気づけば早いものでもう11月。木々が鮮やかに色づき、紅葉シーズン真っ盛りである。──先日、観光列車に揺られて秋の景色を楽しんでいたところ、群馬の山奥で一風変わった駅を発見。

なんとそこでは、駅のホームに列車の形をしたレストランがくっついていたのだ。物珍しさに惹かれてしまい、途中下車してその店へ立ち寄ってみることにした。


・「列車のレストラン清流」へGO

筆者が降り立ったのは、わたらせ渓谷鐵道の「神戸(ごうど)駅」。山々に囲まれた素朴な駅舎だ。下車してすぐ目の前のホームに「列車のレストラン清流」がある。


陸橋を渡り、向かい側のホームへ移動。ちょうど昼時ということもあり、レストランへ向かう観光客たちの姿が多く見受けられた。皆一様に店の外観を写真に収めている。


「列車のレストラン清流」の入り口に到着。これまたレトロ感漂う看板が渋くていい感じ。さっそく入ってみよう。


・かつての特急列車をまるごと活用

入り口のドアをくぐるとすぐに厨房の見える空間が広がっている。……ぱっと見レストランというよりは、大衆食堂に近いような雰囲気だろうか。


注文は券売機で済ませるようだ。食券をスタッフに渡し、料理ができあがったら自分で取りに行くというフードコートっぽいスタイル。


メニューは和食が中心の模様。うどんやカレー、弁当などが注文できる。どうやら『やまと豚弁当(税込1200円)』という駅弁が人気らしいので、試しにこれをオーダー。できあがるまで少し時間がかかりそうなので、店内を見学してみることにした。


この先が車両(食事スペース)になっているのか。……レトロフューチャー感のあるゲートがグッド。映画『2001年宇宙の旅』の宇宙船内にいるみたいでワクワクしてくる。


……内装めっちゃキレイ。すごい開放感。全席自由、どこでも座ってOK。


この車両は、かつて東武鉄道で活躍していた特急列車のものらしい。テーブルを設けたくらいで座席はほぼ当時のままのようだ。このシート、ふかふかで座り心地が抜群。車窓から覗く景色も最高。

……振動や音がまったく響いてこない列車に乗っているのは、なんだか不思議な気分。


車両のいちばん奥にはトイレや洗面台がある。これらも特にイジった感じはなく、むかしからそのまんまの状態っぽい。実際に利用可能だ。


そうこうしている間に筆者の頼んだ駅弁ができあがった模様。さっきの厨房で受け取り、給茶機(無料)からお茶を汲んだら席に戻っていただくとしよう。


・列車のレストランで食べる駅弁は格別

この『やまと豚弁当』には、味噌汁と手ぬぐいが付く。手ぬぐい……持ってなかったからちょっと嬉しい。駅弁の掛け紙には鉄道沿線の観光ガイドマップが描かれている。なかなか凝ったデザインで面白い。さてさて、冷めないうちに中身をチェックだ。


ご飯の上に和風おろしダレをまとった豚肉がギュギュッと敷き詰められている。付け合わせは、さつまいもの甘露煮とたくあん。思っていたよりシンプルな構成だが、この肉が見るからにプリップリでとにかく美味しそう。それでは、いただきます。


……すごくジューシーで柔らかい。肉にほどよい甘みがある。さっぱりしたタレとよく絡んで激ウマ! 箸が止まらんぞコレ。

気づけばあっという間に完食。マジでおかわりしたいレベル。大盛りオプションがあったらいいのに。ちなみにこの「やまと豚」は、群馬で丁寧に育て上げられた人気銘柄豚らしいぞ。


食後のお茶をすすっていると、駅のホームにトロッコ列車がやってきた! 人がたくさん乗っている。向こうは窓ガラスのない超開放的な車両のようだ。

楽しそうにめっちゃ手を振ってくるので、こちらも負けじと手を振り返す!!! ……行き交う列車を車窓から眺めるのも面白いもんだな。


引退した列車の中で美味しい食事とキレイな景色を楽しめるのは趣(おもむき)深い。次回はケーキやコーヒーを注文してまったり過ごしてみよう。

「列車のレストラン清流」のある神戸駅は、わたらせ渓谷鐵道で行くことができる。走行中に見られる山々の景色は本当に美しいので、ぜひ利用してみてほしい。この時期は紅葉(もみじ)狩りのついでに “列車のレストラン” へ立ち寄ってみるのもいいかもしれないぞ。


・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 列車のレストラン清流
住所 群馬県みどり市東町神戸891番地 神戸駅構内
時間 11:00〜16:00
休日 無休(4月〜11月) / 月曜日(12月〜3月) ※祝日の場合は翌日

参考リンク:わたらせ渓谷鐵道株式会社
執筆:古沢崇道
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]