「中華街」と聞いて、どこの街を思い浮かべるだろうか? 関東在住の私(佐藤)は、横浜が思い浮かぶ。西日本の人は神戸・南京町を想起するかもしれない。九州なら長崎新地が真っ先に脳裏に浮かぶかも。
そんな中華街をやんわりと比較してみた。今回は横浜と神戸の中華街の違いを緩く見てみたいと思う。
・神戸南京町
先日、神戸を訪ねる機会があった。コロナの影響でこの3年ほとんど遠出をしていなかったので、新幹線に乗るだけでウキウキ! 興奮しすぎて下調べもほとんどしないままに、ある日の夕方、神戸の地を足を踏み入れた。翌日は猛烈に早く目が覚めて、街の様子を探ろうと早朝散歩。
すると、元町商店街に隣接する南京町にたどり着いた。ここが噂に聞く神戸の中華街かあ。
南京町広場を中心にして、長安門から西安門までの通りに飲食・雑貨・食料品・日用品店などが並んでいる。東西約270m、南北約110mの間に100を超えるお店が軒を連ねているそうだ。
この街は、1867年の神戸港開港時に誕生したと言われており、街の佇まいからその歴史を感じさせる。昼は修学旅行生でごった返しており、お祭りのような雰囲気がとても良い。
・横浜中華街
南京町に行ったのを機に改めて横浜中華街にも興味がわいて、帰京後に横浜を訪ねた。横浜は南京町よりもはるかにデカい! 大通りは全長約300m(善隣門から交番まで)、2022年の段階で店舗数は約630にも上る。
規模だけでいえば横浜の圧勝である。人気の観光スポットだけあって、平日昼でも大行列の店も少なくない。しかしながら、街の良さは規模だけではかれるものではないので、それぞれのいいなと感じたところを紹介したい。
・それぞれの街の気になるポイント
まずは南京町の気になるポイントに触れておこう。なぜか街のあちこちにスパイダーマンがいた。
どうやら、神戸牛の専門店の飾りのひとつだったようで、同じグループの店先には必ずスパイダーマンが鎮座している様子を見ることができた。神戸牛といえば、神戸牛のコロッケ専門店があるのも南京町の特徴のひとつ。
横浜は東京に近いため、他のエリアのトレンド商品が多く入り込んでいる。たとえば、いちご飴を店頭で販売するお店がチラホラと目につく。横浜中華街はやや新大久保化しているのかもしれない。
・豚角煮まんを比較
グルメについても見てみよう。横浜と神戸でそれぞれ豚の角煮まんを食べた。
横浜の方では、中華料理の世界チャンピンを何人も在籍するというレストラン「皇朝」の「豚角煮まん」(税込390円)。神戸は食べ歩きの店頭販売がにぎわっていた「長城飯店」の「トンポーロー」(税込550円)である。
横浜の方は平べったい豚肉なのに対して、神戸は分厚い! しかも皮つきだ。値段の差がそのまま厚さの違いに出たといっても良いかも。たまたま購入した店がそうだったというだけかもしれないが、私は神戸の方が断然好き、あの豚肉の食感が忘れられない……。
・北京ダックを比較
続いて北京ダック。横浜は北京ダックの専門店「王朝」(税込390円)。神戸は先ほどと同じ長城飯店(税込500円)のものだ。
同じ北京ダックでも全然違う! 横浜は口にまとわりつくような柔らかい薄皮で具材を包んでいるのに、神戸はパリパリのナチョスみたいな固い皮で包んでいた。キュウリやキャベツのシャキシャキ食感と肉の柔らかい歯ざわりが相まってタコスを食ってる気になった。ひと口に北京ダックといっても、店や地域によって全然違うんだねえ、面白い!
・個性的な料理比較
最後は街で見つけた個性的な料理を比べてみよう。横浜の方は金鳳酒家(きんほうしゅか)の「フカヒレ入り羽根つき焼きそば」(税込1650円)。神戸は「廣東料理 民生」の「イカの天ぷら」(小 税込1800円)である。
まず横浜、羽根つきといえば餃子のはずが、ここは焼きそばに羽根がついてる! 中国宮廷料理の技法をこのお店の料理長が焼きそばに用いたのだとか。ほどよく味のついたザクザクの羽根と、たっぷり餡の焼きそばの食べ合わせが面白い。
一方、神戸のイカ天はシンプルな一品、見た目にインパクトはない。しかしながら、これがめっちゃ美味い! 無限に食えるのでは? と思うほどハマる味だ。なんだ、この謎の中毒性は!? 気づかないうちに全部食ってた……。
・トレンドと歴史
お店にもよるのだが、総じて横浜は安くて手軽に食べられるものが多いのに対して、神戸は観光地の価格設定なのか、いくぶん高めの印象を受けた。新しいトレンドを積極的に取り入れる横浜と、古い街の佇まいを携える神戸。それぞれに街の個性を感じられる。
いずれにしても、1回や2回の訪問で街の全部を知り尽くすことは不可能だ。繰り返し足を運んでそれぞれの街の良さを改めて掘り下げてみたい。いずれは、長崎新地の中華街も訪ねて、日本3大中華街比較に挑んでみたいと思う。