スンドゥブは韓国を代表する絶品料理である。というのは、辛党である筆者の個人的な意見だ。

海鮮ダシの効いたスープ&ピリッと辛いコチュジャン、トロける卵、それらの旨みをまとった滑らかな豆腐。真っ赤な中に真っ白が浮かんで、見ためにも刺激的。最高である。

ところが! 先日買い物をしていた時、見過ごしがたい商品を発見してしまったのだ。その名も『辛そうなのに辛くないスンドゥブ』……いやいや、辛くないスンドゥブなんて認めないぞ。そう思いながらも試してみたら、ドでかい衝撃を受けることになったのだ!!

・辛くないスンドゥブ

購入したのは丸大食品の『辛そうで辛くないスンドゥブ』。以前の記事でキャンプ飯にピッタリだとご紹介したシリーズの新商品である。

比較用に辛口も購入してきたが、筆者が購入したスーパーでは辛くない方が198円、辛口が228円であった。(価格は税込)

本題からは逸れるが、パッケージの色で辛さがわかるのは親切な設計だよね。万が一 辛党が間違えて辛くない方を買ってしまったら……考えるだけでも恐ろしい。なにせ辛い物を食べたい時の気持ちって、かなり衝動的&爆発的なデッカイ感情なのだから。


パッケージの裏面には、辛さの目安が書いてある。

比較すると差は歴然。マックスとミニマムにあたるんだね。



・衝撃的な味のハーモニー

さっそく作ってみようとお鍋に中身を出すと……あれ? どっちも赤くて辛そうだぞ。

よく見ると辛くないスープの方が白い気もするけど、言われなかったら気が付かないレベル。まさに商品名そのままみたいな見ためだな。


自宅で作るスンドゥブに筆者がおすすめする具材は、白菜、ネギ、卵、豆腐だ。

「スンドゥブっていうかただの鍋じゃん」っていうツッコミが入りそうだけど、栄養バランスを考えると野菜を入れて食べたくなっちゃうんだよな。豆腐はちゃんと入ってるから大目に見てくれ!


白菜がクタっとするまで煮て、生卵を割ったふたつのスンドゥブがこちら。

温める前と比較すると、辛くない方はスープの白さが目立つようになった。しかし真っ赤なオイルが浮かんでいることもあり、ミニマムな辛さにはとても見えない。ピリッとしそうな雰囲気をかもし出している。


まずは辛い方から口に入れると、「そうそう、やっぱりコレだよ!」と思わずうなずいた。

アサリをベースにした旨みたっぷりのスープとピリッと鋭い辛さ。筆者にとっては実家のような安定の味だ。正直、辛さ控えめでコレより美味しくなるなんてことは あり得ないと思うんだけど……。


続いて辛くない方を食べてみる。

ムムッ、これは……!


めちゃめちゃ美味しい!?!?


文字にすると伝わりにくいのだが、二度見ならぬ二度食べするほど本当に驚いた。

まろやかなのに後味サッパリとした不思議な口あたり。そしてドドドドっと怒涛の勢いで口の中に広がる旨み。奥行でいうと辛口よりもずっと深く、何重にも折り重なったような味のハーモニーがブワーッと感じられたのだ。

この味は一体なんだ!? 辛さとかどっちでもよくなるぐらいマジで美味しいぞ!


慌てて原材料を見比べた。

なるほど、これは納得だ。辛い方に使われているエキス(出汁)は4種類。対して辛くない方は8種類、しかも肉や魚だけでなく野菜のエキスまで使われている。辛さでパンチが出ない分、旨みで攻めるという戦法なんだな。

これまで食べてきたどんなスープにも似ていない、豆乳ともチゲとも違ったクリーミーな出汁のスープ。もちろんお豆腐との相性もバツグンであった。



──そうそう、忘れちゃいけない。一番重要なのが本当にまったく辛くないということだ。目をつぶって全神経をとがらせながら味わってみても、ピリッとした感覚が感じられない。辛いものが苦手な方や小さなお子さんでも問題なく食べられるだろう。


購入前は「辛くないスンドゥブなんて!」と憤りにも似た感情があったのだが、この旨みを味わってしまったら認めざるを得ない。アリかナシかで言うと……超激烈にアリです!!!!

筆者の凝り固まった思考が豆腐のように柔らかくなった瞬間である。

まだまだ寒い日が続き、スンドゥブのシーズンは始まったばかりだ。いつも辛いものばかり食べているのも体に悪そうだし、今後は時々辛くないスンドゥブも食べることにしようかな!

参考リンク:辛そうなのに辛くないスンドゥブ
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

▼余談だが、このシリーズはパッケージがスッと気持ちよく切れる点においてもポイントが高い。おかげで手が汚れにくいんだよな。