前予約しそこねたらその時点でアウト。さらに、処分するものが何なのかも事前に申告が必要だった。
引っ越し1ヶ月前に「捨てるか・持っていくか」のジャッジを迫られるうえに、さらに、区によってはジャッジが厳しく、粗大ゴミ判定になるものが多く、1度に10個までしか予約できないルールがネックになった。
そしてガラスや小型家電などの不燃ごみが2週間に1回というのも、下手すると引越し日より1週間ほど前になってしまうため厳しい。さらに家電リサイクル対象の洗濯機や冷蔵庫の処分の面倒くささは言うまでもない。
そもそも片付けられない女である私が、これらを当日までにうまく処分できるか……? できるわけがないのである。
・直前にいっぱいゴミがでる
まあ、そうでなくても、引っ越しで想定外のゴミは出るもの。直前になって「やっぱりいらないな」ってものや、捨て忘れも出てくる。そんなこんなで
・腰の高さのカラーボックス4つ
・ゴミ袋4袋分の可燃ごみ
・ゴミ袋1つ分の資源ごみ
・紙袋1つ分の不燃ごみ
・小さめの家電3〜4個
という量のゴミが出てしまった。まあ、多いといえば多いけど、冷蔵庫などの大型家電はひとつもない。調べたところ、不用品業者がすぐに出てきた。ゴミ捨てマッスル(仮)という会社で、公式サイトもしっかりしていた。
・ライトパック(押入れの荷物)……8900円
・軽トラパック(1K〜1DKの荷物)……2万6000円
・1.5トントラック(2DK〜3DKの荷物)……5万6000円
・2トントラック(ゴミ屋敷など)……9万6000円
といったプランになっていた。ライトパックと軽トラパックの値段の間が異常に空いていることは気になったが、とにかく急いでいた。LINEで申し込み可能だということだったので、荷物の詳細を送り、翌日の午前中に来てもらうことになった。深夜にも関わらず、LINEのやり取りも丁寧だったので大丈夫だろう……。
私のゴミはクローゼットに入るくらいの量であり、軽トラいっぱいって感じではないから、8900円のライトパックで大丈夫だろう……そう思っていた。
・ていねいな作業員がきて安心したが…
家にやってくる前には「あと30分ほどで到着します! よろしくお願いします」と電話がかかってくるなど、終始丁寧な印象であった。家にやってきた作業員の方は、インディアンスの田淵みたいな、ハツラツ元気な30代ほどの男性。腰が低くて作業も早い。これなら安心だ……と思ったら
しばらくして、田渕(仮)は私が洗剤のボトルを入れたゴミ袋を持って一言
「あ〜、これ……液体が入ってますねえ……」
と困ったような顔をするではないか。
「あの〜、液体と食品はなんちゃらかんちゃらで正規料金で、なんたらかんたらの1.5倍になるんですけどいいですか?」
何がどうして液体と食品がダメで1.5倍になるのか、すごい早く説明されたのでわからない。サイトにも液体と食品は別料金になるなんて書かれていた覚えはないけど、急いでいて見落としたのかもしれないし……。
まあでも、8900円の1.5倍なら……1万4000円くらいか。申告時より量も増えたし、仕方ないかなと思って了承した。そして、田淵(仮)は笑顔ですべての荷物をサクサクと運び終え、最後に電卓で何やら計算して……私に見せた金額は
3万4500円であった
何がどういう計算でそうなるのかよくわからない。呆然とする私を見て田淵(仮)は申し訳なさそうな顔をして
「ちょっと最初聞いてた分より量が増えちゃったんでね……。まあ、3万4500円から、4500円勉強させてもらいます。3万円の10%消費税で3万3000円でどうですかね」
と言った。このとき、パニックに陥っていた私は「4500円も勉強してくれるんならしょうがない」という、謎の申し訳なさすら感じていた。引っ越し作業が徹夜で疲れ切っていたのもある。
なにより、この引越しの面倒臭さから一刻も早く開放されたかった。
中腰作業が続いて腰も痛いし、指は傷だらけ。必要なものといらないものをジャッジするのも神経を使う。これ以上、何も考えたくなかった。
結果、私は言われるがままに3万3千円を払ってしまったのである。
・後からこみ上げる疑問
そして田淵は会計時に「後ほど、今回の処分の明細を携帯にSMSでお送りしますんで、サインと携帯番号の入力お願いします」と、機械を差し出した。
一瞬「予約はLINEでやり取りしてたのになぜ携帯番号が必要なのか?」と思ったが、高額な処分料の明細が知りたかったこともあり、またしても言われるがままに番号を入力した。
「では、ありがとうございました! なにかありましたらまたご連絡ください!」
田淵(仮)は笑顔で爽やかに、素早く去っていった。私も笑顔でお辞儀をして、ドアを閉めた。鍵をカチャンと閉めたあと、なくなったゴミの山を見て、スッキリした気持ちに……スッキリした気持ちに……ならなかった。
8900円が3万3千円になるってどういうこと!?!?
1DK向けの軽トラパックが2万6000円なのに、なんで私がちょっとゴミ出しただけで3万3千円になるわけ???
ていうかよく考えたら、今回、引越し業者に注文した「単身引っ越しパック 3万5千円」とほとんど変わらない金額を廃品回収に取られている。いくらゴミ処理は面倒とはいえ、ちゃんと分別もしてたし、テレビもベッドも冷蔵庫も出してないのに、明らかにおかしいではないか。
・明細を見て衝撃
よし、なにがどうなって3万3千円なのか明細を見よう……とSMSにきたメールをクリックしてみて、届いていた明細はこれであった。
任意の金額ってなんやねん!!!!!!
詳細一切書かれてへんやんけ!!!!!!!!
そして気づいた。
私はボッタクリ会社に高い金を払ったばかりか、手書きのサインで名前と、携帯番号まで教えてしまったのである。この愚かな私の名前と携帯番号は「カモリスト」として悪徳業者にまわるのであろう。
もはや、カモがネギしょって「カモ鍋のおかわりいかがですか〜?」と聞いて回っているような状態である。バカかよ。
・業者の名前をGoogleで調べると
やる前に調べろよって話なのだが、あとからGoogleでゴミ捨てマッスル(仮)の評価を調べたところ……★1がつきまくっている。みな口々に
「あきらかに悪徳業者です」
「作業自体は非常に手早く作業員の方の態度も良かったが定額プランが全く機能しておらず金額が不明瞭で高額。2DK相当以上の値段を取られた」
「電話で事前にサイズも伝えて9000円ほどと言われたのに、現場で1万5千円を取られた」
などと書いている。廃品回収業者としてテレビに出たこともあるとHPに書いてあったが、クチコミは全てここ4ヶ月以内で件数も少なかった。おそらく、引っ越しシーズンにだけ荒稼ぎして、また次の季節がきたら社名を変え、ボッタクリ稼業をしているのではないだろうか。
事前に業者の名前でクチコミを調べればよかった……と思ったが、後の祭り。私は新生活が始まる大事な時期に、3万もの金を無駄に失ったのだった。ちなみに、この業者は汚部屋やゴミ屋敷の片付けもするとHPに書いていたが……もし家全体のゴミの処理を頼んだら一体いくらになってしまうのか。想像するだけで恐ろしい。
・注意喚起はされてるけど…
ちなみに、こういった廃品回収業者による高額請求は問題になっているようで、文京区のサイトには「不用品・廃品回収業者とのトラブルにご注意ください!」という注意喚起のページがあった。
対処法には「適正なルートによる処理をお願いします」とあるが、それができなかったから困っているんじゃないか……と思ったのだった。
粗大ゴミは予約制でかなり先まで枠が埋まっているので、直前に出すことはできないし、そもそも巨大なタンスなどは自分で運べない。
家電の回収をする「家電リサイクルセンター」も部屋から家電製品の運び出しはしてくれない。そうなると、私のような一人暮らしの女性や老人では、家電を外まで出すのは難しい。
ちなみに、トラブルになった場合は消費者生活センターに相談を、ということだった。引越し前は急いでいると思うが、皆さんも事前にGoogleのクチコミなどをしっかり見てほしい。
参考リンク:文京区、粗大ゴミ受付センター、家電リサイクルセンター
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.