以前スペインで見ず知らずの私を泊めてくれた親切なスペイン人男性ことディエゴに彼女ができたらしい。あのゲームおたくのディエゴが一体どこで彼女を見つけたのか……やはりというべきか、世界最大のマッチングアプリ『tinder(ティンダー)』とのことだ。

外国人男性との出会いを模索している私にとって、もはやティンダーは “絶対に利用しなければいけないアプリ” と言わざるをえない。だがしかし……ティンダーに「ハズレ」を超越した「ジョーカー」が多数潜んでいることはあまりに有名だ。

連続ジョーカーなど引こうものなら、繊細な中年女子の心は一瞬でズタズタである。何かいいテはないか? と思っていたら…………あった!

・ティンダーTシャツ

それは去る2月11日。イケメン外国人との突然の出会いを待ちわびながら、私は旅行先のバンコクで巨大デパート『セントラル ワールド』を歩いていた。すると……


こ、これは……!?


1階フロアに特設された「tinder」印の巨大な箱。プリクラ機のように見えるが、外国人の私でも利用可能だろうか? 表に回ると……


ティンダーのTシャツ屋さんだァ!!!!!!!


・私がティンダーをやらない理由

実は私はかねてより「出会いを求めているということを、道ゆく男子にさりげなくアピールする方法はないものか?」と思案していた。なぜならティンダーのアプリを眺めていると、プロフィール欄に堂々「既婚者です」などと記されたアカウントを頻繁に目にするからだ。

正直に書いているのはまだマシなほうで、こうなってくると “プロフィールを偽ったアカウント” の存在も想像に難くない。現にティンダーを利用する友人からは「連続3人からネズミ講の勧誘を受けた」などの報告もあり、怒りというより恐怖を感じる。

もちろん既婚者、ネズミ講、経歴詐称その他クズ男たちとの無駄なマッチングの果てに、素敵な出会いを見つけた先輩方も多くおられるだろう。「それくらい辛抱しなきゃ、運命の出会いなんてムリ」という意見ももっともである。だがしかし……

「じゃ、結構ですわ」というのが、ベテラン独身者たる私の偽らざる本音なのだ。プロフ偽り男たちと1秒でも関わるくらいなら出会いなど無くていい。甘えだろうがなんだろうが、真面目な好青年と一発でマッチングしたいッ!!!


……少し言い訳がましくなったが、そういった理由で私はティンダーを利用したことがない。ネット世界で人はたやすくプロフ詐称に手を染める。ならばやはり、現実世界で出会うのがベターなのではないだろうか。とか言ってたら何年も経ってしまったが。

そんななかで、今回ひらめいた “ティンダーTシャツを着て街を歩く” という発想は、かなりいいセンいっているんじゃないかと思う。街ゆく男子は「あ、この子ティンダーやってるんだ」と一瞬で気づくことができ、気に入ればその場で声をかけることができるのだから。

スタッフの方に話をきいたところ、これはティンダーとセントラルワールドのバレンタイン・コラボ企画(現在は終了)。Tシャツは売り物ではなく “セントラルワールドで500バーツ(約2000円)以上の買い物をしたティンダーユーザーにプレゼント” なのだそう。さっそく無印でお菓子を購入だ!



なおTシャツをもらうにはもう1つ “SNSでイベントのようすをシェアする” という条件もある。スタッフのお姉さんに撮影をお願いしたところ……チャッ! と撮ってチャッ! と投稿してくれた。仕事が早ぇ!


・ティンダーTシャツで歩いてみよう

念願のティンダーTシャツをゲットした私は翌日、さっそくバンコクの街へ繰り出した。旅行中の西洋人あたりが「ワ〜オ、ティンダー?」と陽気に近寄ってくる可能性が高そうに思うが、意外とタイ人もノリがいいので侮れないぞ。ウフッ……それじゃ、レッツゴ〜〜〜!!


結果:誰からも話しかけられませんでした


丸一日バンコクの繁華街を練り歩くも、声をかけてくるメンズは登場せず。そのかわりTシャツを指差してクスクス笑う者は5人ほどおり、もしかすると「あのアジア人、なぜティンダーのTシャツを?」と思われているのかもしれなかった。

「出会いを求めています」という意図は伝わりづらいことが判明したティンダーTシャツ作戦だが、長い目で見ればTシャツをきっかけに男子と会話がはずむ場面もありえる。そういう意味では “着ないよりは着た方が出会う確率は上がる” と言えなくないだろう。

聞くところティンダーのコラボイベントは世界各地で開催されているそうだ。読者の皆さんも街でティンダーTシャツに遭遇したら、逃さずゲットしてほしい。なお私は現在もティンダーTシャツを着てアジア諸国を旅しているぞ。いつかきっといいことがある……と信じてる。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼Tシャツにはタイ語バージョンもあった

▼本音はもう少し遊びたかった撮影コーナー