今からさかのぼること15年前、つまり2007年。アメリカ発の「サブプライムローン」が国際金融市場を揺るがし、日本では嵐の「LOVE SO SWEET」が発売される中、俺たちの松屋では『海鮮チゲ』を販売していた。

2022年12月13日、その『海鮮チゲ』が15年の時を経て華麗に大復活ッ! 率直に「なぜ15年も販売していなかったのか?」と思わなくもないが、とりあえずその味を確かめるべく記者は松屋へと直行した。

・大定番メニュー

松屋のチゲは冬の大定番メニューである。寒い時期に辛くてアツアツのチゲは文句なしの大正義! ある意味で中華屋における “夏の冷やし中華” と同等の季節限定メニューと言えるだろう。

だがしかし、毎年松屋のチゲは「牛キムチチゲ」や「豆腐キムチチゲ」がメインで『海鮮チゲ』は15年も販売されていなかったらしい。15年ぶりに復活させるというからには、かなり美味しいチゲに仕上がっている……ハズだ。

・価格はセットで890円

さて、松屋によると15年ぶりの海鮮チゲは「エビ、イカ、イタヤ貝、アサリがごろっと入り海鮮の旨味が凝縮されたダシに、松屋定番牛めしの肉の旨味がギュギュっと加わり特徴的なチゲに仕上がっています」とのこと。価格はライスとタマゴ(生 or 温泉)がセットで890円だ。

同時に発売となった「牛豆腐キムチチゲセット」は590円なので『海鮮チゲセット』は300円も高い計算になる。果たして300円高い価値はあるのか? 今回は「牛豆腐キムチチゲ」とガチで食べ比べてみることにした。

・めっちゃウマい!

まずは『海鮮チゲ』だが、率直に「相当ウマい」と申し上げていいだろう。最大の特徴は辛さを感じさせないほどの圧倒的な旨味。なんなら「甘い」と感じるほど、松屋の海鮮チゲは旨味成分が凝縮しまくっていた。

さらに言えばエビ・イカ・あさりなどが結構な割り合いで入っているため、さながら “ゴロゴロ海鮮チゲ” と言ったところだろうか? 牛丼屋の海鮮チゲとしては「これ以上望めないウマさ」と断言してイイ。

・ウソだろ

お次に「牛豆腐キムチチゲ」を食べてみると……なに……? 同じくらいウマいだと……? 信じがたいことだが300円安い「牛豆腐キムチチゲ」も、旨味は海鮮チゲとほぼ同レベル。海鮮チゲの方が若干旨味は強いが、それでもせいぜい “首差” といったとことだろう。

もちろん海鮮が入っていないため、海鮮チゲと比較すると具材はやや寂しい気もするが、牛肉と豆腐でも十分にボリュームはある。謎は全て解けた……海鮮チゲが悪いんじゃない、牛豆腐キムチチゲが300円も安いのに優秀すぎるんだ!

先述の通り、海鮮チゲは相当なレベルに達しているし、890円の価値は十分にあると感じた。一方で「牛豆腐キムチチゲ」は590円どころか790円くらいの価値があるのではなかろうか? 海鮮チゲが15年も販売されていなかった理由は、おそらくコレなのだろう。

・悲しき運命(さだめ)

例えるなら「弟が優秀すぎるがゆえ正当に評価されない兄」──。それに似た悲哀を海鮮チゲから感じずにはいられなかった。逆に言えば「牛豆腐キムチチゲ」はマジで優秀すぎる! もしかしたら再び海鮮チゲに会えるのは15年後になる……かもしれない。

とはいえ『海鮮チゲ』はめちゃめちゃ美味しいことは純然たる事実である。問題は300円も安い「牛豆腐キムチチゲ」がウマすぎること。ありがとう海鮮チゲ。俺はお前という悲運のメニューを忘れない──。

参照元:松屋公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.