毎年恒例の福袋企画。様々な企業・メーカーの福袋が扱われるが、こと “高級感” という点でははるか高みにあるのが千疋屋の福袋。果物1個に保証書がついてくる世界観で生きている企業だ。まあ国内トップクラスの超高級フルーツ屋だしな。
ここの福袋は、よく言えば安定、悪く言えば退屈。毎年ほぼ同じ中身で、記事を執筆する身からすると続けるのがやや辛かったりするのだが……今年はとんでもない変革が起きていた。
・1万800円
ということでやってきたのは新宿高島屋。千疋屋の福袋は毎年中身が変わらない。マンゴーだかのレトルトカレーと、正体不明な細長いお菓子、保証書付きのフルーツが何種か。そして瓶入りのみかんジュースだ。もしくは全部こまごまとしたフルーツか。
そして1万円以上の福袋にはメロンが1つ入っているのがお約束。1万円未満だとメロンは無い。諭吉が千疋屋福袋のメロン戦線におけるアラモの砦。
千疋屋の超高級諭吉越えエリートメロンを、たったの1万円で他のフルーツと合わせてゲットできるというのが、千疋屋の1万800円の福袋の存在意義ですらあったと思うしな。ゆえに諭吉越えでのメロンは千疋屋と客の間にある暗黙の了解とも言えた。
さて、新宿高島屋では、去年5千円台の福袋を購入している。中身はカレーとお菓子とジュース。そしてフルーツポンチだった。
今年は違う価格帯のものを攻めたいところ。最安は3千円台だが……売切れてんな。
しかたないので1万800円の「福袋 梅」にすることに。ちなみに50点限定とのことだが、11時頃の時点で残り数個だった。
つってもなぁ、どうせいつものメンバーに、お約束のメロンが入ってんだろ? 2019年以降、毎年千疋屋の福袋を買ってるから詳しいんだ。
さて、変化の無い中身をどう記事にするか……えっ、嘘やろ!? この中身はいったい……!?
・堕
あまりに信じがたい光景はこちら。
1万800円の福袋からメロンの霊圧が……消えた……? 諭吉はメロン戦線のアラモじゃなかったのかよ千疋屋ァァアアアア!!! いや、真にアラモだったからこそ史実通り陥落したのか。
まあ待て、落ち着こう。もしかしたら1万円越えならメロンというのは、2019年から続く私の勘違いだったのかもしれない。一度冷静になって、過去の記事の写真と見比べて再確認しよう。
これが2019年の1万800円の福袋。
これが2020年の1万800円の福袋。
これが2021年の1万800円の福袋。
2022年は変わり映えを求め、初めて5000円台の福袋にシフトしたので記録は無い。それではあらためて見てみよう。
これが2023年の1万800円の福袋(再)。
私の記憶に間違いは無かった。やはり1万円越え福袋にはメロン。それが千疋屋のお約束……だった。しかし2023年、もうそこにメロンはいない。
今年のエースは、たぶん青森産のサンふじ。ちなみに保証書も今年は無かった。まあ、リンゴだのに保証書なんてのがブルジョアすぎる話で、むしろ一般的になったと受け取るべきか。
蜜柑はこんな感じ。
これだけ解説書がついていた。
庶民にとっては雲の上の存在だった千疋屋。正月の福袋は、1万円越えの天上人専用メロンを、たったの1万円で庶民にも分け与えるという、ほどこしのごときモノであったように思う。
しかし2023年、世界情勢にやられたのか千疋屋はその力を失ったもよう。リンゴと蜜柑に保証書をつけないなど、その感性も庶民と同等のものになったようす。もう千疋屋は超越性を失ってしまったのかもしれない。はたして再び舞える日は来るのか? 来年の動きに注目したい。
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.